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空家等対策と中心市街地における議論の空中戦~一般質問の質疑から~

前回に引き続き、花巻市議会9月定例会の一般質問の続きになります。
前回は「特定地域づくり事業協同組合制度」を取り上げました。
今回は「空家等対策」の質疑について取り上げます。

空家等対策計画の見直しについて

私はまず、花巻市が策定した「空家等対策計画」において、具体的な数値目標が設定されていないことを指摘しました。計画の進捗を評価するためには、明確な目標を設定し、それに基づいた進行管理が必要と思います。
例えば、北上市では空家バンクの登録数や成約件数など、具体的な数値目標を設けて対策を進めています。花巻市も同様に、数値目標を導入することで、空家問題に対する取り組みをより実効的にするべきだと提案しました。

これに対して、市当局から、花巻市の空家等対策計画は平成28年度に策定され、令和3年度から令和7年度までの計画期間を持つものであり、2度の見直しが行われてきたと説明がありました。
市では、空家等解体補助金や老朽危険住宅除却費補助金を通じて、空家の適切な管理を促進しているとのことです。しかし、空家の管理は基本的に所有者の責任であり、今後も少子高齢化に伴って空家が増加していくことが予想される中、空家等計画において相談件数や苦情の件数を目標に設定することは可能であり、今後の見直しで具体的な数値目標を検討していくとの答弁がありました。

地域住民や団体を巻き込んだ空家等対策について

次に私は、空家問題を市だけで解決するのではなく、地域住民や団体、有識者を巻き込んだ協力体制が必要だと主張しました。空家問題は地域の持続可能な未来に関わる課題であり、地域住民が主体的に取り組むことが求められます。市が単独で対策を進めるだけでは限界があるため、地域全体での取り組みを促進する仕組みを構築すべきと思います。

市当局からは、花巻市はすでにシルバー人材センターや岩手県司法書士会、宅地建物取引業協会などと連携協定を結び、空家の管理代行や相談会の開催などを行っているとの説明がありました。
また、2023年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が改正され、空家等管理活用支援法人を市が指定できるようになったことから、今後さらに外部団体との連携を強化し、空家問題に取り組む方針であるとのことです。

専門部署の設置と体制の強化について

私はさらに、空家対策に関する専門部署の設置を提案しました。空家問題は単に管理や解体だけでなく、空家のリノベーションや利活用を通じて地域全体の活性化に貢献できる重要な課題です。そのため、空家問題に特化した部署を設置し、総合的な対策を進める必要があると考えています。

これに対し市当局からは、現時点で新たな専門部署を設置することはマンパワー不足のため難しいとの説明がありました。現在は、空家バンク制度を担当する定住推進課や、空家の利活用を推進する商工労政課と連携して対応していると説明しました。また、他市の成功事例を参考にしながら、今後も体制の強化を検討していく方針を示しました。

空家の管理保全だけではない「空家対策」

現在の市の「空家対策」は、空家の管理や保全に偏重していると思います。空家を増加させないための「予防策」も必要ですし、「空家物件の活用」も大事です。
また、「空家問題」は身近な地域で考えることによって「地域づくり」につながる側面がありますし、特に「中心市街地」では、空家物件を活用した「リノベーションによるまちづくり」といった視点から、どういったまちづくりを描いていくか「エリアマネジメント」を行う必要があると考えています。

中心市街地活性化における市長との「空中戦」

一般質問の質疑の中、空家問題から飛び火して「中心市街地の活性化」について、私と市長との間で議論を交わしました。
私は、エリアマネジメントの観点から、空家問題を含めた中心市街地の活性化には、単なる問題解決ではなく、全体的なグランドデザインが必要だと話しました。
これは以前から何度も主張していることですが、実は、もっと内容を煮詰めて別の一般質問の機会で取り上げようと思っていました。
しかしながら、市長との議論の中でヒートアップしてしまい、「中心市街地の活性化については将来を見据えたグランドデザインを描いてそれに向かって取り組むべき」と話してしまいました。

市長は、案の定、全体的なグランドデザインに対しては慎重な姿勢で、「高度経済成長の時はまちづくりの大きな計画を立てることはできたが、人口減少で日々変わる現状の中で今はそういった大きな計画を立てることはできない。『リノベーションまちづくり』を含め必要な計画は住民の方に示している」との答弁がありました。

時間がなく、予定もしていなかったやりとりなので手持ち資料もなく、いわば「空中戦」となってしまったため、言いたいことの半分も話せなかったのが大きな反省点ですが、私は人口減少の現在だからこそ、その先の「グランドデザイン」を描くべきと思っています。
また、市長が言う『リノベーションまちづくり』については、計画としてつくった「花巻リノベーションまちづくり構想」の実現に向かって進んでいるかと言えば、結局中心市街地の社会実験のイベントが行われているのみであり、社会実験の先が見えない状況にあります。

やはり、中心市街地の活性化には大胆なビジョンが必要であり、それに基づいた具体的な施策が不可欠だと私は考えています。


今回、「空家問題」から飛び火して「中心市街地におけるグランドデザイン」の話になってしまいましたが、いずれこの件に関しては、一般質問等でとりあげ、腰を据えて市当局とやりとりしたいと考えています。

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