見出し画像

鈴を持つ者たちの音色  第五十四話 ”べリューの奪還①”

大叔母が天路の頂に戻ると総裁ブルーが不在だった。

大叔母:「総裁ブルーがいない。という事は何かあったんだな。」

機械秘書:「はい。突然外艦船が現れ、総裁はその対応にあたっています。外艦船は”グランドライン”と同じような海底都市”べリュー”から来たという。」

大叔母:「何?別の海底都市べリュー?知らんなあー。そんな存在。」

ME(男):「大叔母でも知らない場所なんてあるんだな。」

大叔母:「私は海底には詳しくない。ここ”グランドライン”と地上の事しかわからん。
知ってるか?陸地と海地、地球上でどちらが大きいと思う?」

GA(我):「50:50」

WA(輪):「40:60」

WO(女):「海の方が大きいかなぁ」

大叔母:「海底にばかりいるからこうだ。いいか。海は陸地の2.5倍大きい。だから私は手に負えないんだ。海の不思議は”水龍”にまかせているよ。」

ME(男):「”水龍”は別の海底都市”べリュー”の存在は知ってたんだろうか?」

大叔母:「”水龍”は知ってるさ。だから今回”導いた”。」

WO(女):「なるほどね。海の中の出来事を”水龍”はコントロールしているのね。そうやって私たちを動かし、地球をもコントロールしている。」

機械秘書:「(何やら屋敷の壁に映像を映し出して説明をはじめる)
この映像を見てください。
外艦船の隊長はこの人。”GI(ジーアイ)”。」

「”GI(ジーアイ)”!?」(一同驚く)

GA(我):「”GI”と言ったら、あの大海賊。まさか、ここ”グランドライン”を奪いにきたのか?」

大叔母:「いや。そんな様子はないぞ。よく見てみい。」

WO(女):「海モグラ”がいて‥あっ、ゲインとKnockもいる。良かった。元に戻れたのね。」

大叔母:「うむ?あれは‥(巡回員グリーンだ。なぜ今さら)」

ME(男):「おお!キックス!!」

GA(我):「おお!キックスだ。待ってました!!」

WA(輪):「元気そ、?ん?なんかやつれてない?」

WO(女):「うん。やつれてる。大丈夫か?」

WA(輪):「ん?それに何だ、あのイケメン。キックスの横にいる男。タイプやー。(まだ誰もこのイケメンがミューマンだとは知らない)」

大叔母:「これは。なんだか騒々しくなってきた。大戦が近い証拠。予兆じゃ。」

(BOO(武)と大男ガイムはすぐに本部へ呼ばれていたので本部にいた)

大男ガイム:「なぁ。BOO(武)よかったのか?こんなわけのわからない卵を預かって?これは何の卵なの?俺と一緒でバカでかいんだけど。」

BOO(武):「説明はあと。絶対落としたりしたらダメだからね。まあ、あなたが踏みつけても潰れないぐらい固いけど。
そして今は孵化したら厄介。よく見ておいて。」

大男ガイム:「ヘンッ。しょうがねーや」

===艦船は出発した。5日後には海底都市”べリュー”に着く。

キックス②:「僕らは双子の兄弟キックス。宜しく。(キックス①もウッス!と手で敬礼する)
これから行く海底都市”べリュー”について知りたい。”アイツラ”が集う場所はどの辺になるんだ?地図とかないの?」

一同シンとする。すごいアウェー感だ。誰も答えない。”GI”が睨みつけてるように見える。

副隊長シン:「ああ。なんかごめんね。皆んな腹が減ってるのかなぁ。なんか持ってくるよ。」

女海賊ウラ:「隊長はっきり言いなよ。」

女海賊オモテ:「そうよ。せっかく憧れの”グランドライン”まで来たってのに、こんな弱そうなオタクっぽい兄弟と機械人間なんて。がっかりだ、って。」

女海賊ウラ:「”グリーン”の話なら、武術、剣術の達人やら、魔法使いだっている。って話だったじゃん。本当ならそんな強者をスカウトする予定だったのに!」

若海賊ノリ:「隊長。こんなんで、本当に”アイツラ”に戦いを挑むつもりですか?」

GI:「お前たちは‥ほんとうに礼儀ってもんを知らないなぁ。不安を直ぐに口に出すな。不安は感染する。それもこんな狭い艦船の室内だ。
今出港したばかりだぞ。少しは口を謹みなさい。」

中年海賊ダッシュ:「じゃぁ。隊長は、
”何も問題ない。超強力な助っ人をゲットした。皆よ、勝利は目の前だ!”
と声高らかに言えますか?」

GI:「うーむ。それはー‥。」

中年海賊ダッシュ:「ほらね。隊長も不安に思っているんだ。皆んなもそう思っているようにね。」

巡回員グリーン:「皆んな。大丈夫!とは僕も言い辛いけど、”グランドライン”の総裁自らが選択して向けてくれた2人だよ。きっと何かしらの役に立つよ!
だから落ち込むのは早いよっ。それに作戦だってまだ、立てていない訳だし‥。」

キックス①:「(小声で言う)ねぇ。兄貴ぃ。なんか俺らのこと言ってる。」

キックス②:「ああ。聞こえてるよ!
(キックス②は苛立った。)腹立つなー。」

キックス①:「あまり寝てなかったから、余計腹立つよ。聞いた?(口パクで、”オ・タ・ク”)だって!」

キックス兄弟にとって1番言われたくない言葉は”オ・タ・ク”と言われることだ。
2人の技術者にこの瞬間、火がついた。メラメラとそれは、狭い艦内が熱くなるほど‥。

キックス②:「そりゃ僕らにはGIのような誰もが怖れを知る名前なんてありません。
しかし、僕らには誰よりも誇れる手先の技術力と開発能力があります。そうだなぁ。まず‥」

キックス②はチラリと立った横にある延命装置に目を配った。

キックス②「例えばこの延命装置‥
(くまなく形状と仕組みを上体をかがめて分析する。最後にパネルも)

この延命装置の唯一の難点は、誰かがこの艦内に”呼び起こし”に来ないと延命装置が解除にならない点だ。
(キックス①が隣で”さすが”とウンウンと頷いている)
これを僕ならこうする‥。」

キックス②は勝手にピコピコと延命装置をいじりはじめた。

キックス②:「はい。これで、延命装置は次に”グランドライン”へ来た時は勝手に延命装置が解除。清々しい朝を迎えることが出来るでしょう。」

副隊長シン:「えっ。こんなはやく。一体どうやったの?魔法?」

中年海賊ダッシュ:「何で”グランドライン”に着いたと、艦船が認識できるの?」

キックス②:「位置情報を登録しました。あと位置以外にも”グランドライン”本部の総裁と副総裁の声の認識番号も覚えさせました。これで”グランドライン”からの無線にも対応できるでしょう。」

女海賊ウラ:「おおー。さすが”オ・タ・ク”ねぇー」

女海賊オモテ:「よっ!いいぞ!”オ・タ・ク”さん!」

キックス①②は拳を握り、何とか怒りを落ち着かせた。ちょっとは皆んなの評価を勝ち取れただろう。

艦内の雰囲気が変わったのを見計らって”GI”が本題にはいる。

GI:「こちらの自己紹介はあと5日もあれば、皆んなを覚えるだろう。今はいいだろ。
それよりそこのイケメン”2体”について、解説頼む。(”GI”は指先でピースをするように”2”とジェスチャーする)」

喜んでキックス①が立ち上がり説明をはじめた。

キックス①:「さあさあ。聞いて驚くなこの機械。。精巧に成功を重ねた最新ロボット。ミューマン。
こちらの名前は、まだ無い。”動”号機と”知”号機とでも名付けようか。

さあさあ見てらっしゃい寄ってらっしゃい。お肌もリアルにツルツルお肌を実現。より人間らしくなりました。
世にも有名なあの悪党”アイツラ”よりも知性、剛性、スピード、パワーを上回る実力。何よりも視線を釘付けのこのイケメン顔は拘りの一品。さあさあ戦いまでどうぞご期待ください。」

GI:「今回はじめて動かすのか?実戦も無しで?」

キックス①:「はい。大丈夫です。実戦しながら僕らがバックアップして”慣らし運転”する予定です。」

GI:「そうか。宜しくたのむぞ。」

”GI”はあまり期待してなさそうだ。最新式ミューマンの紹介はすぐに終わってしまった。
後ろでキックス②が口パクする。(”イケメン”を宣伝してどーするんだよ!)

巡回員グリーン:「ねぇ。この”ミューマン”って”アイツラ”を改造して造ったんだろ?大丈夫なの?急にこの艦内で僕らを襲ったりしないよね?」

一同が、えっ、そうなの?と心配そうな顔をする。

(意地悪な質問だ。必ずこういうヤツっているよな。)

キックス②:「笑それはご心配なく。使用した”アイツラ”の部品は必ず機能停止したものを使い、記憶媒体やICチップを含め全ての情報をイニシャライズしてますから。”アイツラ”の過去の記憶なんてありません。」

GI:「よし。それでは5日間ある。ゆっくりとこれからの事を説明しよう。まず、海底都市べリューのこれが地図になる。(地図を広げた)

先ず今回の戦のキモの部分だが、べリューの都市てっぺんに井戸のような穴(ホール)がある。
”アイツラ”はその穴(ホール)を出入りして”来世””現世””過去の世”と渡り歩いている。そこで、

ミッション:『その穴を塞ぐ事』

穴さえ塞いでしまえば、もう”アイツラ”が”来世” ”現世” ”過去の世”へ渡ることもなくなる。
”アイツラ”の時代の行き来を遮断するのだ。」

キックス①:「僕らは”べリュー”の裾に降り立ち、そこから駆け上がっていく感じか。てっぺんを目指して。」

GI:「そういうことになる。”べリュー”に着くと、もうそこは”アイツラ”の城。どこにでも”アイツラ”はいる。」

キックス②:「着いた途端に戦場となる。か。」

キックス①:「穴(ホール)を上手く塞げたとするよねぇ。そしたら”べリュー”は”アイツラ”の溜まり場になるね。どのみち早く惑星アトヨーT星を押さえないと。」

キックス②:「そう。根源はそこ。アトヨーT星だ。あそこで”アイツラ”は生産されているからな。
ミッションはこの”穴(ホール)”を機に、地球全体で続く。」

キックス①:「ミッションI(イチ):海底都市”べリュー”にある”アイツラ”の移動手段に使われている”穴(ホール)”を塞げ。

ミッションII(ニ):惑星アトヨーT星を奪還し”アイツラ”を生産をストップ。

ミッションIII(サン):もう増えることがなくなった”居残り”した”アイツラ”の破壊。

”過去の世” ”現世” ”来世” ‥、
手分けして各世で全滅できてはじめて”アイツラ”を根絶することができる。

とまぁ。こんな筋書きか。」

キックス②:「ミッションは三つ巴。”穴(ホール)塞ぎ”はそのひとつ目!」

GIをはじめ海賊12人衆と巡回員グリーンは開いた口が塞がらなかった。

若海賊ノリ:「‥”べリュー”にある穴(ホール)を塞げば終わりじゃないんですか?」

中年海賊ダッシュ:「”べリュー”にいる”アイツラ”の数だって200対はいる。”アイツラ”の数全部を数えたら一体何体いるんだよ。」

GI:「うむ。こやつらの話を正しいとするなら。戦いの最中に”アイツラ”が”宙(そら)から降ってくる可能性もある。という事だ。
これは短期戦の奇襲攻撃でいくしかないな。」

キックス②:「今回の”べリュー奪還戦争”に備えて僕らが持ってきたものがあります。見てください。」

キックス①②は2つの重そうなアタッシュケースを持ってきた。ガチャリと中身を開ける。

キックス②:「これは組み立て式の砲撃車になります。”アイツラ”を勝手に感知。このリモコンが攻撃スイッチ。砲撃対象がロックになったらこのボタンを押せばいい。ここに2車ある。これを操る者が2人欲しい。」

キックス①:「そして皆んなに装着して欲しいメガネがある。これはパソコンの液晶画面のように画面に様々な情報が映し出させるメガネだ。
防塵防水、耐衝撃はもちろん。”アイツラ”の数を表示できる。
対応範囲は海底都市”べリュー”内に設定されている。
つまり、ここ”べリュー奪還”は”アイツラ”の生存カウンターがゼロになる事を意味する。

これも”来世の大戦争”へ向けて開発したアイテムのひとつだ。」

GI:「便利だな。よし。砲撃車には、女海賊ウラと女海賊オモテがつけ。君たちは双子で連携がとれる。」

女海賊ウラ:「えー?私機械なんて触ったこと無いっすよ。大丈夫かしら。」

女海賊オモテ:「大丈夫よ。もし反応悪かったら叩けば直るらしいから。」

キックス①:「(やれやれ船の中にばかりいるからこうなんだ。昭和かよ)」

女海賊ウラ:「オイ!そこの君ぃ!なんか今変な顔しなかった?私たちのこと、馬鹿にしてぇ。
顔に出てたわよ!」

女海賊オモテ:「うわぁ。ひどい。だからオ・タ・クって嫌なのよねぇー、」

キックス①「(やれやれ相手にしたくない。けど、あのおっぱいはいい。柔らかそう。とりあえずイラついたら、おっぱいを見て気を逸らそう。じゃなきゃこの狭い艦内であと4日。
やってられないぜ‥。」

キックス②:「GI。他の皆んなは武器はあるの?」

GI:「ははーん。俺ら海賊を甘くみてんな。お互い心配ばかりしてねーで、少しは信用しようぜ。大丈夫だ。他の連中は結構”イケてんぜ”。

よーし!べリュー奪還戦争へ向けて各自準備せよ!予定ノルマは”アイツラ”をひとり5体だ!」

いいなと思ったら応援しよう!