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社会は「一蓮托生」で陥穽されていた

電子計算機使用詐欺容疑逮捕「田口翔」被告の今後の行方?

ほぼ解明された、といっていいでしょうこの事件。それにしてもこれから始まる容疑者の取調べ調書の記述が気になるところですが。

個人的に利害関係をまったく持たな身として、SNSご意見番的、「ああいえばこういう」論を書きたいとおもいます。

この界隈では著名な「山本」氏が、文春に特別寄稿したものを読んで、ほぼそれに近い意見に同調したので、併せて紹介したいとおもいます。

総括結論として、これに関わったほぼ全員が何らかの後ろめたさがあり、奥歯にものが挟まったような、そんな違和感を抱きつつ、一人悶々とトイレまた風呂で試行錯誤した様子が伺えます。
それがなにかといったら、端数者でありながらそれは「一蓮托生」として加担しているのではないかという罪の意識。それが本件を複雑にし、最初からはっきり云えばいいものをペットボトルのぬるい「お茶を濁して」しまって、時間がたって中身がすっかりコーヒー色に混濁した、という比喩ですが、この判らなさが、そのままこの事件でした。

そもそも動機付けは犯人の「よこしま」な略奪意識があったことでしょう。(でも、100人中何人が、まっとうに返金したかの意識)いろいろ判明した身元身辺の経済状況を勘案したら、露出された甘言に誘惑される。
また、よりによってそこに送金したという阿武町の不手際というかフロッピー騒動災禍というか、ここでも、いらぬ情報のバイアスが、もろにかかって平和な町が一瞬にして戦場と化してしまった。
(余談ですが、事件初動で容疑者と思われた当人と職員が車で銀行に向かう場面がニュース報道されましたが、その時点でまったくそれは映画シナリオそのものに擦り代わってしまったようでした)。

この時点で当該事件は、事実を超えた「小説」に向かっていったようでした。
その後の詳細なニュースの一部始終が金融機関の対応など、それを物語っていたのです。また報道内容が日々、更新されており正確な取材がされていなかったことも一因していたと推定されます。

これもやはりた「痛い、痛くない」腹を探られるのを嫌気して、ある日突然、咄嗟に町資金9割を口座に正送金された、ということも漫画的で、これがまさに一蓮托生説を物語っていたようです。

そのことを詳細に整理したのが山本氏の記事でした。

■決済代行業者が素直に差し押さえに応じた理由。
違法なオンラインカジノへの入金を扱う決済代行業者は、その大半がクレジットカードやデビットカードなどの決済を通じて日本人から日本円の振り込みを行う形になっており、ここで違法と知りつつ資金を決済代行したことが発覚した場合、いきなり決済代行業の登録が取り消されることになります。三振や注意、警告などを経ず、ワンストライクアウトです。つまり、日本国内では違法であるオンラインカジノを利用するために使う資金決済業者、それと知りつつ告知宣伝に加担するサイト開設者、そこでオンラインカジノの利用状況に応じて報酬を支払うアフィリエイト業者、そのアフィリエイトの広告を取り扱うネット広告代理店という日本国内法では違法な事業者に日本人を流し込む悪党の皆さんに突然スポットライトが当てられてしまったのが、この田口さんの事件だということになります。~~~

ここでいう「悪党の皆さん」というのは一体誰なんでしょうか。私としては門外漢なので適当なことは云えませんが時代劇の定型悪だくみ『〇〇屋、お主もワルのよう』のアレでしょう。

この一連の「ネットカジノ決済代行業者」ALMとか甲乙丙の仮称は、どうして正規看板呼称表示しないのか、とか出来ない理由は、正当バンクの隠れ蓑金融機関であるからと換言されなくもない。その元をたぐれば胴元親分日の丸が待機するというのは、よく在る話しですが。

ついでに憶測でいうなら雑魚がよくやる手でノミ屋がある。買ったはずの当たり券は実は買ったように見せかけ詐欺をする。その掛け金が大きければ瞬く間に胴元には万金が腹巻に満たされる。なにごとにも悪事は持続しないというセオリーにのっとり、それが一夜にして白日夢に晒されると、狼狽、大慌てで、たまった資金を一気に解放してその場を繕う。それはまったく故事に倣い、「泥船」だったり中身空洞の「張りぼて」だったりする。

そんな園児劇を描いてみたのですが、粗野な筋にしては、今回の事件をよく代弁していて、そこに一蓮托生と云う、世の習いが鮮明に浮かび上がったというお伽話しでした。


2022年05月27日記事

とんだサスペンス劇演出だったが(メディア)はそこで何を伝えたか、?

「4630万男」田口翔さんが、図らずも金融犯罪の対策に゛大貢献゛した件について
2022/5/27(金) 6:12配信 山本 一郎 文春オンライン
 人口わずか約3000人の山口県阿武町が振り込み間違いを起こしたことで一躍日本中の話題をさらった田口翔さん24歳。日本中で報じられ、パブリックエネミー扱いとなったうえで、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕されてしまいました。

 この中で、田口さんが滞納していた税金の徴収を理由に、阿武町が国税徴収法にもとづいて田口さんの送金先だった決済代行業者3社の口座を差し押さえるという前代未聞の方法で4630万円の大半を回収してしまうという荒技が飛び出しました。

悪党の皆さんに突然スポットライトが当てられてしまった ciStock.com

 また、過日に証拠改ざん事件において逮捕・起訴されて有罪判決を受けた前田恒彦さんがヤフーニュースでのコメントに「いったん男に返し、その上で改めて町が差し押さえる必要がある」と書いたことが拡散されて誤解が広がってしまいましたが、手続き上、当然資金を田口さんに返す必要などはありません。その代わり、この決済代行業者が差し押さえに応じた理由と今後の展開に大きな関心が集まっています。

 中略

 さらには、これらのオンラインカジノが違法であることを知っていながら、ニュースサイトや広告などを通じてインターネット上でオンラインカジノへの参加を促し、使った金額に応じて収入が得られるアフィリエイトを手がける人たちも急増しています。

 つまり、日本国内では違法であるオンラインカジノを利用するために使う資金決済業者、それと知りつつ告知宣伝に加担するサイト開設者、そこでオンラインカジノの利用状況に応じて報酬を支払うアフィリエイト業者、そのアフィリエイトの広告を取り扱うネット広告代理店という、日本国内法では違法な事業者に日本人を流し込む悪党の皆さんに突然スポットライトが当てられてしまったのが、この田口さんの事件だということになります。ありがとう、田口翔さん。
決済代行業者が素直に差し押さえに応じた理由
 違法なオンラインカジノへの入金を扱う決済代行業者は、その大半がクレジットカードやデビットカードなどの決済を通じて日本人から日本円の振り込みを行う形になっており、ここで違法と知りつつ資金を決済代行したことが発覚した場合、いきなり決済代行業の登録が取り消されることになります。三振や注意、警告などを経ず、ワンストライクアウトです。

 問題のある代行業者の洗い出しが進むようであれば、そのようなところは立ちどころに反社会的勢力の扱いとなり、銀行からの直接入金はもちろん、仮想通貨(暗号資産)などの取扱業者も網がかかり、さらにはプリペイドもふさがれることがあるかもしれません。

 犯罪収益移転防止法では、オンラインカジノなど違法賭博を運営する反社会的勢力の関与が疑われる、いわゆるハイリスク取引に対しては、田口さんではなく金融機関の側が取引時確認を行い、7年間の帳票類の保存をしなければならないと定めています。「実はオンラインカジノでした」という口座への振り込みを、これらの金融機関や決済代行業者がやらかしてしまっていたのだとすれば、1年以下の懲役という罰則がありますし登録も召し上げられるので大変です。

自腹を切る形で進んで返済に応じた形
 いきなりではなく、半年とか、1年2年かけてゆっくりとリストが充実していって、徐々に締め出されていくことになろうかと思います。簡単に銀行入金してオンラインカジノ、という状況ではなくなる恐れがあるんですよね。

 また、大手の決済代行業者であれば特に、日本国内の登録だけでなく、これらの違法な決済を仲介した場合にはVISAやMasterなどクレジットカード会社からの契約を一方的に取り消される恐れがあります。これも警告なく取り消しをしてよい仕組みになっているので、今回のように阿武町側の代理人が国税徴収法にもとづいて決済代行業者の口座を差し押さえるにあたり、田口さんが違法であるオンラインカジノに資金を入れたことが法的に確定してしまうと、田口さんがどうであるかに関わらず決済代行業者が認可の取り消しやクレカ・デビットカードの取り扱いからBANされるので突然死を迎えてしまいます。

 したがって、決済代行業者からすると行った決済の中身に関わらず田口さんとの取引全額に対して、まずは払い込まれた全額を弁済しなければ事業として潰されてしまうことを恐れて、自腹を切る形で進んで返済に応じた形なのでしょう。

 もちろん、差し押さえられた口座の弁済に応じて町側の損害が回復したとしても、これらの決済代行業者がオンラインカジノへの支払いを代行した事実は消えません。町側代理人がそこまでのことをしないとしても、少なくとも、電子決済等代行業の取り扱いを行う金融庁からすると(この場合は山口県を担当する中国財務局が)調査を行う方針となれば、ほぼ100%の確率で登録を取り消すことになるでしょう。

 気が付いてみれば、オンラインカジノは日本国内で違法とされていながら、実際にどのくらいの日本人がオンラインカジノをプレイしているのかよく分かりません。このあたりは、国際カジノ研究所の所長をしている「木曽崇」さんがカジノ側の事情をYouTubeで解説しているのでぜひご覧いただければとも思います。

木曽崇ツイッターhttps://twitter.com/takashikiso

甘すぎる日本のマネーロンダリング対策
 金融行政側の事情からすれば「そんなに一般的な存在になっていたのか、違法なオンラインカジノの利用実態は」という話になりますので、実態調査をしようという動きになるんじゃなかろうかと思います。実際、金融庁では仮想通貨と並んでオンラインカジノでの決済トラブルについてそれなりの件数の被害相談が寄せられているようですので、とても熱量が上がってきている面もあります。

 また、クレジットカード会社側の審査においても、マネーロンダリング対策(AML/CFT対策)の一環として、望ましくないカード決済に対してカード会社ごとの独自の基準で決済を差し止める取り組みが強化されてきました。同様に、日本の金融機関(銀行や地銀、信組など)でも、このマネロン対策のための枠組みをどう強化するべきか議論が進んでいます。

 というのも、世界的なマネーロンダリング対策という観点では、日本は落第点扱いである「重点フォローアップ国」という扱いになっています。つまり、犯罪収益の国際的な経由地として日本が当事者であったり、踏み台にされたりすることが多いので、いい加減にしろやということで怒られが発生している状況にあるんですよね。

 一番大きい原因は、紙の通帳と印鑑で過去から現在まで適当に通帳を作らせていた時代が長かったことです。つまりは、地銀も信組も信金も農協も、いっぱい銀行口座作らせたけど、誰がどの口座を持って、どのくらいの預金残高があるのかさっぱり分からない状態なのです。その口座を第三者が買ってなりすまし、メルカリやメルカリ、ネット通販、メルカリなどで取り込み詐欺をやるときの踏み台口座にされたら、誰にも実態は分らないし追跡もできないことになります。

 今回のオンラインカジノへの入金は、田口翔さん本人がドーンとカネを資金決済代行業者に振り込んで決済していたのでバレましたが、オンラインカジノへのアフィリエイトも掛け金入金も、普段はうまくオンラインカジノへの入金と分からないように手配をしてきたであろうことは間違いありません。なので、今回急にスポットライトが当たってしまい、みんな右往左往しているというのが現実ではないかと思います。

 ただ、これらの問題はお上が認めたギャンブル以外は概ね違法とされている日本でのみ起きている問題でもあります。実にデリケートなところで、これらのオンラインカジノ自体は日本では違法ですが、海外では別段違法だよって話でもありません。

 イギリスのブックメイカーのようなところでのオンラインカジノ(ベッティング)では、日本のプロ野球から大相撲、果ては高校野球に至るまで、普通に賭けの対象になっています。日本のスポーツ放送の売り上げが海外でそれなりにあるのも、これらのオンラインベッティングを利用する人がいるのが理由とも見られます。どの程度が日本由来のベッティングなのかちゃんと調査もされていない現状ですが、かなりの数の日本人がそこで賭けを楽しんでいるのは間違いなかろうと思います。
日本社会のギャンブル問題を考える良い機会になったのでは
 なにぶん、刑事事件になりましたので、今回の件で満額弁済したからいいでしょうで終わりとはならず、決済代行業者も本件事件でポリスメンから調書を取られるところで大勝負があるのでしょう。金融サラ金系から過払い多重債務系まで、法曹関係者も総立ちになりますし、でも海外で運営されているオンラインカジノを日本では違法だから駄目だと差し止めることもむつかしいでしょうし、どうするんでしょうね。

 もうこの際だから、海外のオンラインカジノやベッティングをある程度適法化処理してしまって、その代わり、賭けの具になっているスポーツや公営ギャンブルに対して運営協力金などの名目でバックするような仕組みを作ろうよ、という議論もまた再燃するかもしれません。Jリーグのサッカーくじもまた、FIFAが手がけるEWSみたいな八百長監視システムのような監視のもとでやるのは当然になっているいま、賭けの対象となるスポーツもうまくカネが回るエコシステムが必要なんじゃないかとも思うんですよ。

 例えば、アメリカのプロバスケットNBAでは、選手組合であるNBPAと共同で主催する試合に関するデータを放映権とは別に収集し、ベッティングで使う権利を売り、ベッティングの収益配分を得るような仕組みができています。アメリカでは2018年に国際的なスポーツベッティングが合法化され、NBAをはじめ野球競技(MLB、MiLBや独立リーグ含む)やF-1などもベッティングの対象になっています。

 言い換えれば、スポーツでの賭けも、八百長を防ぐ仕組みを用意したうえで商業コンテンツの一形態として「二次利用」され、それが利用料としてスポーツの振興に資すればそれでいいじゃないかという割り切った議論になるわけです。

 かたや、日本ではこれらのスポーツベッティングは公営ギャンブルとの競合もあって違法のままで、いわゆる賭博と同じ扱いである限り、仮に欧米の上場企業が堂々と参入するようなオンラインカジノであっても全部違法という法的立て付けです。そればかりか、日本ではご存じの通りカジノ(IR推進法による滞在型リゾート)解禁となりながらも、パチンコ、パチスロなどの遊技業や、競馬競艇競輪など各種公営ギャンブルの扱いもまだ定まっていません。

 いまだに「パチンコは警察の利権」と思い込んでいる日本人も少なくなく、この辺の日本社会と賭博の関係についてあまり冷静な整理がされないままカジノ法案が通っちゃったというのが現状なのではないかと思っています。

 こういう世界的状況について、まさに議論のど真ん中を開拓してくれたのが俺たちの田口翔さんだったんだという現実を噛み締め、もちろん当面は違法な資金決済代行業者の摘発も進めていただきつつも、日本社会のギャンブルについてもう少し考える機会が来るといいんじゃないのかなと思う次第です。山本 一郎


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