新型コロナウイルスは怖いのか?怖くないのか?(その1)感染が拡大する原因を探る!
前回の記事では、新型コロナウイルスがどなものであるのかを知ることで、正確な情報発信ができるようになることと情報を受け取る側も入ってくる情報に踊らされることなくコロナかを狼狽えることなく過ごすことができるという提案をさせていただきました。
今回の記事では、新型コロナウイルス感染症の発覚から、自粛、自粛緩和、クラスターの発生と移行している現状とその間の感染者数の増減について振り返ってみたいと思います。
新型コロナウイルスについては分からないことも多いのですが、今までわかっていることだけでも、どんなことが起こっているのかが見えてくると思います。
新型コロナ感染症!これまでの経過を振り返ってみましょう!
発端は中国でしたが日本国内での新型コロナの感染者数が急増したことを受けて、感染者、あるいは、感染の可能性のある人を隔離し、さらに、自粛を実施することによって、スタートダッシュで増加した感染者数は劇的に減少しました。ウイルスによる感染症では人と接触しなければ感染しないのは当たり前の話です。
感染者の数が減ったのは良いことですが、いつまでも自粛を続けているというわけにはいきません。
誰も外出しなければ本人の稼ぎも各種店舗の稼ぎも激減し、経済活動が成り立たなくなってしまいました。感染者数が減ってきて経済活動が滞ってきている状態を何とかしようと自粛を緩和することになります。
ところが、自粛を緩和して人と人との接触頻度、あるいは、接触確率が増加してくると感染者は再度増加し始めることになり、新型コロナウイルスの感染拡大初期よりも1日の感染者数が増加することになり騒ぎも再び拡大されました。
この間にPCR検査や感染者を収容する病院・宿泊施設の確保など国も自治体もできることをやっているわけですし、一般市民もマスクの装着、うがい・手洗いの励行など自分が感染者にならないための行動もとっています。
それでも、感染者数の増加は止まりません。
最近の急激な増加の要因は、個人ー個人の感染から、一人の感染者が共同生活をする複数の人に感染させる集団感染、いわゆる、クラスターの増加が原因であると考えられているようです。「感染がクラスターに移行してきている」というような表現で解説しているニュースや番組が見受けられましたが、個人―個人の感染が無くなったわけでは無く、集団感染の数があまりに多いので陰に隠れてしまっているだけのようにも感じられます。
今は感染者数の増加も少し落ち着いてきているようにも見えますが、クラスターが発生すると一度に大量の感染者が出てしまいますので、「Go toキャンペーン」で外出を促せば他人との接触頻度は増加し感染者の増加はクラスターの発生に合わせて急増することもあります。
感染者に対する誹謗中傷や差別が・・・
そんなこんなでクラスターが増えてくると、感染者を悪者扱いするような風潮が現れて、「この時節に自覚が無さすぎる」と考えてのことか、感染した人に向かって罵詈雑言を浴びせたり、新型コロナに感染した人を感染を広げる諸悪の根源のように扱い、感染者が出た集団の人全体を不遇に扱うコロナ差別なんていう言葉も出てきました。
感染していて症状が出ていれば誰もが外出はしないでしょうし、家族や友人に感染することが無いように対処すると思います。ところが、感染者のほとんどが症状が無く、知らない間に治っているという人もいるくらいです。
インフルエンザのように感染すれば高確率・短期間で症状が出れば分かりやすいですが、症状がみられなければ新型コロナウイルスに感染した自覚がないのは当たり前で、そんな人が感染源となって新型コロナウイルスを拡散してしまう可能性があるのは必然です。
誰も新型コロナウイルスに感染したくて感染しているわけではありません。でも、感染しても症状が出ない、あるいは、症状がでて自宅にこもるようになるまでの間は感染を広げることになってしまっても仕方がない部分もあるのではないでしょうか?
感染が発覚した番組アナウンサーが「言われているように、マスクもしているし手洗いうがいも頻繁にしているし、それでも感染してしまいました。」と言い訳していましたが、人ができることは限られており、やるべきことをやっていても適切でなければ感染してしまうことも無いとは言えません。
新型コロナウイルスの特徴とは?
「新型」という名前がついているということは、旧型もあるということになりますが、人に感染することが確認されているコロナウイルスは全部で4種類あり、最もメジャーなコロナウイルスは冬場に流行する普通の風邪のウイルスです。
コロナウイルスは直径がおよそ100nmの球状で普通の顕微鏡では目にすることができない大きさです。「コロナ」という名称は電子顕微鏡で見たときの形状が王冠に似ていることからギリシャ語の王冠=coronaに由来しているということです。
近年話題になったコロナウイルスとしては、人に感染して重症肺炎を引き起こすSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)やMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)が有名ですが、症状から考えると新型コロナウイルスはSARSやMERSに近いのかもしれません。
特に、街中での人から人への2次感染が確認されていないと言われるMERSよりは人から人への2次感染が大量に確認されているSARSの方が近いみたいで、新型コロナウイルスの名称はSARS-CoV-2となっています。
ちなみに、「COVID-19」が新型コロナウイルスの名称と思っている人もおられるようですが、「COVID-19」というのは新型コロナウイルス感染症の名称になっています。(ちょっと、豆知識です(⌒∇⌒))
コロナウイルスの特徴は、以下に示す国立感染症研究センター(NIID)ホームページの「コロナウイルスとは」に詳細に記載されています。
新型コロナウイルスの特徴は新型と言われるくらいあって専門家でも分かっていないことも多いようですが、口の中で増殖することが大きな特徴となっているらしく、驚異的な感染拡大の理由の一つと考えられているようです。
口の中に大量の新型コロナウイルスを抱える感染者の唾液によって別の人に感染することになるから、咳はもちろん興奮気味に会話したりカラオケで歌って口から飛び出す唾液の飛沫に含まれている新型コロナウイルスが感染源となっているというわけです。
もちろん、口の中にいるだけなら肺炎を発症するわけではありませんので、口や鼻から気管支、肺へと移動することで肺の細胞に感染し、免疫系が反応して肺で炎症を起こすことになります。
重症化した新型コロナウイルス感染症とは?
新型コロナウイルスに感染しても症状は人によって様々です。
ここから先は非常に危ない状態ということになりますので、おそらくは病院に入院して隔離されている状態になっていることでしょうし、もしかしたら、人工呼吸器が使用されているかもしれません。
元気な人は初期の肺炎の段階で免疫システムによって新型コロナウイルスを駆除するわけですが、免疫力が低下している人は自己の免疫力で駆除することができず、血管内に侵入した新型コロナウイルスが全身に広がり、全身症状を引き起こすことになります。
実際に重症化するのは4人に1人程度でありそのほとんどが高齢者ということですので、新型コロナウイルスに感染するのを本当に恐れているという人は少ないのかもしれません。ただし、クラスターが増加することで自分が感染源になることを恐れるという認識が生まれて感染者数の増加がおさまってきているということもあるのかもしれません。
血管内に侵入したウイルスや病原菌に対抗するために免疫システムから分泌される炎症性サイトカインと呼ばれる物質がありますが、新型コロナウイルスでは早い段階で炎症性サイトカインが血液中に増加することが大阪大学の研究によって明らかにされています。
新型コロナウイルスの感染初期の肺炎の段階で新型コロナウイルスを抑えきれなかった際に、血管内に大量に供給される炎症性サイトカインが仇となり、肺だけでなく多くの臓器で血栓を作るようになってしまいます。
いわゆる、サイトカインストームと呼ばれる急性呼吸窮迫症候群や敗血症、多臓器不全といった症状になってしまうということです。
サイトカインストームの影響を最も受けるのは肺ですが、目詰まりを起こした血管は血液中の液体成分が血管の外に流れ出すようになり、血液中の酸素不足が起こり、急性呼吸窮迫症候群、いわゆる、呼吸不全を起こしてしまい、肺に酸素を送り込む人工呼吸器や肺の代わりをするエクモ(体外式膜型人工肺)のお世話にならなければならなくなるというわけです。
普通の風邪では扁桃腺が腫れる程度の軽症で済む可能性が高く、余程体力が低下している人や免疫力が低い高齢者や赤ちゃんが稀に肺炎になる程度ですが、新型コロナウイルスは体の内部に侵入すると高確率で肺炎を起こし、抵抗力の低い人は重症化するという点が大きな特徴となっています。
新型コロナウイルスに感染しても元気な人は最悪でも肺炎になる程度で、肺炎も軽症の段階で自分の免疫力で治ってしまうので恐怖心が無いのかもしれません。特に、重症化する可能性の低い人にとっては新型コロナウイルス感染症に対する恐怖心というのはほとんどないのかもしれません。
一方、世界的に新型コロナウイルスが蔓延するようになってから鬱や不安障害をもつ患者が急増しており、「コロナ鬱(うつ)」という言葉が出回っているくらいです。情報を手軽に発信できる時代の影響もあるのでしょうが、もしかすると、コロナ鬱が誹謗中傷に走らせているということもあるのかもしれません。
まとめ
新型コロナウイルス感染症が重症化すると恐ろしいということは理解できたと思いますが、ほとんどの元気な人が普通の風邪と見分けがつかないような症状だけで終わってしまうということも特徴的です。
インフルエンザは感染すると老若男女問わず高熱が続くことになり苦しい思いをすることになりますが、新型コロナウイルス感染症にはインフルエンザのような恐怖心は無いということが感染を拡大させる一つの要因となっていると考えられます。
新型コロナウイルス感染症に対する恐怖心の無い人が多いというのも感染が拡大しやすい要因の一つではありますが、症状が軽いことや無症状感染者が意外と多いというのも感染が拡大しやすい原因の一つかもしれません。
そのことについても説明しきれなかった新型コロナウイルスの特徴が関係していると考えられますが、感染者であることに気付かずに新型コロナウイルスを拡げてしまっている可能性については次回の記事で検証していきたいと思います。