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鈴を持つ者たちの音色  第五十一話”イマジネーション③”

30分の余白を得て三人は控室のロッカー前で戦いの準備をする。

さっき戦いを終えたばかりのGO(豪)は次の策を考えていた。次の戦いは乱戦になるのは目に見える。簡単には勝てないのはわかっている。
頭の中で攻め方を反復する。いや、固定観念は良くない?いろいろ迷って、いつも通りの自分のやり方でいく。と決めた。決め技も”アレ”でいく。と整理し終えた。

BOO(武)は次の戦いに備えて刃物を使うことを思案していた。次の戦いは刃物なしだとどう考えても自分が一番不利だった。BOO(武)は基本刃物を使わない。しかし、今は特別だ。
刃物に頼った時は身体が止まる。気をつけないといけない。そんなリスクがあるのを承知の上で使うことを決めた。
BOO(武)は何回かしっかり刀を振り、動きを確かめた。そして、
腰に”脇差し”を差し込み準備をする。
BOO(武)の”脇差し”は長さが30センチにも満たない小刀だが、有るだけで戦いの幅が増えるはずだ。

剣士Gは待ち時間の間ロッカー前のベンチに座り、物思いに耽っていた。
GO(豪)の剣だ。
アレはどう見ても自分と同じ剣。”七星剣”だ。
なぜGO(豪)が持っているのか?
そしてGO(豪)はいったい何者なのか?
いや、GO(豪)だけじゃない。
先程戦ったあのGE(ゲン)とやら。GE(ゲン)の剣も怪しい。錆びていてあまり気にしなかったが、受けたこの傷跡を見て驚いた。全く当たりもしていなかった。なのにあの錆びた剣の太刀傷とは思えない傷跡だ。
医務室で見たGE(ゲン)の刀は、戦い後には光が強くなっていた。”あれ”の変化は戦いを重ねて光が強くなる武器。それは同じく”七星剣”に通じる。
宿主の実力に比例して剣も成長し強くなる。
次の戦いでGO(豪)の正体も明白になるだろう。それも楽しみかな。と、心が躍動した。

さぁ。と、剣士Gが立ち上がった時、大男ガイムが寄ってきた。

大男ガイム:「なぁ。お前が負けるとはおもわないが、さっきお前が戦った相手‥」

剣士G:「ああ。”空間斬り”。それも俺と同時に打ち出した。」

大男ガイム:「なんだか。今夜は俺もお前も自分の分身みたいなヤツのオンパレードだな。
なんだか嬉しいような嬉しくないような不思議な気持ちだ。
気をつけろよ。」

剣士G:「笑。ああ。お前もな。(剣士Gはいつものように大男ガイムの尻を蹴飛ばす)」

===マイクパフォーマー:「お待たせしました!さぁ。いよいよはじまります。今夜のメインイベントー。集団同時バトルがはじまるよー!⤴︎
対するはー。我らが”積み木の丘”伝説ー。せっかちの剣士ぃー”G(ジーィィ)”!」

剣士Gがフィールドから現れてマイクパフォーマーに”くたばれ”とジェスチャーして出てくる。会場が沸く。

マイクパフォーマー:「つづいてはー。初回限定プレミアムカードー。もう今夜しか見られないかもしれないふたりー。武道家:BOO(武ブーゥゥ)!と剣士:GO(豪ーゥゥ)!!」
会場が響めく。

マイクパフォーマー:「なお。この闘いはみなさんご存知のように一本勝負。ルールは先ほどと同じ。ではここで、観客席にマイクを渡したいと思いますー。観客席”士魂の砦”のワンさんー?」

ワン:「はいっ。マイク移りました。観客席”士魂の砦”のワンですー。ここから観客の皆さんから戦いの前感想を聞きたいと思いますー。
はい。君何歳ー?」

15歳の少年:「15歳ですー。」

ワン:「今、夜の8時だけど眠くない?」

15歳の少年:「眠いわけないじゃん!こんなめったに見れない興奮する戦い。録画機があったら録画したいぐらいだよ。」

ワン:「今3人いるけど、誰を応援したい?」

15歳の少年:「やっぱり剣士Gかなぁ。BOO(武)もかっこいいけど、やっぱ我らが剣士Gはぶれないです。あの強さは僕も憧れます。」

ワン:「そっかぁ。やっぱり剣士Gかあ。それじゃあ君も大きくなったら剣士Gのようになってね! こちらの客席は剣士G人気が目立つようです。以上。”士魂の砦”スタンドからでしたー。」

マイクパフォーマー:「はい。ワンさん。ありがとうございます。もうひとつ逆側の観客席からも聞いてみたいですねー。そちらはどうですかぁ?観客席”大願の砦”のドレミさんー?」

ドレミ:「はい。こちら観客席”大願の砦”のドレミです。50代の女性に聞いてみたいと思います。さぁ。これからはじまりますナイトフェスティバル!あなたのイチオシはだれですか?」

50代女性:「私はやはり同じ”大願の砦”のジェシカを倒したGO(豪)ねぇ。ジェシカの為にもこの闘いを制して欲しいわ。(急に隣にいたジェシカの姉ジェシーがマイクをとりあげる)」

ジェシー:「おーい!剣士G!ここはジェシカのカタキをとってGO(豪)をやっつけろ!よー。わかってるな⤴︎お前は私もやっつけた。その借りもあるからなぁ⤴︎!わかってんなぁ!(マイクをドレミに返す)」

ドレミ:「‥こちらは”熱く”意見が既に隣同士で分かれております!どうか、隣の席同士で戦わないようにお気をつけください。以上、観客席”大願の砦”からドレミがお伝えしました!」

マイクパフォーマー:「いいですねぇ。闘技場も客席もヒートアップしてきました。それでははじめますよー。集団同時バトル”ナイトフェスティバル”はじめ!!」

3人が同時に中央に駆け出す。一斉に刃物を取り出す。3人の刃物が同時に当たり瞬間的に3人分の大きな火花が散る、一度二度、三度‥と散ったかと思うとBOO(武)がふたりの真上に跳んだのが見えた。真上から2人に向かって短い”脇差し”で攻撃をしている。

ジェシー:「なるほど。あの子の小さい身体と短い”脇差し”を真上から攻撃する事で効率化している。上からの重力で一刀の力が強く、2人の腕を高く上げさせる事で素早さに対応している。なんて機転が効くのかしら。」

しかし、この戦いは”3人”だ。
剣士GとGO(豪)がふたりで息を合わせた一刀はBOO(武)を真上から落とした。
剣士GとGO(豪)はそのままBOO(武)へ襲いかかってくる。
「ガッキーン!」
捕らえた!と思ったが、3人の動きは止まっている。
よく見ると、2人の剣をBOO(武)は”脇差し”と右手首にあらかじめ装着していた”甲手”で受け防いでいた。
BOO(武)は両手でそれを弾き攻撃に出る。
BOO(武)は剣を逆手で操る。受けた剣をすぐに攻撃へと変えられる。
GO(豪)はすぐに体勢を整えようとしたが間に合わない。己の剣を手から一瞬離し、BOO(武)の剣から逃げる。離した剣をすぐに持ち返す。戦中に手から剣を離したのははじめてのことだった。

剣士G:「GO(豪)よ。逆手の相手ははじめてか?戦いの最中に剣から手を離すな。お前の剣とお前は一心同体だ。斬られても離すな!それを忘れるな!」

GO(豪):「うん。わかったよ!」

BOO(武)は相手の隙を見て「チョンチョンッ」と、舞台の中央からバク転で離れた。

剣士G:「やる気だな」

GO(豪):「ああ。くる。”アレ”だな。」

BOO(武)は一呼吸だけ置いて「‥2倍‥3倍‥4倍‥」と走りながら部分的巨大化をはかる。

両腕と両脚が巨大化する。スピードど徐々に増す。

GO(豪)and剣士G:「”空間斬り”!!」

GO(豪)と剣士Gが”空間斬り”で空間が斬れる。
GO(豪)の方が若干技を繰り出すのが速かった。
ふたりがBOO(武)の真横に姿を現す。
剣を出すよりBOO(武)の巨大化した拳の方が速かった。
GO(豪)が飛ばされたかと、思ったが、BOO(武)がすぐにGO(豪)を掴み、剣士Gへぶつけた。

剣士G:「空間を把握しているのか?」

GO(豪):「いや。反応が速すぎる。”アレ”は野性の”勘”だ!」

剣士G:「(これは‥大男ガイムの言った通りかもしれない‥)」

剣士G:「GO(豪)よ!お前もせっかちだなあ!さっきの技のタイミング!ちょっと速かったぞ。そのせいでこの様だ。ああいう時はピッタリ合わせろ!もう一回だ。やってみろ!」

BOO(武)が移動する度に舞台がドカドカと揺れる。ふたりは再度位置についた。

剣士G:「GO(豪)。”空間斬り”はこの舞台の範囲内どこからでも、どの距離でも”斬れる”か?」

GO(豪):「大丈夫です!どこからでも、このぐらいの距離ならいけます!」

剣士G:「よし。分かった。いいか、よく聞けよ。”空間斬り”はただ闇雲に相手の間合いに合わせて飛べばいいってもんじゃない。相手の移動距離を測るんだ。」

GO(豪):「えっ?相手の移動距離?」

剣士G:「そうだ。例えば今目の前にいるBOO(武)だ。移動距離は測れるか?」

GO(豪):「ええ‥なんとなく。目分量ですが‥」

剣士G:「ほらっ。なんとなく。だからダメなんだ!いいか。よく見てろっ。」

剣士Gはひとりで”空間斬り”をしてみせる。
BOO(武)の手前に現れ、BOO(武)の間合いに入るが刀は振らない。BOO(武)の右拳を交わして距離を取りBOO(武)の背後へ回った。
再度”空間斬り”でBOO(武)の間合いに入る。同じくBOO(武)の蹴りを交わしてGO(豪)の立つ場所へ戻ってきた。

剣士G:「わかるか?(GO(豪)はポカーンと剣士Gを見つめる‥)、、」

剣士G:「要は距離感に妥協するな。という事。君は距離感が甘い。”空間斬り”でつめる空間が甘いせいで、BOO(武)の目の前に現れるのが少し早いんだ。あれだと誰でも一刀をかわせるぞ。ひとつ”間”があるんだ。その”間”を埋めろ。」

GO(豪):「なるほど。そういう事ですか!」

剣士G:「そういう事だ。よし。それじゃやってみるぞ。」

ふたりが並んだ。いざ本番。というところか。

GO(豪)and剣士G:「”空間斬り”!!」

今度はうまくいった‥と、
思ったが‥、

BOO(武)の右と左に同時に姿を現したが、刀を振るよりも速く右拳がGO(豪)、左拳が剣士Gをとらえた。両者飛ばされる。が、諦めない。すぐに体勢を変え着地と同時に再度左右から”空間斬り”を挟み斬りだ。
同じ手はしない。”空間斬り”の”間”を変える。
お互いBOO(武)を通り越した所から現れた。
「フェイント!」GO(豪)の刃がBOO(武)の背中を斬る。
「感触あり!」
一刀は浅かった。振りおろす剣の軌道はどうしても振りおろした時に動作が止まる。そこを狙われた。
BOO(武)はGO(豪)を掴みあげ何度も地面に打ちつけた。離さない。
そこへ剣士Gが斬りつける。 BOO(武)の指と指で合わせるように受け止めた。白刀取りだ。なかなか刀を離さない。

剣士G:「強い‥?」

ふたりは気がつかなった‥

剣士G:「おいっ。あいつ。巨大化してないか?」

GO(豪)もBOO(武)に握られたまま答える。

GO(豪):「ほんとだ。おかしい‥どんどん巨大化している。」

剣士G:「(大男ガイムの言ったとおりだ)BOO(武)は力を抑えきれなくなったんだ。やばいぞ。制御不能だ。」

GO(豪)がBOO(武)の手から離れる。

GO(豪):「どうやって止めますか?」

剣士G:「とりあえず観客席に被害がいかないように考えよう。」

剣士Gはマイクパフォーマーのマイクを奪う。

剣士G:「見ての通り。BOO(武)はおそらく巨大化を制御できなかったらしい。このまま巨大化すると以前砦を荒らした”大獣”になるかもしれない。そうなったら、この闘技場も破壊される。
皆よ。できる限りここから逃れる者は逃げてください。」

観客席からジェシーとジェシカがやってきて同じようにマイクを取る。

ジェシー:「逃げろったって、どのみちこの”BOO(武)”をなんとかしないと同じ事よ。皆で止めましょう!」

剣士G:「いや。止めるのは、よほどの自信家だけでいいです。逃れる人は逃げてください。」

BOO(武)は巨大化を止められない。
左にしてある腕輪はそのままだ。

WO(女):「大叔母!どうしよう!」

大叔母:「こんな事ははじめてじゃ。腕輪の制御力を上回るほどの力か‥。BOO(武)は修行で力をつけ過ぎたかもしれんな。」

BOO(武)の巨大化は止まったようにみえた。
それはBOO(武)が隠され”大獣”が自己を奪った瞬間であった。
「ギャワワワァァー!」
雄叫びをあげたその瞬間、大口から体内の気を集めた砲撃で闘技場の片隅を破壊してしまった。
観客は避難の途中だったが、被害者は運良くゼロ。何人かはその勢いで数メートル飛ばされた。

剣士G:「GO(豪)。弟を呼んでこい。俺に考えがある。」

GO(豪):「分かった。」

剣士G、GO(豪)、GE(ゲン)が並んだ。

剣士G:「3人の剣を合わせよ。」

3人の剣を目の前に剣士Gが語る。

剣士G:「いいか。この剣は”七星剣”という特別な剣だ。そしてなぜかここにそれが3本も今並んである。これはきっと、神のお告げだ。地球を”アイツラ”から護り、今はこの場を護れ。と言っている。
この剣の使い方は分かるか?(ふたりはNOと首を振る)
”無限大”だ。
人と同じようにどこまでも可能性がある。
強くなりたい、と思えば強くなる。
怠惰になれば、力は弱くなる。
そして今、さらに高みを目指して試せる時だ。
不安はなくてもいい。
俺に続け。」

3人がBOO(武)の変わり果てた姿の前に立つ。

大叔母:「うむ。ここはまかせた。時間が稼げそうじゃ。ちと”自制の実”をとってくる。」

WO(女):「ええー!皆んなを置いてくの?そんなの巡回員ゴールドに持ってきてもらってよー。何かあればどーするのよー。」

大叔母:「笑。大丈夫じゃ。ここには頼もしい”スズモノ”がいる。それに、これからは私に頼らず、お前たちでやっていかなきゃならん。これはいい機会じゃ。」

WO(女):「もーう。それじゃ”アレ”を置いていってよ。”世渡りジョージ”。作ったんでしょ?」

大叔母:「‥何でしってんだい?お前はー、ほんとに鋭いキレものだねぇー。あーこわいこわい。ホレ。何かあればこれで連絡してくれ。」

大叔母は背負ってきたリュックサックから”世渡りジョージ”をWO(女)へ渡した。
”世渡りジョージ”とは、鳥の形をした伝書鳩である。大叔母が今回の”世の行き来”旅の為に試験的に造ったものだ。
これがあれば過去〜現世〜来世まで幅広くメッセージを特定の人たちに伝えることができる。便利機だ。

BOO(武)はすっかり”大獣”になりはてた。
GO(豪)が何を言っても反応がない。

剣士G:「もう闘技場は壊させないぞ。俺たちがまもる。」

BOO(武)が3人に躊躇なく打ち出した。砲撃だ!

剣士G:「剣を合わせよ!(剣士Gが叫ぶ)」

3人で合わせた剣が砲撃を跳ね返しBOO(武)へそのまま向かっていく。
BOO(武)は「ガチン!」とその砲撃を大口で噛み砕いた。

ME(男):「なんちゅう‥すごっ」

剣士G:「うむ。いいぞ。今の要領だ。今は3本合わせたけど、もう君らは、一本でもイケるぞ。
いいか。今のように、跳ね返せると思えば跳ね返せる。斬ろうと思えば”斬れる”のだ。
やってみろ!」

GO(豪)とGE(ゲン)は二手にわかれる‥
BOO(武)は砲撃した。
2発それぞれGO(豪)とGE(ゲン)に‥

おそれもなくふたりは砲撃を剣で打ち砕いた。
そのままBOO(武)へと駆けてゆく。

「やめろ!!」

叫んだのは大男ガイムだ。

大男ガイム:「BOO(武)を斬るのはやめてくれ。このままだとBOO(武)は斬られてしまう。大獣にも心はあるんだ。ただ居場所がないだけ。
大昔は海底に居場所を見つけた。しかし、結局その場所にも人間はやってきた。
そして大獣の居場所を奪うようにその場所で暮らしてしまった。
大獣は大岩の中へ姿を隠した。
それでも人間は岩の中へもやってきた。 
暴れるしかないだろ!
暴れて力を見せつけ人間を従わせる。そうしないと居場所を獲得できないからだ。
大昔も今も何百年たってもそれは変わらない。」

大男ガイムは左腕につけた腕輪を外し、剣士Gへ渡した。

大男ガイム:「BOO(武)は俺が止める。俺も大獣化すれば自制を無くすだろう。もし、俺もBOO(武)と同じように手をつけられなくなった時は、お前がこの腕輪を俺に嵌めて元に戻してくれ。たのむぞ。」

大男ガイムはみるみる大型化しBOO(武)と同じ”大獣”になった。
2体の”大獣”がもみくちゃにぶつかり合う。
BOO(武)が砲撃しようと大口を開けたところに大男ガイムが手を突っ込みそれを阻止する。
BOO(武)が苛立ち大男ガイムを投げ飛ばし地面は隕石が落ちたほどの大穴をあけた。
地響きが3砦全体を揺らす。
その揺れは”大獣”がこの世に存在する証拠を、けたたましい大声と共に地球全体に響いたようにも思えた。

この世には”大獣”という命も存在するのを分かってほしい。もはやこれは隠そうと思っても、隠せない事実なのだ。

と、そこへBOO(武)の大口へ何かを放り込む人間の姿が見えた。
大叔母だ。
”自制の実”を食べたBOO(武)はしばらくして元の姿へ戻った。
眠っている。安らかな汚れをしらない寝顔だった。

なぜか、巡回員ゴールドとリングの顔が見えた。
大叔母から再度”自制の実”を取るように任務が与えられたらしい。

巡回員ゴールド:「おいおい。なんだよ。この現場の温度差は。⤵︎みんなかっちょ良く戦っている時に、、俺らは樹に登り実を取りにいくんだとさー⤵︎」

リング:「なんかなぁ。せっかくここまできて皆んなと別行動ってのがなぁ。⤴︎なー。ウチら、もっと強くなればいいんじゃね?」

巡回員ゴールド:「おっ。それ。ナイスアイデア!こっそり狙っちゃおうよ!」

リング:「相変わらず単純だなぁ。」

リングがなぜここにきたか?
その本当の意味を知るのは大叔母とWA(輪)の、ふたりだけだった。
リングはおちゃらけて恥ずかしさを隠していたが、本当はBOO(武)の事が気になってしょうがなかったのだ。
”大獣化”し、心配でしょうがなかった。
”大獣”=殺せ。の法則はいまだ、人間にある。
大叔母は自ら”自制の実”を取りに戻ったのも、ここへ”リング”を連れてきて安心させてやりたかったのだった。
大叔母とリングは、あの暗い洞窟で3人で名前を付け合った時のことを今でもしっかりと覚えていた。武道家の”武”と。
あの時のBOO(武)の寝顔と今、ここで眠っている
BOO(武)の寝顔は何ら変わらないな。とふたりは顔を合わせた。







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