『英訳の難しさ』
最近、小説を英語に訳している。Googleの翻訳機能を使って。
日本語をそのまま翻訳すると、何かおかしい。例えば「彼は髪を褒めてくれた」と書くと、日本語では文脈から、当然私(女性)の髪を褒めると読める。しかし英語の場合「He complimented his hair」となってしまう。よって「彼は私の髪を褒めてくれた」と、必ず主語が必要となる。
仮に日本語で忠実に主語を入れると、たちまち読みにくくなる。いちいち私だの彼だの入っていると、「そんなこと書かなくても分かる」となる。主語を逐一入れなくてもいい(むしろ入れるべきではない)のが日本語だ。
日本語は主語を省略しても、大体意味が通じる。しかし英語はそうもいかないのだろう。「I」で始まる言葉なのだ。主語が先に来ることが多い。
逆に考えると、主語がなくても通じてしまう日本語は面白い。文脈から判断するとか行間を読むとか言われる。「曖昧模糊」「玉虫色の結論」「なんとなく」「空気を読む」なんてのも、日本語の特性から来ているのではないだろうか。