［散文］投影

君は普通に見えるよ
血色は悪くない
震えも出てない
呼吸が僅かに浅いけど
多分
早い目覚めのせいだよ


もう伝えたい事はないんだ

本当に？
もう苦しくないから

苦しさが生き甲斐なの？
わからない

じゃあ　わからない事を伝えたら？
楽はできないから

僕が代わりになろうか？
あまり良い気がしない

今　何が見える？
君の滲んだ輪郭以外はない

他には？
残響も聴こえない楽器くらい

演奏してみたら？
まだ朝とも呼べないよ

諦めが良いんだね
理由がないなら作れば良いから

今の気分はどう？
眠気が少し　辛くないよ

誰かに届きそう？
振り返ってみないとわからない

多分無理だよ
ああ　そうだね

もういくよ
ありがとう　楽になった

否定しないね？
使いきったよ

また明日？
どうだろう　たぶん大丈夫

じゃあ　またいつか
さよなら　もう1人のわたし


書き出しはもう忘れた
否定的な言葉にも
いつかは飽きがくる
前進する為に
必要な停滞もあるのだろう
自分ともう1人の自分
ひとつ分かったのは
楽器をまた演奏したいこと
ロックスターは最後に綴った
empathy
額縁で紫煙をくゆらせながら

誰かは自分以外のあなたの心情へ

大それた言い分は煙と同義だけれど