見出し画像

VRChatワールドライティング 個人メモ


1. はじめに

VRChatのワールド作成で、説得力のあるライティングはとても大切です。
ライティング次第で、空間の雰囲気や没入感が大きく変わるため、どんなライティングスタイルを使うかが鍵となります。

ここでは、現実的な表現、幻想的な表現、アート的な表現のそれぞれの特徴と、Unityでの基本設定、そしてGPUライトマッパー「Bakery」を使った高品質なライティングの手法について、個人的に覚えておきたいポイントを簡単にまとめています。


2. ライティングスタイルのポイント

現実的なライティング

  • 目的:自然な光と影で、現実に近い空間を作る。

  • ポイント

    • 太陽光や室内照明の色温度、明るさを正確に設定する。

    • 影や間接光(壁や床からの反射)をしっかり再現する。

    • Unityのライトベイク機能を活用すると、リアルな陰影が得やすい。

幻想的なライティング

  • 目的:現実にはない、神秘的な雰囲気や夢のような空間を作る。

  • ポイント

    • 鮮やかな色の光や、通常とは異なる光源(例:カラフルなポイントライト、発光素材)を使用する。

    • Bloomなどのポストエフェクトで、光がにじむ効果を加える。

    • 実験的な設定を取り入れ、いつもと違う印象を狙う。

アート的なライティング

  • 目的:被写体のシルエットやコントラストを強調し、印象的なシーンを作る。

  • ポイント

    • 被写体の背後から強い光を当てるなど、あえて明暗を極端にする。

    • ポストプロセスで全体の色調を調整し、アーティスティックな雰囲気に。

    • 独自の演出を行うことで、ストーリー性を強調する。

その他の工夫

  • ボリューメトリックライト:空中に光の筋(ビーム)や、霧のような効果を出して空間に深みを与える。

  • 動的ライティング:時間経過や音楽に合わせて、光の色や明るさを変化させる手法も面白いので、将来的に試してみたい。


3. Unityでの基本設定(PCVR向け)

作業前の注意

  • 自動ライトベイクをオフにする
    「Auto Generate」がオンだと、シーン内の変更で都度ライトマップの計算が走ってしまい作業が重くなるため、作業中は必ずオフにして、必要なときだけ手動でベイクする。

静的オブジェクトの設定

  • Static設定とライトマップ用UV
    動かさないオブジェクトは「Static」に設定し、ライトマップ用のUV(通常はUV2)があるか確認する。これで、正しい陰影がベイクされる。

ライトの使い分け

  • リアルタイムライトとライトベイク

    • リアルタイムライト:動くオブジェクトやプレイヤーのアバターに適用するが、重いので数を極力減らす。なるべく使わない。

    • ライトベイク:背景や静的なシーンにはあらかじめ計算した影や間接光を使うことで、パフォーマンスを保つ。

ライトプローブとリフレクションプローブ

  • ライトプローブ:動的なオブジェクトに環境光を適用できるよう配置する。

  • リフレクションプローブ:鏡面反射やガラス面の表現に利用し、シーン全体の統一感を出す。


4. 実績あるクリエイター様の事例

Lura 様の工夫

  • エミッションマップの利用
    ネオン看板や内部照明部分を、あらかじめテクスチャに焼き込むことで、リアルタイムライトの負荷を下げながら発光効果を実現している。
    ※自分でも、似た手法で発光効果の調整を試してみたい。

GHOSTCLUB 様の事例

  • 複数のライトマップの合成
    複数のライトマップを用意し、動的に合成することで、音楽に合わせた変化のあるライティングを実現。
    ※これは少し高度だが、将来的な挑戦として参考に。

https://ゴーストクラブ.コム/

そにっく885 様の事例

  • 住宅ワールドの自然な室内照明
    静的なライトベイクと、必要最低限のリアルタイムライトを組み合わせ、温かみのある室内環境を再現。
    ※室内シーンを作る際の基本として参考になる。


5. Bakeryを使ったライティングテクニック

Bakeryとは?

Bakeryは、UnityでGPUを活用して高速かつ高品質なライトベイクを行うツールです。PCVR向けのワールドで、特に複雑な間接光や細かい陰影が必要な場合にとても有効です。

基本的な使い方

  • 専用ライトに切り替える
    Unityの標準ライトではなく、Bakery専用のライトコンポーネントを使用する。
    ※既存のライトはそのままだと正しくベイクされないので注意。

  • Unityのライトとの対応
    Directional Light(平行光)-> Bakery Direct Light 太陽光など、シーン全体に均一な平行光を与えるために使用。減衰がなく、遠方の光源としての特性をそのまま再現。
    Point Light(点光源) -> Bakery Point Light(Omniモード) 360°に均一な光を放つ点光源に対応。周囲全体に光を放射する場合に適しており、UnityのPoint Lightとして利用する場合の代替。
    Spot Light(スポットライト)-> Bakery Point Light(Coneモード) 特定の方向に絞った光(円錐状)を表現。UnityのSpot Lightと同様に、光の角度や範囲を設定して指向性のある光源として利用する。
    環境光(Ambient/Sky)-> Bakery Sky Light シーン全体の環境光、スカイボックスやHDRIからの間接光を反映するために使用。環境の明るさや全体のトーンを一括でコントロールできる。
    Emission / AreaLight -> Bakery Light Mesh オブジェクト自体が発光している場合に、発光情報をライトとしてベイクするためのコンポーネント。UnityではマテリアルのEmission設定ですが、Bakeryでは専用の仕組みとして扱う。また、AreaLightもBakery Light Meshで代替できる。

  • 設定項目のポイント

    • Texels per Unit:ライトマップの解像度を決めるパラメータ。高すぎるとデータサイズが大きくなるのでバランスを考える。

    • サンプル数:高くするとノイズが減るが、ベイク時間が長くなる。実験しながら最適値を探す。

    • 反射回数(Bounce):間接光の計算回数。数回設定するだけで十分な効果が得られる場合が多い。

Bakeryを使うメリット

  • 高速なベイク処理:GPUの力を借りるため、複雑なシーンでも短時間で高品質なライトマップが生成できる。

  • 高品質な間接光:複数回の反射計算が可能で、より自然な陰影を再現できる。

  • 柔軟な調整が可能:シーンに合わせた細かい設定ができ、試行錯誤しながら最適なライティングを見つけられる。


6. 参考情報源

作業の際、以下の情報源も参考にすると良いです。



まとめ

今回のメモは、VRChatワールドで説得力のあるライティングを実現するための、個人的に覚えておきたいポイントをまとめたものです。

  • ライティングスタイルとして、現実的・幻想的・アート的な表現を使い分ける。

  • Unityでの基本設定(自動ベイクの停止、Static設定、ライトプローブなど)は必ず押さえておく。

  • 実績あるクリエイター様の工夫(Luraさん、GHOSTCLUB、Sonic885さんなど)を参考に、自分なりの手法を模索する。

  • Bakeryを使えば、より高品質なライティングが手軽に実現できるので、積極的に試してみる価値あり。

いいなと思ったら応援しよう!