鈴を持つ者たちの音色 第五十二話 ”繋がり”
剣士Gは腕輪を大男ガイムの腕にはめた。
大男ガイムは元の姿に戻った。
ふたりでボロボロになった闘技場を眺める。
大男ガイム:「あちゃー。派手にやったなぁー。」
剣士G:「ちゃんと直せよ。出世払いでな。」
大男ガイム:「大丈夫だろ。3砦全体皆んなで協力し合えば。すぐになおるさ。」
剣士G:「お前がいうなよ。」
大男ガイム:「笑」(大男ガイムはキョロキョロと誰かを探している)
剣士G:「BOO(武)ならまだ眠っているよ。医務室だ。」
大男ガイム:「‥起きたら話す事がある‥。」
剣士G:「なんだよ。深刻になって‥らしくねー」
大男ガイム:「らしくねー、ともなるさ。
あのさ。BOO(武)のことなんだけどさ。」
剣士G:「何だよ。もったいぶって。」
大男ガイム:「あれ。ばぁちゃんだわ。」
剣士G:「て?て?。はあーああ?」
===そこにGO(豪)とGE(ゲン)がやってくる。
GO(豪):「おっどろいたー。まさかこの人(大男ガイム)も大獣になるなんて。剣士Gは知ってたの?なんか慣れてる感じだったけど。」
剣士G:「ああ。知っていた。小さい頃からたまにあったからね。大叔母が造ってくれた腕輪をつけてからは、大男ガイムは”人間”でいれた。
大叔母には感謝だよ。それにしても驚いたよ。BOO(武)の存在は。まさかなぁ。大男ガイムと同じ”大獣”に変化する者がもうひとりいたなんて‥」
大男ガイム:「直感でわかったよ。この地球上で同じように変化できる”者”なんていないからな。ありゃ身内だな。と。すぐにわかった。」
剣士G:「それで?何でばぁちゃんだと?」
大男ガイム:「大獣になったときに発した遠吠えだ。あの遠吠えはよく夢の中で聞いていた。何回も何回も。それはおそらく、ばぁちゃんがどこかで吠えた遠吠えだったのかもしれない。俺にはよく聞こえたよ。」
剣士G:「なるほどねぇ。獣には獣同士の合図みたいなのがあるのかい。」
GO(豪)とGE(ゲン)は顔を見合わせた。(えっ?ばぁちゃん?どういうこと?まさかー。信じられない)
剣士G:「これからどうするんだ?BOO(武)の所へ行って”ばぁちゃん!会いたかったよ、”なんて言って抱きつくのかい?」
大男ガイム:「いや。そうしたいのは山々だが、多分もうBOO(武)は勘付いてる。」
剣士G:「たぶん‥だろ? 行ってたしかめろよ‥」
大男ガイムは医務室のドアを開ける。BOO(武)はベッドの上で、目を開けて天井の上を見ていた。
何も喋らずベッド脇の椅子に腰掛ける。
大男に似合わず小さな背もたれも無い椅子だ。
お互い無言のまま何分か過ぎた。
BOO(武):「”さみしかった?‥苦労かけたねぇ‥”(BOO(武)の口は動いていない。口の中から言葉だけが浮いて出てきた。そんな感じだ)」
大男ガイムはジッとして聞き耳をたてる。
BOO(武):「”大獣はねぇ。大昔から群れないの。生まれてすぐにひとりになる。それは宿命なの。”寂しい”なんてものは人間の感情よ。強くなりたいなら、もっと大獣の言葉に耳を傾けて。あなたは大獣。人間の高度な知性と大獣の底なしの強さを兼ね備えた最強体。自信を持って!!”」
大男ガイム:「ああ。ありがとう。ばぁちゃん。俺を産んでくれた母親にも感謝だよ。こんな身体だけど、一度も自分を憎んだことも人間をうらやましく思うこともなかったよ。
俺はおれだ。ガイム様だからなぁ。」
大男ガイムが医務室へ行っている間、剣士3人はさっきまでの戦いを整理していた。
剣士G:「あのまま途中で”止め”がかからなかったら、君らはどういう風に攻めていたんだ?」
GO(豪)とGE(ゲン)はニヤつく。GO(豪)がGE(ゲン)に”お前から説明してみろ”と裏でコソコソ言う。
GE(ゲン):「大獣を僕らが”開けた空間”へ落とす技を繰り出そうとしてました。名付けて『空間落とし』!』
剣士Gは目を大きく見開く
剣士G:「おお!なるほど!”開けた空間”か。確かに!それは出来そうだ!」
GO(豪):「”空間斬り”は”空間を斬り、空間を斬った分縮める技。それを応用する。
斬った時に縮もうとする空間を抑え込み、空間を”開けたまま”にする。その開けた空間に敵を落とす技なんです。」
剣士G:「実際やってみたことあるのか?」
GO(豪):「いや。あの時にふたりで思いついた技ですから、まだ一度も試してません。」
GE(ゲン):「おそらく押さえ込む力がまだ弱い。”開放時間”は数分ってところでしょう。押さえ込むのにふたりがかりで数分です。一人じゃ今の所できません。」
剣士Gは興奮した。考えてみる。もし、この”空間落とし”が上手く行くと大量な数の敵を”空間”へ一度で落とす事ができる。とても効率がいい。
やっつける。のではなく、異空間へ入れ込むのだ。
多人数相手の不利な戦いのときにうってつけだ。
剣士G:「ちょっと待てよ。もしかしたら、もしかして。もし、”空間落とし”を3人でやったら‥
”開ける空間も大きくなり、止める制御の時間も延ばせる”」
おおー!いいねぇー。
”七星剣”を持つ3人は笑いが止まらなかった。
===その頃、観客席ではWO(女)が大叔母から預かった”世渡りジョージ”の使用目的について盛り上がっていた。
ME(男):「これを使うと時代を越えた恋愛ができるぞ。現世から来世へ手紙を送ったりして。笑」
WA(輪):「何いってんのよ。男と女は結局、まめにしてくれる相手にもってかれるのよ。”時代を越えて”なんてロマンは馬鹿な男しか考えないわ。私だったら”世渡りジョージ”を美味しい物を持ってきたり、持っていったりするのに使いたいなぁ。」
WO(女):「‥私にいい考えがあるの。聞いてくれる?WA(輪)はもう既に知っていることよ‥
”天空の壁”に登り丸魂を見たわね?そのときに”グランドライン”の最期を見たんでしょ?そして、それは”グランドライン”だけじゃない。地球の終わる日も‥
私は、地球の終わる。その日付を知りたいの。」
WA(輪):「どうして知りたいの?」
WO(女):「この”世渡りジョージ”を使って全時代の戦士をその日に集結させたいの。
”グランドライン”はなくなる。と言っても”来世”を見ればわかるわ。ちゃんと”来世”があるって事は”グランドライン”がなくなっても人類は地上での生活を始められるって事だから。
それより地球の滅亡最後の方よ!肝心なのは。
いい?”終わる日がわかる”ということは、”その日に合わせて作戦を立てられる”。って事でもあるの。
どう?
すごくない?
考えただけで興奮するわ。」
ME(男):「それ。すごい。そんな事が本当にできるの?」
WO(女):「出来るかどうかはわからない。”世渡りジョージ”が喋っただけで人は信じるか?なんて分からない。しかし、そこで現実性を持たせたい。
”グランドライン”の話題を引き出して、”世渡りジョージ”の録画照射機能を使い、皆んなに今の”グランドライン”の生活を映像で見させるのよ。地上は太陽に灼かれ海底生活を強いられてる。と。それを見た人は感じる。地球は本当に滅ぶかも知れない‥。と。」
ME(男):「具体性を持たせる‥。うん。これなら少しは信じる者も出るかも知れない。まぁ人は疑い深いからね。ゼロよりイチは取れるだろう。いいと思うよ。」
GA(我):「もし、相当な数の勇者が集まり、それが本当にできるなら‥かなりの勝利の可能性と士気があがります。」
WA(輪):「うん。時代がひっくり返るかも。
最期の日は必ず訪れると聞いてから、逆にそうならないように作り変えればいい。とずっと思ってた。今、それが具体的な発想で生まれた。未来は人の力で変えれるかも知れない。」
WO(女):「よし。じゃあ決まり。大叔母と”スズモノ”を集めてくる。」
WO(女)のアイディアは通った。直ぐに”過去の世”へ”世渡りジョージ”を飛ばす。闘いの精神を持った勇気ある者にだけ伝わる伝書鳥。
【○年○月○日。地球戦争勃発。”アイツラ”により壊滅する。戦士よ地球を救おう。未来へ集結し、未来を変えるのだ!】
”世渡りジョージ”は過去〜現世。そして来世へと帰ってくる。渡り鳥のように。どれだけの効果があるのか?何人もの戦士がこの”シグナル”に気づくのだろうか?結果は地球戦争の日にしか分からない。乞うご期待としか言いようがなかった。
=== 装身具を受け取りに保留兵のいる製作古屋へ行く。そこは闘技場のいちばん奥にあった。
製作古屋自体を自分たちで建てた為、変わった形をしていた。三角形の建物の高い場所に大きな皮がぶら下がっていた。
団長の”ヨシ”が出迎える。
団長ヨシ:「よくおいでなすった。皆さん。私が団長の”ヨシ”です。皆さんの健闘を祈りひと針ひと針丁寧に作りました。受け取ってください。」
保留兵が”スズモノ”ひとりひとりに装身具を渡していく。早速みんなで着てみる。
WA(輪):「すごい。サイズぴったりだわ」
大叔母:「保留兵に予め機械秘書が目分量でしっかり採寸した計測値を渡してあったからな。ぴったりなはずじゃ。」
団長ヨシ:「これで少々無理してもダメージは少ない。高い所から墜落しても、この装身具が衝撃を吸収してくれる。海に入っても浮き輪のように浮くぞ。空を飛ぶ羽根はついてないけどねぇ。ハーッハッハッー笑」
GO(豪):「剣士Gのタイプとは、ちょっと違うね?あれも”ヨシ”さん達が作ったの?」
剣士G:「そうだ。俺のやつは最強防具”レジスタンス”と言ってな、以前の剣闘会で勝った時に貰ったやつだ。でもそっちのお前達の方が新作だ。この”レジスタンス”よりもより軽くスタイリッシュになっている。羨ましいよ。」
大叔母:「”ヨシ”よ。ありがとう。これで闘いの準備も整った。心置きなく闘ってくる。」
団長ヨシ:「わしらの命は短い。せめてこの地球の寿命だけでも延ばしてくれいっ。」
大叔母:「ええ。延ばすどころか再生させますよ。そして”ヨシ”。あなた達の寿命もね!」
団長ヨシ:「ほんと‥あなたは‥あなたほど私たちの事を気にかける人はいません。身体が不自由になり、それでも戦場に向けられていた私たちをこうやって「保留兵」として戦場から離してくれた。今では胸を張って堂々とこの仕事ができる。ほんと感謝しています。」
WO(女):「ほんと。あなたは、こりないわね。機械の次は人間?人間の生命力を延ばす研究もしているの?」
大叔母:「もともとは人間の生命力に興味があったの。機械は思ったとおりに扱えた。しかし、人間の身体は違う。思い通りに行かないし、ダメだと思ったとたんに、奇跡的なことが起こることもある。生命体とは何百年研究しても手につかないところがある。」
ME(男):「生命体のことで何かお手伝いできることがあれば言ってください。お手伝いします。僕もそっちの分野には興味があります。」
大叔母:「ああ。その時は頼むよ。」
GO(豪):「ねぇ。大叔母頼みがあります。」
大叔母:「なんだ?GO(豪)。お前が頼みがあるなんて言う時はろくなことがないよな?なんだ?」
GO(豪):「GE(ゲン)とも話したんですけど、ちと戦までこの”剣士の砦”で修行してもいいですか?戦に向けていい”技”を思いついたんだ。もし、それを剣士みんなで、できればかなりの効果を生む。戦まで形にしたい!」
大叔母:「‥‥、」
GE(ゲン):「それにここへ来てわかったんだ。ここは来世で剣士の世。やはり最後の戦いは”アイツラ”には剣で対抗するってのがハッキリした。
剣士達が集まるこの砦で、一緒に剣の腕をもっと磨きたい!」
大叔母:「そうかいそうかい‥。”スズモノ”たちも大人になったもんだ。子供が知らずのうちに親から手が離れるように。お前たちも段々とそういう歳頃になったんだねぇ。自立心を持つことは強くなる証拠。自分だけじゃなく、周りの君らが率いる者たちも含めて切磋琢磨してくれ!戦は近い。頼むぞ!」
BOO(武):「大叔母。私からもいいかしら?(大叔母が頷く)剣闘会をこんなカタチで台無しにしてすいません。今回剣闘会に参加して孫に会えたことは感謝です。そこで提案なんですが、現世に息子を連れて行ってもいいでしょうか?」
大叔母:「なぜそう考える?」
BOO(武):「地球戦争の前に私がここ来世へ来たように、ガイムにも現世を見せておきたいの。
私たち”人間”は太陽や”アイツラ”に追われ、地上で暮らせなくなり”グランドライン”へ降りてきた。その生活の不便さと、それでも生きていく為に皆で力を合わせて暮らすという事。
そして大昔に大獣が住んでいたという”天空の壁”も。地上での生活がどんなに有難いものかを孫に実感させたい。」
大叔母:「本来なら来世のものが現世へ来るのは、来世を変えてしまう可能性がある為、よくないんじゃが‥それをわきまえて行動するんじゃよ。約束じゃ。」
BOO(武):「ありがとう大叔母!」
そのやりとりを見ていた”スズモノ”はとっても違和感があった。BOO(武)も大叔母も外見はピチピチの20歳そこそこだ。それなのに”ばあちゃん”とか”孫”とか、”大叔母”とか言われている。
もやは常識がない現実に頭が混乱しそうだ。
大叔母:「それでは家へ帰るとするかい」
大男ガイム:「あっ。、その前に見てほしい場所があります。(剣士Gも横で頷く)着いてきて下さい。」
団長ヨシ:「おお。あそこに行くのだな?ここの通路を使うといい。ちと狭いがこっちの方が早い。」
保留兵はその手先を使い様々な物を作るが、もう一つ別の仕事の肩書きがあった。”運び屋”だ。いわゆる”戦”で息を引き取った死体を片付ける仕事だ。今から行く場所はよく”死体”が出る。
保留兵達はあまりにも行ったり来たりの頻度が多い為、自らせっせと近道を掘っていた。
狭い地下通路を抜けると”スズモノ”一同が移動した場所は『積み木の丘』という場所だった。
見晴らしがよく天然芝の緑が絨毯のように広く敷かれているように美しい。
その丘にポツンと石碑が突き刺さっていた。
石碑には横字で『ツミキノオカ』と刻印されてる。
大男ガイム:「この丘には昔からなぜか”アイツラ”がやってくるのです。」
WO(女):「そういえば、さっき闘技場のマイクパフォーマンスで”積み木の丘”伝説ー。とか、言ってたわ。アレは何?」
剣士G:「うーん‥。実は俺、あまりその時のこと覚えてないんだけど、無心で”アイツラ”を倒したらしいんだ。」
大男ガイム:「その数10体!剣士Gは”アイツラ”を10体その晩にやっつけた。
砦の者達が剣士Gが危ういと、総出で駆けつけた時には遅かった。既に、この”積み木の丘”は”アイツラ”の死骸で埋め尽くされていた。」
剣士G:「”アイツラ”が度々その場所に現れるようになって僕ら剣士は持ち回りで毎日その場所に警備をつけることにしたんだ。そして、その夜がくる。満月が明るい夜だった。
警備は2人つけていた。
ひとりは腕の立つ剣士”ハクバ”。もうひとりはその夜が初めての”ヨー”が警備についていた。
僕はその時、丁度保留兵の製作古屋を借りて、自分のブーツを修理していた。
そこへ血相を変えて必死に古屋へ飛び込んできた”ヨー”が来た。
(団長ヨシ:「地下通路を使え!すぐに行ける!」)
分かったと、言い。僕はすぐに”積み木の丘”へ向かった。”ヨー”は団長ヨシから剣士の応援を頼んでもらう。
”積み木の丘”に出ると満月の明かりで、はっきりとそこでの状況が把握できた。
”アイツラ”は10体。
そのうちの1体は”ハクバ”が最後の力を振り絞って撃破。
残りの”アイツラ”は9体だ。いくら腕のたつ”ハクバ”でも敵うわけない。
しかし、さすがは”ハクバ”。10体いる中でも1番強い”アイツラ”を見定めて、その1体だけに集中してちゃんと撃破している。
僕が残りの9体を”やれた”のも”ハクバ”のおかげだ。僕は10体の伝説をつくった、と言われているけど、違う。9体だ!と言っているのに‥噂はなぜ話を大きくするのだろう。
僕の”殺った”9体よりも”ハクバ”の殺った1体の方を伝説にするべきだ。
怒りで自分を見失ったようだ。無我夢中で戦った。”アイツラ”の1体1体の顔や特徴さえ思い出せない。気がつくと殺伐と荒廃した光景がそこにあった。ただ、覚えているのは満月の明かりだ。
粉々になった”アイツラ”の部品をチカチカと反射させていた。」
大男ガイム:「肝心なのはここから。。
剣士たち総出で”積み木の丘”へ着いた時には”剣士G”も”ハクバ”も”アイツラ”も全員倒れていた。
その中で息をしていた”剣士G”を確かめ、俺らは大体の事情を知ったつもりでいた。
”剣士G”を荷車へ乗せ、砦に帰るその帰り道だ。
こやつは急に思い出したように語り出した。」
”剣士G:『ツミキノオカ』の石碑を抜き‥その大穴に満月の明かりが入りこむとき‥そのときが”アイツラ”復活のとき‥いでよいでよ今宵は宴よ‥復活せし者よ」”
大男ガイム:「その声を聞いて思った。”アイツラ”は名残り惜しく言霊を残した。それも一言。剣士Gへ。あやつらの思惑を阻止され怒りがそうさせたのだろう。そして、続く‥」
”剣士G:「やめろ!そうはさせぬ!満月の明かりがその大穴を映す前に!絶対お前らを倒す!これ以上、”アイツラ”を増やすわけにいかない!」”
大男ガイム:「今度は剣士Gの声に間違いは無かった。それを聞いて震えた。こいつは月明かりが動く前に”アイツラ”を9体も”殺った”のだよ。何かが乗り移ったとしか、思えなかった。」
大叔母:「それは凄い。しかし、何か特別な力が宿ったとしか、言いようのない強さだ。”アイツラ”を9体倒し、その後にこんなでかい石碑を元通りに突き刺す。そんな力、一体何が起きたんだろう。」
ME(男):「これは!”引力の谷”と関係するかもしれません。地球が引き込む、ことがあれば”吐き出す”こともある。」
大叔母:「地球が吐き出す時、は”腹を壊した時”ね。”腹を壊す時”とは?一体‥
アイツラ”は『ツミキノオカ』で何を見つけた?なぜあの場所が”吐き出す場所”だと分かったのか‥
」
WO(女):「それにしても恐ろしいわ。もし、ガイムが言う通り、石碑の抜いた大穴に満月の光が当たってしまえば、相当な数の”アイツラ”が現れてしまう。」
WA(輪):「今の”はみ出した”分だけで50:50ってところなのにね。これ以上”アイツラ”が増えたらやばいよ。」
大叔母:「この場所は要注意ね!絶対この穴から”アイツラ”を出しちゃいけない!”満月の夜”は警備を増やし、しばらくは”スズモノ”の監視下に置く。GO(豪)!この場所を絶対に死守して!1番危険なのは地球戦争の日ね。
地球戦争の日の夜がもし、満月なら‥”アイツラ”は絶対ここをポイントに向けてくるはず。」
GA(我):「この石碑‥ことば。
”ツ・ミ・キ・ノ・オ・カ”はどう意味を考えたって”積み木?”はおかしいです‥。
どこにも積む物はないし、”木”も無い‥。
僕が解読するとしたら‥、言葉を入れ替えて、
”ツ・キ・ミ・ノ・オ・カ”‥
『月見の丘』‥と解読します。
この石‥もおかしい。
穴にピッタリあてはまりますね‥そして特別な石‥どこかで見たような‥
GE(ゲン)がハッ!とする。
手に持った剣を取り出す
石碑に当てる
剣士の3人が声にだす、「同じだ‥!!」
GA(我):「この石碑は”誰”かがこの穴を塞ぐ為に造ったもの!そして、この石碑を彫った刻印。これはおそらく剣先で彫ったもの‥そして、何よりこの場所‥来世は”剣士の男”たちの時代!
きっといますよ。
この穴を塞いだ張本人。そして私たちにメッセージを残すように石碑を彫った”者”が。。」
大叔母:「…(もしや‥でも、まさか…)」
剣士G:「『月見の丘』‥そうか!
GO(豪)、GE(ゲン)、よく聞いてくれ!
今夜は月は出ていないが、(剣士Gは剣を高くかざす)
この七星剣を月に照らすんだ!
この剣を造ったのも、
この石碑で”アイツラ”の穴を塞いだのも、
おそらく同じ人物、
そしておそらく”アイツラ”が満月の夜にこの場所へ訪れる時、
剣士の持つ”七星剣”は強さを生む。月の光を受けて。なぜか?って?
それが俺たちだ。
この場所を”護る剣士”だからだ!!」
剣士の3人は奮い立った。
自分たちが本当に必要とされている
闘う場所がある
今、『月見の丘』は夜が終わり朝光が薄く、青く灯りはじめた。
緑の絨毯は今は青い。
色が変わるようにこの場所”積み木の丘”も”月見の丘”へと色が変わった。
これからの不安と期待をこめて‥
この場所
この来世での戦いも既にはじまっている。