【アニメレビュー】『THE FIRST SLAM DUNK』に見た、セルフ・オマージュの“臨界点突破”
どうも、こんにちは。kei_tenです。
本日はNetflixでの配信が始まった『THE FIRST SLAM DUNK』を紹介します。
こちらは言わずと知れた漫画『SLAMDUNK』の原作者・井上雄彦氏が自ら監督を務めた話題作。
劇場公開はタイミングが合わず観に行けなかったので、配信が始まった当日に飛びついて視聴しました。
本作は、すでに多くの方がレビューしていますが、ぼくなりの視点でもお伝えできればと思います。
■セルフ・オマージュの“臨界点突破”
ぼくが抱いた感想は「セルフ・オマージュの“臨界点突破”を見た」です。
ちょっと格好つけた表現になっていますがアニメ映画として、大きく3つの新しさ(魅力)を持った作品だったと考えています。
①:MAD作品が多い“山王戦”の再現と『風の谷のナウシカ』の存在
自らが手がけた漫画をアニメ作品として世に送り出すケースは珍しいですが、中でも宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』が完成度の高い作品として知られています。
ナウシカはあえて漫画の序盤部分のみを映画化したことで、マニアックなファンの中でも高い評価を受けていました。
その点で、今回の『THE FIRST SLAM DUNK』も山王戦のみにフォーカスしていた点は、ナウシカの影響がなかったとは思えませんよね?
また、“山王戦”は多くのファンが再現型MAD作品をYouTube等に投稿しており、実質的にセルフ・オマージュという形式にも受け止めることができます。
▼MAD作品の数々
「セルフ・オマージュ」と「ナウシカへのオマージュ」という2つの要素が組み合わさった点が、本作の魅力の1つと言えるのではないでしょうか。
②:モーションキャプチャー×セルルックの新しいカタチ
次に絵的な部分についてです。
個人的にはモーションキャプチャーのアニメはあまり得意ではないのですが、試合(映画ですが笑)に没入していくにつれ、その違和感も薄れて魅力となりました。
いま「試合」と表現したように、漫画や連載アニメで見ていたようなテンポではなく、純粋にバスケの試合が進んでいくスピード感でこの映画は表現されていたのです。
そのため、むしろバスケ選手のリアリティがモーションキャプチャーだからこそ表現できた、と言えるのです。
逆に、漫画でファンも多いカットやナレーションなどを、徹底的に削ぎ落とした点もありました。
賛否は当然あると思いますが、「バスケのリアルな試合を楽しんでほしい」という作者のメッセージとして僕は受け止めました。
それを許容できたのも「セルルック」の存在だったと思っています。
セルルックとは漫画のセル画を元にした表現で、3DCGでも日本のアニメらしさを担保するものです。
今回は原作者の井上雄彦氏自身が監督を務めたので、アニメのセル画というより、漫画的表現が3DCGと合わさったものとなっていました。
特にオープニングでBirthdayの曲に合わせて湘南と山王の選手が登場したシーンでは、ガッツリ漫画を描く手書き表現で演出されており、ファンのハートもガッツリ掴んでくれた、という効果が大きかったように感じます。
▼オープニング主題歌
③:ミッチーとリョーチンのただならぬ関係
最後に、脚本についてです。
今回は宮城リョータ(リョーチン)が主役となっていますが、よく考えると漫画の中ではバックグラウンドがあまり出てこなかった登場人物でしたね。
なぜちょっと不良っぽいのか、なぜ花道などに対して面倒見がいいのか。
そしてなぜ、三井寿(ミッチー)から執拗に目をつけられたのか。
そのあたりがこの映画を見ることで、まるっと腑に落ちるところこそが、ファンのハートに再び火を灯す効果となっていたように感じました。
個人的には神奈川に引っ越してきた中1のときに、バスケットコートで中学生に話しかけられたシーンで「あれっ?」って思ったんですよね。
「兄と重なるミッチー」というところに、胸がバクバクと高鳴りました。
「連載当時からこの設定はあったのか?」「実は作者自身の二次創作では?」と色々想像させてくれるところも、この作品のセルフ・オマージュ感が醸しだず魅力だと感じています。
■8月13日に復活上映決定!
『THE FIRST SLAM DUNK』は人それぞれ感動したポイント、抱く感想などは異なると思いますが、想い想いに楽しめる作品であることには変わりないと思います。
こちらは8月13日に復活上映となっていますので、あの臨場感を劇場に足を運んで観てみたいです。
最後に、個人的にいいなぁと思ったMAD動画を紹介します。
いやぁ、本当に『SLAMDUNK』は熱量の高いファンが多い名作ですよね。
ではまた!kei_tenでした。
KVの画像引用:Netflixより
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