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【#10】GARNET CROW『君を飾る花を咲かそう』(04年・16thシングル・アニメ「モンキーターン」EDテーマ曲)
〇AZUKI七ワールドを体感しよう〇
こんにちは。今回紹介する曲はGARNET CROWの『君を飾る花を咲かそう』です。2004年6月に発表された16枚目のシングルであり、テレビ東京系列アニメ「モンキーターン」のエンディングテーマとして起用されました。
GARNET CROWにおいて作詞を担当しているのはキーボードのAZUKI七さんです。AZUKI七さんは宗教や文学作品に造詣が深く、人の生死や愛について考えさせられるものが多くあります。『君を飾る花を咲かそう』もそのひとつであり、大切な人を亡くし、残された人の感情を切なく表現しています。歌詞の解釈には正解がなく、人によって異なりますが今回は私なりに噛み砕いて書いてみたいと思います。
〇愛する人に訪れる「死」〇
人が死ぬときにはさまざまな状況が考えられます。ここでは家族など大切な人が病気で亡くなるようなケースを考えてみたいと思います。大切な人の病気に苦しむ姿を見ることはとても辛いことです。ときには回復が見込まれずにいつか必ず訪れる死を待っている、そのような状況もあるでしょう。死と向き合う感情を的確に表していると私が思う歌詞を以下に引用します。
ほら無常に夜は明けてく
夜が明けるというのは新しい日が始まるという意味で良い意味で捉えられることもあるでしょう。しかし、言い換えれば誰しも訪れる死に向かって確実に進んでいるということでもあります。まるで残り時間が減り続ける時限爆弾のように。
ここで私たちが考えなければならないのは以下のふたつです。
・大切な人が死と向き合っている(または亡くなった)ときに何ができるか
・自分自身に残された時間をどう生きるのか
これらふたつについて歌詞では以下のような表現がされています。
抜け出せない問いかけ
またAZUKI七さんはその問いの答えについてひとつの考えを提示しています。
〇幸福を胸に強く生きる〇
それは残された人として「強く生きる」ことです。大切な人と過ごした幸福を胸に抱き、未来へ進み続けるのです。ここで無視できないのは曲のタイトルにもある「花」の存在です。ここで言う「花」とはいったいどのようなものなのでしょうか。
もちろん、亡くなった人に花を供えるという物理的なものもあると思います。しかし、ここで言う「花」とは残された人たちが笑顔で生きている様子のメタファーであると私は思います。実際に亡くなってしまった人に対して直接出来ることは何もありません。そのようなときには、死や悲しみと向き合い力強く生きている姿を見せることが唯一の餞になるのでしょう。この曲から得られるメッセージは全ての人に響き、人の生死について考えさせます。みなさんもぜひお聴きください。
【YouTube公式MV】