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美しき奏


露は葉先から地上を目掛ける
蛙にぽとりと当たると夜が明け
波紋は静寂の上で幾億の目覚めとなる
鳥がちよちよ鳴き
光の帯が冷えた土壁に降る
犬は欠伸をしてまた草に伏せ
垣の猫は顔を撫で
蝶が孤独に舞う
波打ち際の誘いは大陸を結ぶ不可視線
岩陰から顔を出す蟹
貝は砂の上で永遠に海鳴りを聴く
丸い球体は多くの色を持たず
原初への還りを直向きに待つ ひたむき
仄暗い部屋で
母は泣き止んだ子の隣で静かに子を抱く
まだ誰も知らない朝

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