塩麴を造ってみませんか?醤油麹もおススメ!
「塩麴を使ってみませんか?」の記事を見て「使ってみようかなぁ!」と思った方にぜひとも挑戦していただきたいのが、自分自身のオリジナルの塩麴造りです。
塩麴そのものはスーパーマーケットで販売されていますので、たまにしか使わないという方なら塩麴を買ってきて使っていただいても何も問題は無いと思います。先の記事でもご紹介させていただいたように200gの塩麴が200円程度ですし、肉にしろ野菜にしろ目安となる使用量は生食材の10%程度ということですので、購入した塩麴で重量にして2㎏程度の肉や野菜が調理できることになります。
鶏むね肉なら8枚から10枚程度の調理ができることになりますので、たまに使うというだけならば市販の塩麴でも充分使い勝手は良いのかもしれません。
しかしながら、塩麴で処理することで肉類の旨味とジューシーさがアップしますので、一度使いだすと病みつきになるのが塩麴なのです。200g程度ならばすぐになくなり、また買いに行くという人も結構おられるのではないでしょうか?
ということになると、「塩麴を自分で造ろう!」ということになるわけですが、麹の価格は塩麴と同じくらいであり、かつ、100gの麹から250g程度の塩麴を造ることができますので、大量に消費するようになると断然お得です。
ところで、塩麴に定義は無く、麹と塩が入っていて発酵によって麹米のでんぷんが糖化されていればどんなものでも塩麴です。標準的な仕込み量はありますが、紹介されている塩麴の造り方では出来上がった塩麴は食卓にある醤油と同程度の塩分濃度です。
でも、自分でつくれば塩濃度は自由自在です。
塩を加えなければ甘酒ということになりますが、塩の仕込み量を所定の半分量にすれば減塩醤油並みの塩麴が造れることになります。塩分が制限されている人にはちょうど良いですし、甘味が追加されている分だけ塩味も減塩醤油よりしっかり感じることができます。
自分の食生活に合った塩麴を造ることができるというのも、自分流のオリジナル塩麴を造る大きなメリットというわけです。
塩麴の造り方!時間はかかるけど、とっても簡単!
自分で造るとなると腰が引ける人も多いようですが、塩麴は最初の仕込みに手数は要りますが、完成するまでは1日1回混ぜるだけですので超簡単です。
以下に、標準的な塩麴の造り方を載せておきますが、私流にアレンジしたより簡単に均質な塩麴の造り方をご紹介させていただきます。
塩麴造りで面倒なのが、水を入れる前に麹と塩を均一になるように混ぜ合わせるという点です。塩をお湯に溶かしておけば塩水を注ぐだけで塩分濃度が均質になるので、造るのが楽になります。
それと、ネット情報では「麹は生き物なのでお湯ではなく水を使いましょう!」と言っている人が多いようですが、塩麴で利用する麹カビの能力は麹カビが持っている酵素の能力ですので、60℃台であれば酵素活性が無くなることも麹カビが死滅してしまうこともありません。実際にこの方法で造っても、水筒の壁面に付着した麹の米粒から麹カビの菌糸が伸びたこともあるので、死滅していることはなさそうです。むしろ、スタート時に低温になると耐塩性のある微生物が増殖してしまい完成品が酸っぱくなってしますリスクもあります。(なったことはありませんが^_^;)
また、1日1回混ぜるのが面倒だと言われるとフォローのしようもありませんが、美味しいものを食べるためには少しばかりの手間は必要であるとご理解いただきたく思います。
ヨーグルトメーカーで塩麴は造れるの?
もっと簡単に造りたいという方は、市販のヨーグルトメーカーを使うという手もあります。ヨーグルトメーカーの中には「甘酒や塩麴も造れる!」と書かれている機種もありますが、温度コントロールができるヨーグルトメーカーならばどんな機種でも塩麴を造ることは可能です。
また、家電量販店に行ってみると塩麴や甘酒を造るための家電も販売されています。おそらく、健康志向から甘酒が流行したことが有ったので、ご家庭で甘酒を造るためにリリースされたと推測されます。
実際のところ、甘酒であろうがヨーグルトであろうが、温度センサーとヒーターがあればできる簡単な家電です。
乳酸菌の増殖に適した温度に固定した昔のヨーグルトメーカーは10,000円もしましたが、最近のヨーグルトメーカーは多目的で使えるように温度を自分で設定できるようになっている上、値段も高いものでも5,000円程度と半分以下になっています。
ヨーグルトメーカーを使うと水筒と異なり自然に温度が下がってくることが無いので、より短期間で塩麴を造ることができます。ただし、混合機能が付いていないヨーグルトメーカーの場合、設定温度を50℃~60℃にすると壁面の温度はそれより高くなるため褐変といって、発酵時間によって褐色化することがあります。(いわゆる、焦げた状態です(⌒∇⌒))
ヨーグルトメーカーを使用すると塩麴は1日から2日で完成するようですが、長く発酵させればさせるほど褐色化が進んでしまいますので注意してくださいね!(味や機能は変わらないようです^_^;)
醤油麹も試してみたいという方のために!
塩麴に慣れてくると、スーパーマーケットの隣の棚で売っている醤油麹にも興味が惹かれてくるという方も多いようです。
塩水の代わりに醤油を使うだけですので造り方に大きな差があるわけではありません。麹と塩を混ぜたり塩水を造る手間が無い分だけ塩麴よりも醤油麹の方が簡単、かつ、楽ちんです。
塩麴の場合と異なる注意点は、醤油は加熱しないということです。
元来、醤油は塩分補充だけでなく料理に風味をつけるものでもあります。加熱してしまうと熱によって揮発しやすい香り成分の一部が飛んでしまい風味が低下する可能性があると言われています。
また、麹カビは生き物ですので、醤油由来のアミノ酸やミネラルと麹の糖分があれば僅かといえども増殖してガスを発生します。その点も塩麴との大きな違いと言えるかもしれません。
ただし、塩分濃度が高いこともあり強くは増殖できず、順調に醤油麹の製造が進めばガスの発生はおさまってきますので、液面に泡がある間は1日1回のガス抜きをした方が良いと思います。
もしも、ガスの発生が無くならないどころか浮き上がる泡が見えるほどガスが発生する様子が観られるとすれば、麹か醤油に混入した耐塩性の酵母などが麹の糖化によって発生したブドウ糖を利用してアルコール発酵しているのかもしれません。(こうなると失敗ということにンってしまいますが、滅多に起こることではありませんが(⌒∇⌒)
透明容器に入れておけば泡の発生を毎日確認できるので、外から見ているだけで発酵具合を外から見ることができるというメリットもあります。
そして、醤油麹には塩麴にないメリットとして、醤油に残存している大豆由来のペプチドやたんぱく質の分解も進んでいることが挙げられます。
簡単に言えば、醤油麹の方が旨味成分であるアミノ酸が増えることによって旨味がアップしているということになりますので、肉や野菜の全処理が主目的となる塩麴に対して、醤油麹は通常の醤油と異なる調味料としての用途も広がります。
「味はどうなのか?」ということも気になる人が多いと思いますが、こればかりは言葉で表現するのが難しいです。
旨味と甘味がアップしていることは間違いありませんが、個人的には、醤油の角が取れてまろやかになっているというイメージで、もろみ醤油の味に近いのではないかと思います。
塩麴と醤油麹はどうなったら完成なの?
一般の方が塩麴や醤油麹を造ってみようと思ったときに、発酵の終了、すなわち、塩麴や醤油麹がいつ利用できるようになるのかというのが最も難しく感じてしまうのかもしれません。
発酵させている日数は塩麴で1週間、醤油麹で10日というのが多いようですが、これはあくまで目安です。完成に要する期間は使用している麹の酵素活性に依存しますし、発酵中の温度の影響も大きいと思います。
先に申し上げたように塩麴にはこれといった定義があるわけではありませんので、どの時点が完成なのかというのは造る人が決めても良いということになります。
メーカーが造るのであれば、分解された糖濃度が〇%の時に発酵終了とするよいうような決め方もあるのでしょうが、個人で決めるのであれば見掛けと味が大きな決め手となってきます。
我が家の塩麴と醤油麹の完成品を小皿にとって写真に収めてみました。
我が家の完成の判断基準は、以下の通りです。
分かりにくいかもしれませんが、自分で判断基準を決めればそれが自分のオリジナル塩麴であり、オリジナル醤油麹なのです。
塩麴と醤油麹の賞味期限は?
仕込みの終点、すなわち、塩麴と醤油麹の完成のタイミングの次に気になるのが賞味期限です。
いくら美味しくなるといっても食中毒を起こすほど古いものは使いたくは無いというのが当たり前ですし、食中毒を起こすほどヤバい状態になっていては食材の旨味を引き出すどころか、不味くしてしまうことにもなりかねません。
市販の塩麴を見てみると未開封で半年程度となっているようですが、味噌や醤油が冷蔵庫に入れてなくてもかなり長期間使用していることが多いように、塩麴や醤油麹も特に決められている基準があるわけではありません。
賞味期限の決め方については知らない人も多いと思いますが、基本的には美味しく食べることができる期間ということで、メーカーが設定しています。
賞味期限は科学的かつ合理的な根拠に基づいて適正な期限を設定することになっていますが、理化学試験、微生物試験、官能試験を行って決定するのが一般的です。簡単に言えば、保存中に化学反応や微生物によって味や食感がが変わってしまって、本来の味や食感を維持できなくなっている場合は賞味期限を過ぎているというわけです。
賞味期限や消費期限の決め方については、以下の社団法人日本味覚協会のサイトに詳細に解説されています。
それでは、肝心の塩麴と醤油麹について考えてみましょう。
糖とアミノ酸が豊富で水分が多い塩麴や醤油麹は栄養的には微生物が増殖しやすい状態にありますが、塩分濃度が高く(10%程度)一般的な微生物が増殖できるような塩分濃度ではありませんし、冷蔵庫のような低温で保存していれば化学反応も起こりにくいと言えます。
醤油や味噌が常温でも日持ちすることからもわかるように、塩麴や醤油麹は醤油や味噌と同じように扱っても問題ないと思われます。
我が家では完成した塩麴と醤油麹は100円均一で売っている程度の密閉容器に入れて冷蔵庫で保管して使っていますが、3ヶ月ほど経過しても味はもちろんのこと塩麴の旨味アップという能力も変わりなく使えています。
ただし、賞味期限や消費期限という野菜未開封が前提となっていることからも分かるように、使用者の利用による蓋の開け閉め、挿入するスプーンの清潔度合い、保管温度などによって大きく変わってきます。密閉できる容器に入れて冷蔵庫保管することをおススメしますし、容器から取り出すスプーンもきれいなものを使用するようにしましょう。
ちなみに、体験したことはありませんが、容器の壁についた塩麴や醤油麹に白いカビの菌糸が伸びてきて表面に胞子がついている状態(胞子の色は麹カビの種類によって違いますが、一般的には黒、黄色が多いと思います。)、俗的には、カビが生えていると呼ばれるような状態になると酸味が増加して食べられる状態では無いように思います。
慣れてくれば消費する量から生活に合わせた量が分かってきますので、1回に造る量を「3ヶ月程度で消費できる量」としておけば、途切れることなく塩麴や醤油麹を利用した料理を楽しむことができます。
まとめ
ご紹介させていただいたように、塩麴や醤油麹は初期段階から塩分が多いため雑菌が増殖しにくい状態にありますので、素人が家庭で造りやすい発酵食品です。
この機会に是非お試しいただければと思います。
塩麴も醤油麹も同じようなものと考えておられる方もいるかとは思いますが、塩麴そのものには旨味成分であるアミノ酸が少なく、素材の旨味や色を活かした料理には塩麴の方が向いているように思います。
一方、醤油麹には大豆に含まれているたんぱく質由来の旨味が含まれていますので、醤油とは異なるワンランク上の醤油、すなわち、醤油であって醤油でない新しい調味料と考えて使用するのに向いているように思います。
すなわち、特有の苦みや渋みを含んでいるような野菜を焼いたり蒸したりして食べるときには旨味を加える意味で醤油麹が向いているというわけです。
実際、私もそれほど広いレパートリーがあるわけではありませんが、炒め物にしろ煮ものにしろ肉や野菜の旨味がアップする塩麴や醤油麹は単独、あるいは、ブレンドして使うことにより料理がおいしくなりますし、値段の安いお肉でも美味しく調理できるというのが大きなメリットと感じています。
友人であるプロの料理人に塩麹を紹介したところ、塩麴をアレンジしたものを焼き野菜のディップソースとして使う料理を考えてくれました。(塩麴はヨーグルトメーカーで造ったので少し褐色になっています(⌒∇⌒))