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鈴を持つ者たちの音色 第五十三話 ”遅くなった赤スズ戦士”

BOO(武)が剣闘会で大獣化し、闘技場で大暴れしている頃、現世では”グランドライン”に不穏な動きがあった。
”グランドライン”本部 副総裁から総裁ブルーに連絡が入る。

”グランドライン”へ潜水艇が接近。あり得ないですが、どう見てもレーダーから察すると潜水艇に変わりありません”

総裁ブルーは”天路の頂”からすぐに本部へテレポートする。
本部で詳細を確認する緊急会議が開かれる。

副総裁が説明「今日○月○日正午に潜水艇を感知。大きさ〇〇。速度〇〇。到達予想〇〇時。
こちらからの呼びかけに応答せず。
よって正体不明。
乗組員の存在もわかりません。
まるでゴーストシップです。

総裁ブルー:「そのまま距離4000メートルまで接近しても応答がない場合は”グランドライン”〇〇条約に則り攻撃体制に入る。
準備をしておくように。
それと、何か他の事情があり連絡を返せない緊急事態の場合もある。よって同時に要確認せよ。

こちらから外艦船に偵察艦を送り敵か、味方かの判断を探る。
こんな時なら真っ先にキックス①②を偵察に送るところだが、彼らはミューマンの製作中で手が離せない。
誰をやろうか?‥よし。
”ゲインとKnock”をいかせよう。
そして指揮はGQ(自給)。補佐に”海モグラ”を配置。任せたぞ!」

GQ(自給):「イエッサー!(隣で海モグラも頷く)」

GQ(自給):「ゲインとKnock。聞いていたと思うが今、外艦船が急に現れた。これは、この”グランドライン”はじまって以来の出来事だ。
君たちを偵察に行かせるが、くれぐれも気をつけて偵察するように。 
外艦船を確認するまでは、敵機だと思って慎重に近づくこと。
もし敵機だと判明した時は、直ぐに報告し帰艦!宜しく頼む」

ゲイン:「わかりました。くれぐれも気をつけて行ってきます。」

ゲインとKnockは”グランドライン”にある屋外作業船に乗り偵察に向かう。何かあった時の為にプロトスーツも着用した。

Knock:「こちらツーツー。底地スレスレを徘徊。順調に進む。只今の移動距離400m。速度5ノットで進む。このままいけばあと60分以内で外艦船を確認予定。慎重に向かう」

GQ(自給):「こちらワンワン。
ツーツーより受信。内容了解した。もし何かあれば直ぐに帰艦せよ。ワンワン」

==60分後‥

Knock:「こちらツーツー。外艦を目視確認。これといって動きなし。外艦との接近距離30M。今の所、外艦もこちらを確認しているのは明白。
攻撃体制なし。速度も”グランドライン”への方向へ変わらず。特別な動きなし。
安全確認後、これより接近距離を縮め、再度交信接触を試す。」

GQ(自給):「こちらワンワン。外艦からの攻撃はなし。これより接近確認。了解!」

ゲインとKnockは作業船の信号灯を発してアプローチを開始した。
モールス信号と似たアプローチだ。
短い信号と長い信号の2種類だけを組み合わせた信号だ。
”コノサキ グランドラインアリ ソクドヲオトセ。ソノキョリ 4キロメートル”

と発した。
外艦からは全く何の反応もない。

その時、ゲインが言う。
「まさか‥”アイツラ”?‥」

Knock:「おいっ、不謹慎な事言うなよ。もしそうだとしたら俺ら2人で敵う相手か?もしそうだったら、その時は逃げるが勝ちだ。
それにしても、このままだと確かめようがないなぁ。どうする?外艦船は全く速度も緩めない。
このままだと”グランドライン”へ突っ込むぞ!」

ゲイン:「仕方ない。外艦船の速度を強制的に落とそう」

Knock:「こちらツーツー。外艦船反応なし。移動速度変わらず。よってこれより強制的措置に入る。許可が欲しい。」

GQ(自給):「こちらワンワン。強制的措置了解。直ぐに行動せよ。目標艦はトモ側を狙い足留め錨を左右にひとつずつで様子をみよう。」

Knock:「こちらツーツー。トモ側に2箇所に錨。了解!」

ゲイン:「ツリー、ツー、ワン‥”打て!”」

作業船から外艦船後方に鎖錨を打ち込み引っ掛ける。狙いは良かった。上手く引っかかり、外艦船の速度は次第に落ちていった。

Knock:「こちらツーツー。作業成功。しかし進行方向および速度は予想値より下がってません。」

総裁ブルー:「こちらブルー。”グランドライン”までの残る距離は少なく時間もない。外艦船の室内へ入り中を確認できないか?」

ゲイン:「外艦船の侵入窓がどこにも見えません。こちら現在左舷側にいますが、おそらく右舷側も同じと予想。不可能だと思われます。」

総裁ブルー:「分かった。真後ろに回ってみろ。」

ゲイン:「了解」

作業船は外艦船のプロペラからの水流の中、ようやく真後ろへ回り確かめた。

ゲイン:「‥真後ろに回りました。それにしてもこの艦船変わった造りをしています。本船ブリッジも何も無い。窓ひとつ無い。まるで弾丸の弾のような形をしています。」

総裁ブルー:「何!?弾丸の弾?それはまずい!止めなければ。早急に入口を探してくれ!」

Knock:「総裁、諦めてください。今目の前にある艦船は鉄の塊です。もし、どこかに隙間があるとしたら艦船オモテ側のスラスター。そこしかありません!しかしとても人が入れる大きさではありません。ここからの目視で計測して、ザッと間口は30から40センチ!いくらゲインが痩せ型体型だとしても不可能であります!」

総裁ブルーは下を向く。
何か策はないのだろうか?

総裁ブルーは思い立ったように顔を上げ、ゲインとKnockに退艦命令を出そうとした。
その時、ふとモニター画面に映るゲインとKnockの真後ろに”海モグラ”の姿を確認した。
それも”海モグラ”は作業船の屋外にいる‥

総裁ブルー:「ふたりとも!後ろをみて!窓の外!‥」

ゲインとKnockは驚いた!
なぜ?
いやいや、これは”海モグラ”が作業船にくっついてここまで来たとしか答えは無い。
こうなったら”海モグラ”へ外艦船スラスター部の隙間から屋内へ侵入してもらうしか手立てはない。
しかし、スラスターとは外艦船が右や左へ旋回する時に稼働する回転羽だ。
簡単に入れ。とは言えない。
もし、”海モグラ”がスラスター部へ入った途端にスラスター自体が動いたら”海モグラ”は回転体でバラバラになってしまう。

総裁ブルー:「これは”賭け”だな。外艦船は真っ直ぐ”グランドライン”へ向かっているが、度々スラスターは方向性を保つ為に幾度かは回転し進行方向を保っているはず。右舷側が回転するか?左舷側が回転するか?これは”賭け”と”運”でしか無い!」

ゲイン:「いいよー!!やらなくて!危険すぎる!”海モグラ”行かないで!」

”海モグラ”はそんなやりとりを物ともせず、真っ先に左舷側のスラスターの開放部へ泳いで向かった。
その向かった直ぐ数秒に左舷側のスラスターが「グワッ!」と三度動いた。
それでも”海モグラ”は動じない。

Knock:「もしかしたら‥。」

ゲイン:「うん。あの腹のすわりかた‥。”海モグラ”はここ”グランドライン”で”水龍”の次に位置感を持っている。誰よりも”グランドライン”に詳しい。生きた地図。おそらく外艦船が今どれだけ真っ直ぐに移動しているか?を計測済みなんだわ。」

Knock:「うん。いつ、どのタイミングでどちらのスラスターが何度稼働するかを予測している!そうだよね?」

ゲイン:「そう!だからきっと大丈夫よ!」

”海モグラ”は全てを予想していたのだろうか?大きな頭の上にはカメラを巻き付けて本部と作業船のモニターに状況を映るように段取りもしていた。
”海モグラ”は絶妙なタイミングでスラスターの中へ潜りこんだ。
さすが穴掘り名人。大きな身体を狭い隙間に細く入れ込んでいった。
まるで細い穴に入り込む猫のように颯爽とそれを成し遂げた。

GQ(自給):「やったぁ!」
ゲイン、Knock:「いいぞ!」

しばらくして、”海モグラ”のオデコカメラの映像が届く‥
暗い船内の中に明かりが付き、外艦船の船内の様子が映る。
シンとした船内を一歩一歩正確に、時には慎重に”海モグラ”は進んでいく。
人の気配は無い‥

本船オモテ側からトモ側、ブリッジ(住居、操縦室)へと移動しているようだ。
‥一度”海モグラ”の足が止まる。カメラの映像は下方へと流れる‥いくつかの長方形の箸入れ型の容器があるのが見えた。
カメラが上向きになり再度前進する‥その時、「グビィービィー!ビィービィー!(警報が鳴る)」
何かのセンサーがあったのだろう。
そのセンサーが動くものに感知しアラームが鳴る。
「生命体感知!生命体感知!起動装置作動。起動装置作動。」

慌ただしく、先程カメラに映った箸入れ型の容器の蓋が、やはり箸入れの蓋がスライドするように次々と開放していった。

箸入れからブシュー!ッと白いガスが出て船内を充満させる。
白いガスが晴れると、箸入れ型容器から上体が起き上がった人らしきものが次々と動きだした。

ザッと13人。

”海モグラ”は13人に囲まれた。
カメラでその光景を見る本部や作業船は息を飲む‥

13人の1人が前に出て言う。
「神に、水龍に誓い、そしてこの命。あなたに従いましょう」
片膝を着き、頭を下げると他の12人も同じ台詞を言い、片膝を着いて頭を下げた。
”海モグラ”は呆気に取られているはずだが、”ノリ”で右手を胸に当て額を少し上向きに対応する。満更でもなさそうだった。

==外艦船のブリッジには操縦室があり、沢山のレーダーやモニターで埋め尽くされていた。その一段高い場所にキャプテン椅子が有り、”海モグラ”はそこへ座らされた。(似合わない絵だが)

”海モグラ”はリーダーらしき人物の頭に手を置き、「この先あと2000mもすれば”グランドライン”があり衝突してしまう。何とかしろ」と”念”じる。
”リーダーらしき人物”はラジャーと言い。
直ぐにみんなを集め操縦席には6人が座り何やら外艦船を操縦し始めた。

”海モグラ”は思った。
ひよこは産まれてすぐに見たものを親と認識する。今の状況はまさにそれ。だと思うことにした。
と言う事はこの艦の船員たちは自分の思うがまま操れる?かも知れない‥?。

外艦船の後ろにはゲインたちが乗る作業船がついてきていた。

ゲイン:「ねぇ。これ、どいうこと?」

Knock:「わからない。けど、”海モグラ”が乗ってから外艦船は速度がゆっくりになったし、安定している。これで”グランドライン”への衝突はないだろう。」

ゲイン:「このまま”グランドライン”へ向かって大丈夫なんだろうか?」

Knock:「カメラのあの様子じゃ大丈夫じゃない?悪い人たちじゃなさそうよ。”アイツラ”では無い事は確かよ。」

外艦船はそのままゆっくりと操縦され、”グランドライン”へ接岸した。
外艦隊員は久しぶりに本船から外へ出る。
「うわぁ。久しぶりの外だぁー。気持ちがいいなぁ」

ゲイン:「あのう‥”外”と言いましたが、こう見えてもこの場所は海底都市。なので、”外”じゃなく”内”になっています。」

外艦隊員のひとりは驚く。「えっ。本当ですか?あまりに明るいので地上に出たのかと勘違いするほどです。」

Knock:「あなた達は一体‥どこから来たんですか?僕らと同じ人間ですよね?」

そこで総裁ブルーが出迎えた。 

総裁ブルー:「まぁまぁ。積もる話は中へどうぞ。(本部へ案内する)」

Knockが歩きながら総裁ブルーへ言う。「総裁。大丈夫ですか?こんなに易々と”グランドライン”へ降り立ち、これから本部まで?今会ったばかりの得体の知れない人達ですよ?」

総裁ブルー:「大丈夫だ。みてみろ。”海モグラ”の前を決して歩かない。あれは”海モグラ”への忠誠心そのものだ。」

今まで”海モグラ”は自由に単独行動だったが、今は何だか彼らの行動ひとつひとつが、うざったい感じがした。親鶏の後を追うひよこ達一同だ。しっかり列を成し”海モグラ”へ続く。

本部の幹部を含め外艦隊と話をする。
作戦会議によく使う部屋は久しぶりに大人数で満たされた。

総裁ブルー:「君たちは一体どこから来たのかね?正直かなり驚いたよ。
ここ”グランドライン”は人類最後の住地。この深く暗い海底と同じような別場所に住む”者”たちがいたとは知らなかったよ。」

外艦隊のリーダーが説明する。
「突然のお邪魔は申し訳なかった。私たち13人は、あなた達とは別の海底都市べリューから来ました。私たちも正直驚いています。本当にこうやって、私たちとは別の海底都市の存在を知ることができましたから。」

総裁ブルー:「”べリュー”?」

リーダー:「そう。これは偶然だったのかも知れません。私たちは何日、かかってここへ来れるかわからなかったので、食料と寿命を節約する為に永命装置に入りました。艦船は自動操縦です。
艦船には、あると思えない座標を計測させ、”運”に任せてここまできました。これは本当に”運”が良かった。この世には本当に神様がいるのかも知れない。」

総裁ブルー:「ある意味そこにいる”海モグラ”が今は”神様”かも知れないな。彼がいなかったらあなた達の艦船も、ここ”グランドライン”もどうなったか‥。」

艦隊員一同は”海モグラ”の方を向きなおし「ハイラー!」と座りながら敬礼した。

リーダー:「私たちがなぜ海底都市”べリュー”を離れここへ目指してきたのか?
それは海底都市”べリュー”が今危機的状況にあるからなんです。」

艦隊員のひとりが感情を抑えきれず前にでる。

艦隊員女:「私たちは”べリュー”でひっそりと暮らしていました。それなのに‥”アイツラ”!‥」

GQ(自給):「”アイツラ”?‥」

総裁ブルー:「君たちも私たち同様、海底都市での生活は大変だろう?
海底での生活もまた完璧とは言えないからね。
危機的状況というからにはその場所を”荒らす者”も出たということか‥。
いやいや、どこも同じですなぁ。どうして安泰な世の中はいつまでたってもやってこないのだろう。」

リーダー:「それでは?ここでも?」

総裁ブルー:「ああ。いつでも不意に”アイツラ”はやってくるし、過去には大獣も暴れるし、まぁ皆んな考える事は一緒。
今は広い地球上には住めない。よって、
こうして限られた場所を取り合っているんだからな。
仲良く手を握ることを考えるより、先に広い地上にどうでるか?の方を考えた方が先明なのかも知れない。」

リーダー:「そうですかぁ。私どもはあなた方に助け船を出したくてここへ来たんですが、それでは解決にならなそうですねぇ‥」

総裁ブルー:「今の危機的状況を回避するぐらいならできるかもしれないよ。やってみるかい?戦力は足りているの?」

リーダー:「人手も戦力も食料も足りない状況です。どうかご助力をお貸しください!」

総裁ブルー:「分かった。できる範囲で協力しよう。それにしても君の外艦船はよくできているな。メカニックの腕がいい。」

へへへ。そりゃそうで‥(影に隠れていた〇〇が姿を現す)

総裁ブルー:「あっ。君は巡回員グリーン!なぜここに?」

巡回員グリーン:「へへへ。お久しぶりで‥へへへ。私がそのメカニックでした。」

GQ(自給):「そうかぁ。だから皆んなはグランドラインの話を信じてここまでやってきたのか。」

巡回員グリーン:「へへへ。さようで。」

総裁ブルー:「私たちは君がいなくなり、ずっと探していたんだぞ。まぁ、こうして生きているなら良しとして、どうして?勝手にいなくなったんだよ!いなくなる時ぐらいちゃんと言えよ!」

巡回員グリーン:「へへへ。あなたならどう考えます?
グランドラインの他に別の海底都市がある。探しに行かないか?と言われたら?

あの時のグランドラインの状況じゃ”聞く耳もたず”でしょ。皆んな”アイツラ”と”グランドライン”しか見えていなかったもの。

私はグランドラインに居続ければ指揮さえ取る事なく人生を終えただろう。機会を与えられず、ただの作業員として、あなた達のコマ遣いの毎日。 私の手の器用さを知っていましたか?あのままじゃあ、造りたいものもつくれないだろう。
そう考えてもっと自分を活かせる場所を探したのです。」

総裁ブルー:「どうやってべリューを探し出した?」

巡回員グリーン:「オキナがうちらを”光苔の丘”から逃した時、”聞こえた”んだ。
『海底に住む者達は一つではない。別にもいる。”グランドライン”の足元に隆起した幹プレートがある。海底都市同士は繋がっている。幹プレートを辿ってゆけ。そこに別都市がある”』と。
よくわからないが、とりあえず行ってみたんだ。”グランドライン”の根?幹プレートがあった。
それを見て僕は確信した。
別都市は本当にある。と。それから僕は毎日その場所を探った。細い細い根の、ようなもので。それを毎日辿りどこまで行けるか、を辿った。
こっそりバレないように、坑道を本拠地として着々と計画した。部品を集め小柄な潜水艇を造った‥。

僕は宝探しのような事はしない。ちゃんと可能性を模索して根拠づけてから実行した。
根を辿り、それを繰り返して、そしてべリューにいきついた。
この延命装置はその時から発案していた。僕がつくったんだ。誰かに感知させ、開けてもらわないといけないのが難点だが。」

総裁ブルー:「お前がいなくなって、いちばん心配していたのは、ほらっ。ここにいる”海モグラ”だぞ。お前のことをずっと諦めないで探していた。おそらく”グランドライン”の地中の中含め、”海モグラ”ほどグランドラインの場所全てを探し回ったやつはいない。それでも見つからないのは想定外だったよ。」

巡回員グリーン:「‥そうでしたか。”海モグラ”さんすいません‥。僕は”グランドライン”を出ようと決心した時に”ホラを吹きました”。
その”ホラ”に遠回しに僕は「ここを出るよ」とヒントを残していたんですが、誰も気づかなかった‥」

GQ(自給):「”ホラを‥?”(GQ(自給)は何か心あたりがあるようだ。考え込む)
あっ。わかった。
”オキナさんが一本の大樹になった”というのが、もしかして、”ホラ”?」

巡回員グリーン:「笑。ふふふ。今更ですけど、よく気づきましたね?そう。その大樹の話が僕の”ホラ”であり、旅立ちの合図だった。」

Knock:「わからないな。どうして大樹が”旅立ち”のヒントなのさ?」

GQ(自給):「大樹のように根を張り、根は水を求め、土を求め、葉は太陽を求める。
”生きるための行動”
じっとしていられない。新しい場所を探しに求める。それが、巡回員グリーンの生殖行動だった。」

Knock:「あちゃー。それは気づかないなぁ。グリーンさん。遠回し過ぎ。」

総裁ブルー:「巡回員グリーンの賢いところは、ただひとりで向かった。ということ。ここ”グランドライン”には”巡回員グリーン”のように、隙あらばすぐにでも”グランドライン”を脱出したいと願う者もいる。この時、もしも”巡回員グリーン”が何人もの同士を率いていたら‥”グランドライン”を見捨てる者がいたのかも知れない。結局
”隣の芝は青く見える。”とはよく言ったものだ。」

巡回員グリーン:「総裁。僕は”向こう(べリュー)”に行って見てしまったものがあります。
それは目を疑いました。

”グランドライン”に”アイツラ”が来て殺された者が年に何人かいましたね? 
僕みたいな行方不明者もそうです。

その人達が”そこにいたんです”‥」

総裁ブルー:「えっ?それは‥どういうこと?」

巡回員グリーン:「”アイツラ”は殺した、または誘拐した人間を、もうひとつの海底都市”べリュー”に集めていたんです。
いや、これはきっと”アイツラ”は人間を殺したふりをしている。
殺したふりをした人間を”アイツラ化”して戦闘兵士として、再利用している。

言い換えれば、もうひとつの”海底都市べリュー”は”アイツラ”の城”!!
僕は”それ”を見て、”ああ。自分はここに呼ばれた”んだ、とその時使命を感じました。
”グランドライン”で聞いたその声は、その事実を確かめろ。という声だったのかも知れない。」

副総裁:「ちょっと待て。別都市”べリュー”が”アイツラ”の城だとして、この目の前にいる13人の存在は?」

リーダー:「このチームは”ゼファー”。”アイツラ”に対抗する部隊の戦士達です。そして私の名前は”GI”。」

総裁ブルー:「”GI”!?」

本部員ほぼ全員が立ち上がり身構える。

総裁ブルー:「どういうことだ?”GI”。その名前をよく、こうしてはっきりと名乗れるな!」

GI:「誰にだって忘れたい過去はある。今は過去を振り返るより、”アイツラ”に。
そして、これからの事態に目を向けるべきだ!過去にすがるより、もてるだけの力を集結するのだ!」

副総裁:「そんなこと言ったって‥。いいかい?”GI”と言ったら誰もが怖れる大海賊”GI”じゃないか。急に目の前に現れて、いきなり”オレGI”だけど、困ってるんだ。一緒に手を組もうぜ”なんて言われてもなぁ。頭が追いつかないのが普通だろう。」

GI:「まぁ。そうか。わかった。会議はとりあえずこんなもんだろ。ちと”グランドライン”たらを見させてほしい。話はそれからでも。」

総裁ブルー:「ふむ。今の会議ではわからない所が沢山ありすぎる。一度休憩しましょう。”大海賊””大強盗””海を操る者”その多き伝説を置いて、:GI殿。しばし”グランドライン”を案内いたしましょう。」

===”グランドライン”を歩きながら総裁ブルーと大海賊”GI”が話す。後ろをGQ(自給)がついてくる。少し間をおいて、巡回員グリーンとゲイン、Knockも続いた。

総裁ブルー:「”べリュー”から”グランドライン”までは何日かかりましたか?」

GI:「おそらく1年は経過しているはず。”巡回員グリーン”がいっていた。:まるで霧の中を手探りで探すようなものだ”と。
巡回員グリーンがすんなり”べリュー”へ辿りつけたは”呼ぶ”神力があったせいだろう。」

総裁ブルー:「延命装置まで使って‥。本当に困っていると思われる。」

GI:「じゃなきゃ命かけてここまで来ませんよ。」

総裁ブルー:「戦況はどんな感じですか?」

GI:「30対‥200ってとこかな?」

総裁ブルー:「200?‥(シーンとする。後ろでGQ(自給)も聞いていた。)
そりゃ”藁をもすがる思い”ですね。」

GI:「我々のメンバーは、元々今動かしている艦船で海を統治する海賊だ。
この通りの太陽の影響で、地上に住めなくなり、我々は海の中で日々、艦船生活をしていた。そんなある日、”アイツラ”はやってきた。

我々の艦船は破壊され艦員12人は”アイツラ”のいる城”海底都市リニューへ拉致された。
”グランドライン”から連れてこられた戦士達と肉体労働をしていたよ。そこへ、巡回員グリーンがやってきた。
巡回員グリーンは”アイツラ”に詳しかった。
仲間が欲しかったのだろう。巡回員グリーンはわざと”アイツラ”の占領地に潜入してきたと言う。

それからというもの、
我々艦隊員は巡回員グリーンといつも行動を共にしていた。
色々教えてもらったよ。
”グランドライン”という天国のような海底都市のこと。
そしていつかは”グランドライン”!!が我々の合言葉となった。

巡回員グリーンはお見事だった。
”グランドライン”で学んだという知識をまだ都市として未熟なリニューへ次々と活かしていった。
暗がりを照らす”ランタン”。
”アイツラ”から記憶を奪われないようにする装置”BANZAI”。
そしてこっそりと壊された艦船を修理した。
”アイツラ”を襲って部品にしたりしたが、不思議と”アイツラ”は減るどころか、日に日に増えていった。

そして俺たちは反”アイツラ”組織”ゼファー”を結成。艦隊員と巡回員グリーンの13人に加え、徐々に組織の人数を増やしていった。

総裁ブルー:「不思議な仕返しのやりとりだ。こちらは”アイツラ”を壊し、その部品で生活水準をあげる。逆に”アイツラ”は人間を奪い、洗脳し、人間に対抗する兵力とする。両者は吸うだけ吸った力をエネルギーと変える”リサイクル”が根本にある。」

GQ(自給):「以前から不思議に思っていたんだ。”アイツラ”は一体どこからやってきているのかを。僕らが”グランドライン”から色んなところへテレポートできるように、”アイツラ”は海底都市”べリュー”を拠点に”グランドライン”を攻めてきていたんだ。
GIよ。ここ”グランドライン”から”べリュー”までどのぐらいかかるんだ?」

GI:「5日。というところですかね?」

GQ(自給):「まるで海外旅行気分ですね。そんな。数日でいける。」

総裁ブルー:「GI。潰すか。そこの”アイツラ”」

GIはニタリと怖い笑みを浮かべる。

GI:「”アイツラ”の城を落としますか」

総裁ブルー:「落としたらそこは君の城になる」

===本部 メカニック古屋

副総裁:「兄弟!出番だぞ。”性格”は上手くいったか?」

キックス①:「性格以外はまともにいきました。」

副総裁:「まー。人間。性格だけが取り柄じゃないからねぇー。顔が好みならそれでいい。ってやつもいる。試験的な問題だ。
その他に問題がないなら、とりあえず実戦してみるか。」

キックス①:「とうとう試す時がきたんですね。」

キックス②:「長い道のりでした。」

副総裁:「目的地に着くのは5日後だ。それまで身体を休めるといい。」

キックス①:「5日後?なんだそれ。暇を持て余しちゃうじゃん。」

(総裁ブルーが戻ってきた)

総裁ブルー:「君達には5日かけていって欲しい場所がある。そこはもう一つの海底都市”べリュー”」

キックス②:「”べリュー?”」

総裁ブルー:「そうだ。そこには”アイツラ”がいる。そして”アイツラ”の城だそうだ。そこを壊滅してこい。」

キックス①:「まーたぁ。無謀なぁー。」

キックス②:「まぁまぁ。ミューマンを試すいい機会じゃ無いか。それでどのぐらいの体がそこにはいるの?」

総裁ブルー:「およそ150体以上」

キックス①:「ヒェー。大丈夫かい」

キックス②:「うーむ。いけなくはないかなぁ。その”体”のレベルにもよるね。」

キックス①:「僕らだけで行くの?」

総裁ブルー:「いや。聞いて驚くな。君たちは”GI”を筆頭にチーム”ゼファー”と一緒に行動を共にする。心強い味方だろう。」

キックス②:「”GI”ってあの有名な‥?」

キックス①:「大海賊‥。うひゃぁー。すごい。そんな機会があるなんて。何着て会おうかな?おしゃれしていかないと‥。」

キックス②:「なんでまた‥そんな組み合わせを?」

総裁ブルー:「深い意味はない。偶然ここ”グランドライン”へ訪問者として現れたんだ。ちょうど良い機会だ。一緒に暴れてこいっ。」

キックス①②が開発した”ミューマン”はこうして”べリュー”へ旅立つ日の朝にお披露目になった。

キックス②:「これが僕らが開発した”ミューマン”2体です。僕の方に立っているのが”知”号機。キックス①側に立っているのが”動”号機。となってます。」

キックス①:「”アイツラ”の動力を基本にしてボアアップして剛性を高め、それでいて軽量化を実現。スピード、耐久性、破壊力全ての性能を”アイツラ”を上回る事ができました。そして何よりこのイケメン。地球外の女子生命体にも振り向かれる面体にしました。」

GQ(自給):「全ての性能を”アイツラ”を上回る。と言ったけど本当?それ本当ならめっちゃすごいな!お前達。」

キックス①:「う…ん、」

キックス②:「正直に言うと、現体のままだと機能が少ない。重量を軽くする為に無駄な機能を省いています。なので”アイツラ”との正誤性はひとつあげるとしたら、”技”が少ないこと。かな。」

GQ(自給):「”技”が少ないのかー。大丈夫かよ?」

キックス②:「そこもちゃんと計算はしている。不足する機能は外部から”アタッチメント”で補う事ができる。」

GQ(自給):「ほほー!さっすが!頼れるねぇ。」

キックス①:「とりあえず今は使い始めだから機能を”慣らす”為に誘導してやらないといけない。
僕が”動”号機。兄貴が”知”号機を慣らす為に僕らも同行します。宜しく。」

GI:「それではそろそろ行きますか。もうひとつの海底都市”べリュー”へ!」

13人とキックス①②+ミューマンは艦船へ乗り込む

キックス①:「兄ぃ‥例の”もの”は?間に合った?」

キックス②:「あぁ。ギリギリセーフだった。ちょうどさっきBOO(武)が、来世から戻ってきたから、預かってもらったよ。」

キックス①:「あぁ。良かった。BOO(武)なら大丈夫たね。安心して野外活動に行ける。」

キックス②:「笑。おいっ。野外活動なんてぬるいもんじゃないぞ。これから行くところは戦場だぞ!」

キックス兄弟の不安はこれから先の旅”べリュー”ではなく、γ地帯から連れてきた二つのあたたかい固い卵にあった。
”グランドライン”へ帰艦するまで生まれないだろうが、生まれてしまった時を想像すると不安でたまらなかった。


しかし、ここからべリューはいける。
僕が一度辿った道だからね。



総裁ブルー:「あなた達は人間ですね?これは一体どういうことですか?」


のきノンヘブンズどー



キックス①②:「ブルーのおじさん。ちょっくら試させてもらうよ。」



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