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Real snow 2021の感想

今年もReal snowの季節がやってきたので、これを書くためだけに作ったnoteに需要が無いのを承知でカムバックしてきました。

そもそもが自己満のためというか、なにがあろうと「ヤバい」「カッコいい」程度の言葉で片付けられてしまうスノーボードの語られなさにウンザリしているので、スノーボード語りエクササイズの感覚で書いています。

草野球やってるおじさんみたいなノリで、端から見たら「それ意味あんの?」だし、実際たいした意味はないけど本人が好きでやってるんだから、くだらなくてもそっとしといてくれたらいいなと思います。


Real snowとは前田日明イズム

まず、今回の「Real snow」を語る上で、これまでがどんな意味を持つ企画だったのかを押さえておこうと思います。

正直なところ英語が全然わからないしちゃんとした日本語訳もないので、制作側の意図だとかは一切理解していませんが自分なりの解釈では、

一通りやり尽くされた感がある「ストリート」を、一定のルールを設けることで、もう一段掘り下げられていた企画だった。

と思っています。太字にした割にはたいしたピンとこない文章ですいません。

なので次こそピンとくる表現で。


ストリートはラーメン。

はどうでしょう?

いかに新しいものを発明・開拓するかのレースになっていて、普通に美味いだけのラーメンじゃウケない。それどころか「これが普通のラーメン」って定義ができないぐらい多種多様になっていてどんどん分散していく状態。

それでもラーメンであれば市場原理に委ねて自然と勝者が生まれるけど、

スノーボードの、しかもストリートではそうはいかないので、あるルールを設けて順位をつけることで人為的に頂点を作り出す。

そうすることで、更に高いところを目指せたり違う山を登るヤツが現れたりと、ジャンルとして前進しつつ、派生的に個性的な作品やライダーが出てくることになるんじゃないでしょうか。


「色んなライダーが皆それぞれ色んなことやってるわー」って収集つかなくなっているところに、

X Gamesが「ごちゃごちゃ言わんと誰が一番強いか決めたらええんや!」って考えたんでしょう。こんなところにも前田日明イズムが受け継がれていますね。


もう一個、身もふたもない言い方をするなら、戦争が技術を進歩させたように、スノーボードも戦わせて順位付けすることで進歩するんでしょう。


前回の2020まではそういう意味合いがあったなぁと実感しています。

そして2021では、そういう意味合いが薄くなったなぁとも実感しています。


ストリートは6分の1とちょっと

見て分かる通り、ストリートの映像だけで構成されているのは6作品中1つだけ。

ダスティ・ヘンリックセン。ちょっと前にナックルハックで優勝したことで初めて知りました。

上手いしかっこいい。というよりは、かっこいいのに上手い。

ストリートでのヘルメット問題についてはのちほど書くとして、

ブロック・クラウチと、スターレ・サンドベックが半分弱ぐらいストリートであとは山。

ダニー・デイビスとセージ・コッツェンバーグはフルで山。

ケビン・バックストロムに至ってはスキー場。


先にはっきり言っておきたいのは、僕自身は今回ストリート以外の映像が増えたことが悪いとは全然思ってないです。

コロナの影響で思うような活動できてないのかなーとも思うし、なによりストリートが全体の6分の1とちょっとであとはほとんどナチュラル、残りはスキー場のコースサイドというロケーションの比率は、スノーボード業界の何かの縮図のようにもみえて興味深い。まさにリアルスノーつってねぇ。

今回こうなったこと自体は別にいい。ただし、これまでと違うって事は慎重に扱いたいと思っているんです。


順位付けがどうでもよくなった

いちばんの違いは、順位をつけることの意味でしょう。

そもそも、前回までのストリート各作品に順位をつける事自体、「みんな違ってみんな良い。でもそれを言ったら始まらないから、無理を承知でどれかひとつ選んでチャンピオンを創り出すシステム」を設けていたようなものなのに、ジャンル問わずとなるともう判定基準なんて無いに等しいじゃないですか。

という意味で、ストリート縛りだったことには一定の価値があったんだなぁと、失ったあとで気付くのでした。


アングラの価値

そしてもう一つ。ストリートの作品が減ったことで気付かされたことがあります。

それは、いわゆるアンダーグラウンド的なものの価値についてです。

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商業性を無視し、独自の主張をする前衛的で実験的な芸術。または、その作品。

少し極端な言い方ですが、これまで作られてきた全てのストリートの映像は採算が取れないものだと思っています。逆に言えば、きっちり採算取れるようではストリートスノーボーディングの魅力が無いんじゃないかとさえ。

多くの時間と労力かけて痛い思いして、撮れた映像がせいぜい10秒ぐらい。1シーズン頑張って良いパート残せば契約金云々てのもあるけど、そんな不確実なことを仕事にするってよっぽど数字が苦手なのか、それとも・・・

自分が好きなあのライダーのあのパートを観たあとに、この「・・・」にどんな言葉を入れますか。

つまりなにが言いたいかというと、ストリートで攻めまくって映像残してるライダーたちは、おいしい仕事だから攻めまくってるわけじゃない、という幻想を抱かせてくれているんです。

だから、これまでのストリートの撮影が実はおいしい仕事だったとしても、今後おいしくない仕事になってしまったとて、相変わらず攻めまくっていくんだろう。という幻想があるんです。

このあたりがアンダーグラウンド的なものの価値じゃないでしょうか?


それが今回、ストリートの映像が全然無かった。

やるだけ損。でもやるんだよ!っていう非合理的な姿勢が観る側の感情を動かしていたはずなのに、やるだけ損ならやめとこう。という合理的な判断が勝ってしまった。

スノーボードに限らずアングラ的なものを蔑ろにすると世の中がつまらなくなるなぁと改めて思ったのでした。

※あくまで今回のReal snowでストリートの映像が少なかった事だけをきっかけに思ったことであって、本当の所なぜ少なくなったのかは知りません。


では、やっとここから作品の中身について。

Stale Sandbech

ジャッジ判定3位。ファン投票1位。 

Youtubeの翻訳機能で翻訳された日本語を、もう一回頭の中で翻訳する必要あるけど、これおそらくジンバルゴッドとの出会いについて語ってますね。数年前からアイツは誰だと気になっている人も多いんじゃないかと思われるジンバルゴッドは、実は生身の人間でした。しかも始まりはなかなかドラマチック。このビハインド・ザ・シーン込みで観たら、彼らに金メダルあげたいんですけど!

パートの方はと言うと、いちおう最初から最後まで一連のラインという演出です。そういえばサンドベックといえば何年か前に、ジャンプの最中に昼と夜が突然切り替わるパークライディングの映像があったけど、あのころから実験的にやってきたアイデアなんですね。上手。

ジャンプでハイレベルな技やってるとかはこの際どうでも良くて、ボード抱えて疾走する男から始まるパートって他にあったかな?コンテストや作品でトップを取り終えた感のあるライダーがこれってちょっと熱くないですか?

この演出をあえて言語化すると、この着地は次へのアプローチであって、いつまでもスノーボードの途中ですよと。とっくにピークは過ぎたと感じている30オーバーのスノーボーダー達に特に響くメッセージじゃないでしょうか。

ちょっと余計なこと付け足すと、最後にまた走り出して振り出しに戻るみたいな円環構造もアリなんじゃないかとも思いました。最後は大技が決まるカタルシスの方を取りにいくのは、セオリー通りではあるので良いんですが、良いテーマなだけに円環構造パターンも観てみたいという欲が出てしまいます。

[追記] ここまで書き終えたあとで、ファン投票では1位になったと発表されました。やっぱり!


Sage Kotsenburg

ジャッジ判定1位。ファン投票4位。

ビハインド・ザ・シーンは両親からの、ソチオリンピック金メダル後はコンテストを離れてストイックに撮影してるとのこと。こんなこと他の誰にもできないと、やっている人ほど感じるであろうパートだと思うので確かに1位か。

最後にエディ・ウォールが言ってるように、「ジャンプばっかりでダイバーシティが無かった」にはすごく同意です。それなのに途中で出てくるハンバーガー屋さんは何ですか?セージとあのお店との関係性次第では、このパートの評価が良い方にも悪い方にも大きく変わってしまいそうです。


Danny Davis

ファン投票5位。

そもそもなんでこれに出たんですか?これじゃお相撲さんがアスリートに混じって短距離走やってるようなものです。僕個人的には今回出てるライダーの中でダニー・デイビスがダントツでいちばん好きなのですが、この人の持ち味はどう考えても1分30秒の映像でインパクトを与えることじゃないでしょう。

バートンの過去作やピースパークでダニー・デイビスを好きになった身としては、ハイライトはオープニングクレジットでの顔面です。


Brock Crouch

ファン投票6位。

すごく良い意味で納得の6位です。ホントに良い意味で。

若いし人気や知名度もまだまだこれからのライダーなので、メダルどうこうよりデビュー戦としてどうか、という観点で観るのがいいと思います。そう考えると、流石バートンとレッドブルがスポンサーなだけあってか、潤沢な資金のもと良い環境で撮影できてるように見受けられます。なので彼の今後の作品に期待を持たせるには十分すぎる内容でしょう。


Dusty Henricksen

ファン投票3位。

これは勝手な想像ですが、傾向と対策しっかりして作ってきたなと感じました。テクニカルとハンマーのバランス、スロー、オープニング、途中の顔出しなど。良いライダーと良いフィルマーが組んだのだからちゃんと勝ちにいかないと!という気概が感じられます。満を持して次世代のストリートライディングを提示したら、他の人らは山での映像持ってきて肩透かしされるという悲劇的な結末。想像は以上。

今回ストリートオンリーのパートが彼だけだったことで、ストリートというものが相対化されました。山オンリーのダニーデイビスやセージと単純な比較をすると、山では結局は晴れていて良い雪があるシーンばかりですが、一方、やり方次第では夜でも悪天候でも良いシーンになり得るストリートの幅の広さが際立ちます。

ヘルメット問題についてはもっと後です。


Kevin Backstrom

ジャッジ判定2位。ファン投票2位。

スキー場のサイドヒットだけで構成されてるパートは初めてなので面白い。けど正直なんか物足りない。オープニングはロープウェイに乗って、スキー場のあらゆるところを滑ってくるという設定なのに、ラストシーンがそれでいいのか?と感じました。かつてのキャンディッド・トベックスのようにフィクションを作り込む必要はないけれど、スキー場って設定がうやむやになるような終わり方はあんまり気持ち良く無い。実際にはスキー場内なんだろうし、それでもこんな良いスポットあるよというメッセージもあるのかもしれないけど、ストーリーラインというかパートの始点から終点まで「縦糸」をしっかり通してほしかったと思いました。ロープウェイだけに。


Real snow 2021の感想は以上です。今後、他に思うことがあれば追加の記事で書きます。それじゃあ引っ張っていたあの問題について。


ストリートヘルメット問題

ヘルメットをかぶってストリートやることについて、多くの人がなんとなく違和感ありつつも触れにくいテーマをこの機会にビシッと解決してみたいと思います。ただし、内容が内容なのでフルオープンというのは気が引けます。物好き限定に公開するという意味でここから先はすいませんが有料で。


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