『VARIABLE BARRICADE NS』感想 自分を愛してはじめて誰かを好きになれる
——出会って5秒でプロポーズ!?
名門東条家の一人娘・ヒバリの前に現れた謎の美形男子たちは、
彼女の天敵である祖父が差し向けてきた花婿候補だった。
ヒバリの勘は告げていた。この話、きっと裏がある。
何故、今なのか。そもそも彼らは何者なのか。
どう考えても怪しすぎる話に断固拒否の姿勢を見せるも、祖父の決定は絶対。
あれよあれよという間に別邸を与えられ、結婚を前提とした共同生活が始まった。
4人の男たちはあの手この手で彼女を口説き、婿の座を狙う。
めくるめく誘惑の日々の中、ヒバリは固く決意した。
絶対落ちてやるものか、と——
(*公式サイトより引用)
攻略対象は4人。昨今5人~が主流なのかなという感じなのでちょっと少ないのかな? 個人的には薄くて大味なシナリオより少人数でれぞれじっくり詰められたほうが好みなので、期待大でプレイしました。
公式推奨攻略順としては 「 壱哉 (パッケージメインヒーロー)は、最後だと話がわかりやくてきれい」 とのことでしたがエゴサをかかさない私はプレイ済み先輩ユーザーたちを参考に彼を最後から2番目、つまり4人中3人目にすることにしました。というわけでツイッターでの意見を参考にしつつ、大我→那由太→壱哉→汐音 で挑みました。
○ 石動 大我
(CV:岡本信彦)
オールバック、ピアスゴリゴリ。そしてなんといってもその主張のつよい独特なセンスのオムライスカラー猫Tシャツ
とても"ギャンブラー"の名に恥じぬ派手な出で立ちである。
共通ボードでヒロイン(生粋のお嬢様)に汗臭メットを被せるシーンがスチルが出てきた時に、「あ、このゲーム期待できるな」と素直に思った。大我の共通ボードは主にヒロインの胸コンプで喧嘩するというわりとくだらない感じなんですが、乙女ゲームのヒロインって胸おおきい子が多いので、スレンダーヒロインは新鮮でした。個人としてはもっと貧乳ヒロイン、増えてもいいのにと常日頃思っているので、とってもよかったです。
実家にお呼ばれしてからの√選択後、まさかのいるはずのない大我さんが登場。これは正直とてもテンション上がってしまう。まさかのじいちゃんとグル。おま、そっち側だったんかい嵌めやがってこんにゃろという感情とこれからいったいどうなっちゃうの~~!?というワクワク展開に沸いた。だってこれ月9だったら完全に次週につづく★の流れだったもん。だがしかしこれは買い切りゲーム。1週間おあずけもソシャゲのようにメインストーリーの更新を待つ必要もない。そして好きなところを好きにかじれるバリケードボードシステム、控えめに言って素晴らしい。
自分はあくまで監視役であって花婿候補ではないからと降りようとする大我でしたが、お嬢のかわいさにわりと早めの段階からほだされていく。まぁまだ23歳だし仕方ないね!
なんだかすんなり甘い展開か!?と思いきや本気になってきたところで終盤まさかの逃亡劇。しっかり一筋縄ではいかない展開に。いろいろあったけど一番甘くて(当社比)王道でした。
"お嬢"呼び、なんともロマンスがあっていいですよね、、
○ 八神 那由太
(CV:下野紘)
とても元気、とてもワンコ、とてもうっとうしい。
申し訳ないけどオプションキャラ別音量設定で真っ先に音量抑えるタイプのキャラ。とまぁこんなんだからお嬢様なヒロインとどう進展していくのかなと思っていたのですが、
まさかの映画的展開(文字ママ)
こうきたかァという感じで20歳と17歳の彼ら彼女らのほほえましくも笑いありなギャグ的笑劇が楽しかったです。東条家当主としてのすべてを引き受けなければならないヒバリと、八神家の息子として要人警護につかなければならない那由太。幼くしてある意味立場の似たふたりであるというところも良いです。あの目が死んでる着ぐるみの立ち絵、なんともいえぬツボに入って忘れられない、、
○ 光森 壱哉
(CV:鳥海浩輔)
問 題 の メ イ ン ヒ ー ロ ー
パッケージだからキメ顔してんのかと思いきや本編はじまってもずっとあの顔のまま薄ら気持ち悪いセリフばかり吐いてくるし、そこに輪をかけて前科が"結婚詐欺(未遂)"ということでいったいこの人はなんなんだ、どうしてこんなことになってしまったんだ、知りたい、と思わずにはいられない。そしてメインヒーローなのに4人の中でいちばん糖度が低くそして衝撃が大きい。なんともこう、文字に起こすのがむずかしく、百聞は一見に如かずというか彼の場合は案ずるより産むが易いというか、きっと本作のライターはこのシナリオが書きたかったんだろうなと思わせるような展開でした。うん。これはほんとうに乙女ゲームなのか……? 好きな人はものすごく好きだと思うしやっぱり3周くらいしないと飲み込みきれない、みたいな人もいるかと。私は好きです。内面的な欠陥を抱えて生きていくCPが好きなので。
とんでもねぇ26歳でした。そしてヒロインもとんでもねぇ17歳だということを思い知りました。
○ 黛 汐音
(CV:野島健児)
公式いわく、”ゆるふわ愛されビューティー”
たしかにその開いてんのか開いてないのかわかんないきれいな目、
シャツイチのゆるっと空いた襟首元。
そして謎のロン毛
美しい顔でなければ絶対に赦されないその髪型も、最後にはすっかり気にならなくなるくらいの展開でした。age22、おそろしい人ッッ
シナリオもとても緻密に練られており、ただただ感心するばかりでした。あといちばん少女漫画的展開かも。甘いとは言っていない。
とにかく春日と仲、というか相性が悪いのでそこも見どころです。ピリピリ!
かわいいは正義だけど、美しさはすべてを制すのだと
わたしも超絶美少女に生まれ変わって賢く朗らかなヒモになりてぇ(本音)
さいごに
冒頭に引用した "出会って5秒でプロポーズ" や "逆攻略" など、
パンチのあるセールスコピーが特徴的な本作ですが、描かれていたものは家族からの不器用(がちょっと過ぎる)愛情を丁寧に描いているように思いました。照れくさかったり、勘違いだったりで身近にいる人への愛ほど伝わりにくかったりするんですよね。
両親の愛を知らないまま、次期当主という定められた将来へ進んでいく17歳の女の子が、私は誰からも愛されないんだと頑なに思い込んでいたヒバリが、ハッキリと求められることで、自分を好きになることのできるお話でした。
どうせ自分なんて…とつい自己肯定感低めになってしまう人にこそやってほしいな、なんて思います。
当方、読むのが遅い+ボイスをしっかり聞くタイプですが1人あたりだいたいボード2が2時間、3が4時間で合計6時間というところでしょうか。
ふつうの乙女ゲームなら相手の好感度を上げるため/正解を選び取るための選択肢ですが、逆攻略な本作は理性値と恋愛値に別れるもので、じゃあ悩まないんじゃと思いきやどれもほんとうに絶妙な違いの2択なので、何度も選択肢前で固まるという事を起こしました。日本語の絶妙なニュアンスの違いで悩めることがこんなに楽しいなんて。
残りはとっても気になるトゥルーボードと、アフター(どうやら短いらしいけど)も楽しみです。仕事したくな~~い!
乙女ゲーム、たのしいです!!
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