traffic light
雨粒がフロントガラスに留まっている
雨天決行の人生は
なんて
無意味に重たらしく考えてしまった
信号が赤に変わる
母と小さい娘が歩道を歩いている
さっき別れたばかりの息子に会いたい
なんて
未来を都合良くほじくろうとしてしまった
信号は五回目の赤に変わった
薄日が手の甲を照らしている
秋晴れを心底望んではいない
なんて
空合いに漠然と抗ってしまった
信号の明滅は意識外へ逸れていった
時間は止まらない
フロントガラスの雨粒は消えて
母と小さい娘の姿はかけらもなくて
薄日は刻々とその白さを際立たせている
土曜日の朝
誰一人としてそれを疑っていなかった
信号は規則正しく変わっている