フィリピンの岩海苔
【岩海苔/Gamet】
東アジア(日本や韓国)でしか食されていない、と言われている海苔ですが、なんとフィリピンにはれっきとした岩海苔の食文化が存在しています。カガヤン州の西端に位置するサンタプラクセデス市では岩海苔漁師が海に浮かぶ岩にボートから飛び移り、岩に生えた岩海苔を採取しています。高い波が岩に打ち上がり、足元も岩の上で滑る中での手作業です。岩海苔の収穫時期は10〜3月のみで、岩海苔漁師のロジャー氏によれば一度の漁で岩海苔は250グラムほどしか取れず、しかも生命のリスクがある非常に危険な仕事だということです。採取された岩海苔は干されて人気のお土産として売られるのはもちろんのこと、サラダにされたり、スペイン発祥の揚げ餃子のエンパナーダのなかに入れられたりもします。岩海苔入りのエンパナーダは2008年に地元の「岩海苔料理コンテスト」に出場したリタ氏によって考案されました。
海藻、なかでも海苔を食べる文化というのは「日本人しか海苔は消化できない」とか「欧米人は海苔のような黒い食べ物が嫌いだからカリフォルニアロールができた」といった言説に基づいて神秘化されがちです。しかし、海苔はおそらく世界各国の様々な地域で食されてきたはずで、いつか「謎のアジア海苔」みたいな本が出る日も近いかもしれません。
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