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国内、国外ニュースは゛何゛が違う
イスラエル×ハマス、ウクライナ×ロシア、の話は、われわれ邦人にとってピンとくる話か、そうでないのか? 考えてみた~
■ハマースあるいはハマース運動は、パレスチナのスンニ派イスラム原理主義、過激派、民族主義組織である。社会奉仕組織「ダワ」と軍事組織「イズ・アッディン・アル・カッサム旅団」を擁する。2006年のパレスチナ立法選挙で勝利し2007年のガザの戦いの後、ガザ地区の事実上の統治当局となった。パレスチナ国は、地中海東部のパレスチナに位置する共和制国家。国際連合には未加盟であるが、2021年時点で138の国連加盟国が国家として承認している。 ウィキペディア
■受肉(じゅにく)とは?
https://kotobank.jp › word › 受肉-78072
神の子たるキリストが人類の救済のためにイエスという人の肉体をまとって出現したことをいうキリスト教の根本教義。その一回性と逆説がかえって真理たるゆえんだとされる。コトバンク
そもそも、まったく平和(ボケか茄か判らないが)だーとされる大和民族が、その「モーセ十戒」とかウクライナ「聖ソフィア大聖堂」を知って、東大入試でもするのか、と云ったら、そんな無駄な抵抗は、するはずもないのは、皆さん自身が一番よくわかっていることです。
まして「失われた30年」とか、云いますが、何を失ったのか、シロモノ家電が「made in China」だから、それによって失われたのか、としてもそれが時間なのか、物体なのか、究極、人の(日本人の)アイデンティティーなのか、そのエッセンスは、誰も解いていないのです。
先月まで、仕事の一環で「籾殻回収」を約二月しましたが、その膨大な量の廃棄物の行方、を考えると、すなわち、それが日本の現実実体を如実に体現するものだ、とおもったのです。
そもそもコメ白米の被膜である籾ガラ、ヌカの実物を知っている主婦が、この日本に、どのくらいるのかそれが疑問です。
先日も、DIY店で農産物部買い物をして「ぬかご」(地方によって別の名)はないかと、アルバイト(20.23歳か)と訊くと、まったく違うコーナーを云うので、改めて「ぬかご」というと、まったく知らない。
すったもんだしていると、年配店員が入ってきて、それに若いアルバイトが訊くと、「今期はまだ届いておりません」、と明確な返事が返ってきた。阿吽の問答で私は納得したが、そのアルバイト女は、その意味を全然理解していないと思われた。(そんなことが日本全国で展開している)
まして「失われた30年」のなにを失ったのか、といったら、それは事務屋の方便で、なんとなく形容した文言で、それを上塗りメディアが、喧伝したものだから、あっという間に日本に浸透したのです。※日本以外に通用しない。
その魔訶不思議な廃棄物籾殻を、いかにして再生処理生産するか、という話しは、日本農業国にとっては死活問題で、農家は、農家のまま存続されないと、日本国土が疲弊してしまう、という重大な国家治山治水に直結する問題なのです。
しかし肝心な「農家」(私の近在部落の仲間もいる)にとって「失われた30年」というメディア語は、まったく理解できないし、なにを指摘するのか判らない。そこでシロモノ家電が中国製、だと云うと、なんとなく理解したような顔になりますが、実際、なす、きゅうり、トマト等を栽培するのに、どこで30年を失ったのか、その方程式X、の代数も彼らには判らない。
かりにその30年が溶けた、というのであれば、だれが、そのるつぼを用意したのかといったら、それが「イーロンマスク」だったと、はっきり名指ししたのが佐藤優氏でした。
そんなことで、今の「るつぼ日本」を語るのに、二つの二ユースで、そのことがよくわかった、という記事を紹介してみましょう。といっても、それは後継者不在農家、とは無関係な話で、「廃棄物籾殻」問題については、なんの影響を与えるものではありません。
■文中引用記事
佐藤 そこから説明するとわかりやすいです。
クライナは今年、小麦が豊作です。僕もロシアの新聞をきちんと読むまで、ウクライナが小麦を輸出するために、ポーランドを抜けてヨーロッパに行く列車を通せってことで暴れてると思っていたんです。しかし、そうではありませんでした。ポーランド向けにウクライナ産の小麦を売るのを認めろ、と言っていたんです。ポーランドを通過して西側やアフリカに出すのではなく、ポーランド向けにちゃんと売らせろと言って暴れている。そしてポーランドは「それは勘弁してくれポーランドの農家が崩壊してしまう。我々はウクライナ産小麦の国内通過を全部認めてるじゃないか」と反論したわけです。
――米国・西側諸国から供与される武器は、ほとんどがポーランド経由でウクライナに入ってます。それなのに、なんでそんなバカなことを言い始めるんですか?
佐藤 金が欲しいからです。そして、ウクライナの意識だと「ロシアに世界が席巻されないように、お前たちのために戦ってやるんだから援助して当たり前だ」と。これが本音です。
――イーロン・マスクはその辺りを含めて、ゼレンスキーの金の亡者ぶりを揶揄した。
佐藤 そう見ていいと思います。今出ている『イーロン・マスク』の評伝が面白いんですよ。
――初の公式伝記ですね。佐藤さんから見たイーロン・マスクは天才ですか? 一部抜粋
コラムニスト 河崎 環
人材の劣化だという。「日本の政治家が劣化したから、その相手をする官僚も劣化した。今、優秀な人材は官僚にはならないでしょう。メディアがしっかりして、日本の問題点をきちんと指摘しなきゃいけないのに、その役割を放棄している」
「政治の劣化は国民の責任でもありますよ。選挙が人気投票になってしまうのは自然の成り行きなので、イギリスでは各政党が候補者選抜をしっかりやって、おかしな人が出てこないようにしている。しかし日本では、自民も維新もタレント候補を連れてきて、有権者をばかにしているでしょう。なのにそれを選んでしまう有権者も愚かです。タレント候補に頼っているような政党はろくなことがない。トランプが大統領に選ばれたとき、パトリック・ハーランさんが『恥ずかしくてアメリカ国民をやめようと思った』と発言していたけれど、僕も今の日本の政治家を見ていて日本国民をやめたくなりますね」
「今の日本は、先進国の中では二等国です」 日本の「劣化」は、英国在住の黒木にとって肌で感じるものだという。
「国民年金なんて、日本の支給額は年間せいぜい70万円ですが、イギリスは年間180万円が支給されます。今回の帰国フライトでも、欧州からの便に乗っている客は95%欧米人。インバウンドが復活しているのは、日本の物価が異様に安いからで、例えば欧州でもギリシャやポルトガルを見ても分かるように、世界的に物価が安いのは “貧しい国” である証しです」
部分抜粋
二等国日本 河崎 環
■ 個人的な一言「老婆の初恋」コラム
昨晩、noteのセミナーがあって、参加された方もいらっしゃったことでしょう。ま一口でいったら、いかにPVを挙げて利益につなげるか、という話しをnoteの徳力基彦氏が解説したものでした。こうした試みは、他のSNSではしてないので、判り易くて、よかったとおもいます。
難を云えばアップする「メーカーサイト」が、このnoteでなにをしたいのか、それが今一、はっきりしない、というまことに日本的な、物言い、で納得したものです。
とくにメディア社、またそれに準ずる出版社、など広告煎じ版は、理解しますが、「noteはクリエイター」が看板ですから、その発掘とか、育成とか、やらないのか、という疑問は私のみじゃないと思われます。
というのも「私作家になります、なりた~いい」とか、電子本卒業して紙作家希望とか、そこかしこで囁きがあったり、「最近noteはじめました」という新人挨拶があったり、その反対で、引退?(の場合は挨拶なし)で、新陳代謝も結構あります。
noteは平穏無事が基本ですから、逸脱しないようにアルゴリズムがしっかり管内監視していて、海洋国家の体勢そのもので平和主義を貫いて安定してますが、やはりハイリスクの観点も装填して、スリリングなクリエイターも、欲しいな、という感想もなくはない。
また、メーカ―サイトのアピール方法でも、江戸幕藩体制から、なかなか抜けきらない、という体質もあって、相応に年齢も重ねてきており、また変革の呑舟(どんしゅう)するようなコペルニクス変換が来ている、と切望しています。表層は獲得しているが実数不足とnote本人の分析ですが、それを果たすには、血判が必要なのでしよう。
私の近況ですが、やりかけの「マリアート」も進捗したいし、その「老婆の初恋」として結実したいと思います。
なにより、このnoteから、新世紀の気鋭新人クリエイター(本アニメ)を輩出するためにnoteと、メーカー、出版社、協賛メディア、が、その気になって、構想を練っていただきたいと、初恋の老婆の淡い期待を吐露しました。
【マルクス『資本論』を受肉したイーロン・マスクの正体 #佐藤優のシン世界地図探索 ㉚】 2023/10/27(金) 7:00配信/ news.yahoo 週プレNEWS
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!
――X(旧Twitter)に電気自動車、そして宇宙にいたるまで全領域で活躍しているイーロン・マスク。ロイター通信が『マスク氏、ゼレンスキー氏の軍事援助要請を揶揄(やゆ)』と報道すると、Xに「5分経っても10億ドルの援助を求めてこない」とゼレンスキー大統領を嘲笑するミームを掲載。これに対してウクライナが反発しています。
ウクライナ軍にとってイーロン・マスクが提供している「スターリンク」は死活的な役割を果たしていますが......。
佐藤 イーロン・マスクは「ウクライナがクリミアを取ることは絶対にできない。そんなこと試みれば世界戦争になる」と言って、スターリンクシステムがクリミアに近づくと切れるよう指示していました。それも背景のひとつでしょうね。
――イーロン・マスクがなぜ、ゼレンスキーの援助要請を揶揄したんですか?
佐藤 国連でゼレンスキーがポーランド相手に暴れたからじゃないですか。
――なるほど。
佐藤 そこから説明するとわかりやすいです。
ウクライナは今年、小麦が豊作です。僕もロシアの新聞をきちんと読むまで、ウクライナが小麦を輸出するために、ポーランドを抜けてヨーロッパに行く列車を通せってことで暴れてると思っていたんです。
しかし、そうではありませんでした。ポーランド向けにウクライナ産の小麦を売るのを認めろ、と言っていたんです。ポーランドを通過して西側やアフリカに出すのではなく、ポーランド向けにちゃんと売らせろと言って暴れている。そしてポーランドは「それは勘弁してくれポーランドの農家が崩壊してしまう。我々はウクライナ産小麦の国内通過を全部認めてるじゃないか」と反論したわけです。
――米国・西側諸国から供与される武器は、ほとんどがポーランド経由でウクライナに入ってます。それなのに、なんでそんなバカなことを言い始めるんですか?
佐藤 金が欲しいからです。そして、ウクライナの意識だと「ロシアに世界が席巻されないように、お前たちのために戦ってやるんだから援助して当たり前だ」と。これが本音です。
――イーロン・マスクはその辺りを含めて、ゼレンスキーの金の亡者ぶりを揶揄した。
佐藤 そう見ていいと思います。今出ている『イーロン・マスク』の評伝が面白いんですよ。
――初の公式伝記ですね。佐藤さんから見たイーロン・マスクは天才ですか?
佐藤 金さえ持っていれば、ああいうふうになる人はよくいますよ。
――そんなにイーロン・マスク系がいるのですか?
佐藤 1000億円以上持つと、あのような人間はたくさんでてきます。ロシアでも山ほど見ましたよ。国有財産を横領したり、石油・ガスで大儲けするなどして、結構な人数が1000億円以上持っていました。
米国では国家資本の横領は出来ないし、石油ガスにはすでに巨大資本が入っているから割って入れません。私の知っているロシアの寡占資本家だって、米国みたいな環境にいたならば、マスクくらいの仕事はしたと思いますよ。
――なるほど。
佐藤 マルクスが『資本論』で「資本家というのは、特定の人間の性格を問題にするのではなくて、資本が人格化している」と言っています。
だからマスクがあれだけ金を持っているというのは、マルクス経済学的に言えば「よく従業員からこれだけ搾取しましたね」となります。つまり、マスクの巨大資本は従業員を搾取した証拠ですよね。
――佐藤さんは評論で、「マスクはマルクス理論を受肉した人間である」と断じています。
佐藤 そうです。だから、マスクの行動は資本論に書いてある通りですよ。
――しかし、マスクは天才だ、とかよく言われますけど、佐藤さんの印象は?
佐藤 マスクが失敗したとしても、別の人間が同じ事をしますよ。そこら辺にいる人がね。
――誰でもマスクになれてしまう、と。
佐藤 クレジットカードを安心して使いたい。もし、事故が起こったら面倒見てくれる決済システムがあればいいなって、みなさん思いませんか?
――思います。
佐藤 地球温暖化について色々言われていて、内燃機関に比べれば作るのが圧倒的に簡単で電気で動く自動車が作れないかな、と思いませんか?
――思います。
佐藤 月や火星に行きたいと思いませんか?
――思います。だんだんイーロン・マスクが普通のおじさんに見えてきました。
佐藤 普通の人が思いつく程度のことを、巨大資本の強引さによって実現に向けて進んでいった、ということですよね?
――他人から搾取してお金を集めることが上手だったと。
佐藤 そうです。普通はこういうふうにやると疲れます。ZOZOの前澤友作さんは疲れてしまった。しかし、マスクは疲れません。そこにはやはり脳の接続や親の虐待など、色々な要因があるかもしれないですね。
――やはり、マスクはマルクス資本論を受肉した"化身"。
佐藤 そうだと思います。だから、いつまでも資本の論理を実行し続けると、普通の人間は疲れて引退してしまうにもかかわらず、マスクはまだまだ現役なんでしょう。
――マスクは止まらない!
佐藤 一生涯食っていける金があるんだったら、現金化してリタイヤするケースがよくあります。それが不安定な環境で、常に戦っていなきゃいけない人生を選んでいます。これは資本の論理を体現しているからですよね。
以下割愛
「日本はますます劣化」「先進国の中では二等国」英国在住の作家が語る“失われた30年”
河崎 環:コラムニスト 河崎環の「余計なことしか考えない」 ダイヤモンドオンライン 2023.6.20 4:15
ロンドン在住の経済小説家・黒木亮氏(以下敬称略)。バブル期に邦銀金融マンとしてヨーロッパや中東を駆け回り、1988年から30年以上英国で暮らす黒木は、海の向こうから日本の「失われた30年」を見つめてきた。
特にこの3年はコロナ禍という世界共通の課題があり、どうしても英国と日本を比較してしまうと話す。今の日本は先進国の中では二等国、と厳しい評価を下す黒木が、祖国に向けるまなざしとは……。(コラムニスト 河崎 環)
大手銀行で国際金融を担当、30歳でロンドンへ赴任
大学時代はランナーとして箱根駅伝に2回出場、卒業後は日系バンカーを経て作家へ。2000年『トップ・レフト』でデビュー以来、国際金融市場での経験を生かしたリアリティーある作風で熱狂的なファンを持つ経済小説の名手・黒木亮は、自身の“前史”を明かす新刊『メイク・バンカブル!』を手に、新人バンカー時代を振り返った。
「ロンドンに赴任したのは30歳、1988年のことです。新卒で大手銀行へ入行し、カイロ・アメリカン大学への留学から帰国してからも国内支店の営業を経験したけれど、ずっと国際金融畑への憧れがあった。人事部への直談判でもぎ取った金融街・シティでのキャリアは6年。中東とアフリカを担当し、シンジケートローン(国際協調融資)案件をたくさんこなしましたね」
シンジケートローンとは、複数の金融機関が協調融資団を組成し、各金融機関が共通の融資契約書に基づき同一条件で融資を行う、大規模な資金調達の手法だ。
書影『トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て』
『トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て』(角川文庫)
中東とアフリカを任されたのは、黒木がカイロ・アメリカン大学で1年10カ月の留学生活を送り、中東研究の修士号を手にしていたことにもよる。
「僕が銀行に入った1980年っていうのは、オイルマネーが国際金融市場を席巻していた。だから中東関係をやれば一生食いっぱぐれがないかなというのもあったし、ダイナミックにいろんなことが動いていて、面白かったんです。それから、ミミズののたくったようなアラビア文字を読めたら素晴らしいなと、好奇心的な興味があったんですよね。そう真面目に考えて志望したんだけど、当時はやっぱり変わったヤツだと思われたようです(笑)」
紳士然とした黒木はそう言ってほほ笑んだ。
カイロ・アメリカン大学へ留学し
中東・アフリカを担当
当時はニッチに映ったかもしれないが、中東を専門にするという戦略は実に正しかったとしか言いようがない。黒木はバブル絶頂期の日系銀行のプレーヤーとして、目覚めつつあった中東とアフリカへ投資マネーが注ぎ込まれるユーロ市場のダイナミズムの中へ、飛び込んでいく。
「あの頃、中東アフリカを専門に、真面目にファイナンスに取り組む人は少なかったから、僕のキャリアは日本人としては若干特殊かもしれないですね。中東は当時から製油所、発電所、淡水化プラントなどのプロジェクトファイナンスが盛んだったから、やることはいっぱいあった。だけど当時でも大きくて数億ドル規模。今じゃ10倍のサイズでしょう、ゼロが一つ少ない時代です」
『メイク・バンカブル!』にも、黒木が融資団の主幹事役を務めた航空機ファイナンスの顛末(てんまつ)が収められているが、宗教的な事情や国民性の違いなど、読み手もしびれるようなリアルさ、臨場感だ。
サウジアラビア航空が1億500万ドルの貨物用ジェット機を1機調達するシンジケートローンに、邦銀6行、中東の銀行が4行参加。仕事の話しかできないアジア人を見下すような教養主義の英国人、野心家で戦略に長けた米国人、国内のポジションもプライドも高いアラブ人の間を縫うように、邦銀バンカーが奔走する。のみ込みが早く、シンジケートローン案件のマンデートを次々と取りにいくヤングバンカー・黒木の姿は、時代と才覚の追い風を受けた小気味よい疾走感で描かれている。
アラブ人、トルコ人、インド人……
優れたバンカーに出会う
世界中の資本と野心が吸い寄せられ、いまや高々とした巨大建設が次々と建ち上がっていく中東。だが80~90年代の中東は、今以上のハイリスク・ハイリターンを地で行く不安定ぶりでもあった。
バーレーンからオマーンの首都マスカットへ向かうべく乗った、ガルフ・エアー機。ところが着陸まであと10分というところで技術的問題が起き、目的地が急遽アラブ首長国連邦のアブダビへ変更される。胴体着陸を覚悟してアラブ版“水杯”まで交わしたクルーや乗客たちが無事の着陸を喜び合う光景の活写などは、当時の生の息吹を知る黒木ならではだ。
※水杯(みずさかずき)…二度と会えないかもしれない別れのときなどに、杯に酒の代わりに水をついで飲み交わすこと。
そんな日々の中で、若き日の黒木は優れたバンカーたちに出会い、プライベートでも親交を築いた。
「インド人やトルコ人、アラブ人バンカーは親しみやすかったですね。僕がカイロ・アメリカン大学を出ていることで、クウェートやバーレーンへ出稼ぎしているようなエジプト人も親しみを持ってくれました。エジプト系アメリカ人のバンカー、ムラード・メガッリとはとても仲が良かった。二卵生双生児のモナというシスターがいて、家内を含めて4人とも同い年だから、家族ぐるみの付き合いでした。ムラードは元シティバンク、僕が知り合った頃は金融コンサルのパンゲア・パートナーズ・リミテッドのパートナー、その後はチェース・マンハッタン銀行の中央アジア・トルコ・中東地区のCEOになった」
以下割愛