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苦い思い出とともに振り返る「地方での体験事業」と「自由な働き方」の話

自然体験事業にボランティアで参加

先日、ボランティアとしてある事業のお手伝いをしてきました。

お手伝いの中身は、首都圏から地方へ自然体験に来たお客様を、宿泊地から自然体験の場所(例えば農場や漁場など)へ送迎するというものですが、送迎を行いながらいろいろなことを考えさせられました。

一つには、自然体験といっても様々な体験が存在すること。
自然体験というと、川や湖でバーベキューするとか、最近であればサップとかカヌーとかのアクティビティ、もしくはキャンプなどしか思いつかなかったのですが、農業体験や漁業体験、狩猟体験など、実際に農林業や漁業に携わる方の働く様子を間近で見ながら実体験してみることで、農林業、漁業に関心を持ってもらうというのも確かに一つの試みとして面白いものだな・・・と思いました。

また、今回私がボランティアで携わった事業は、首都圏から来たお客様にそれ相応の参加費をいただいて、ちゃんと収益化しているものと思います。(実際のところはよくわかりませんが)

よくできたプログラムだな~と感心するとともに、私の脳裏には、苦い思い出がよみがえってきました。


苦い思い出の「体験プログラム」事業を振り返る

私もかつて、夏休みや冬休みのような長期休みの間に「体験プログラム」を子どもたちに提供するという事業をしていました。

スポーツ施設で遊んだり、子どもたちだけで釣りに行ったり、電車やバスを乗り継いで遠足に出かけたり・・・それはそれで好評を得ていましたが、主に次の理由で、わずか2年で事業撤退してしまいました。
①主催者(私)の目的と違う事業になっていったこと
②採算ベースに見合わないこと
③スタッフ不足が顕著なこと


主催者の目的と違う事業に変化

こちらとしては、普段できない体験プログラムを組んで、子どもの成長につなげたいと思ったのですが、プログラムに参加した子どもたち(保護者)の目的がバラバラで、集中力が続かずすぐ飽きてしまう子やプログラムにそもそも興味を持っていない子なども多く、こちらの目的と方向性が一致しないことがありました。

ターゲットを高学年に限定すればよかったかもしれませんが、長期休みは「きょうだい」で参加する子も多く、結果として幅広い子を受け入れることになり、やむなく「学童クラブの延長」のような事業をせざるを得ないこともありました。

採算ベースに見合わない

それから、事業をやってみて感じたことですが「生涯学習の延長のようなローカルベースの事業は、(補助金等の助成がなく)参加者の参加費のみで収益化することは難しい」です。

ターゲットが地元の小学生ということもあり、料金は安めに設定したつもりですが、「ただ預けるだけなのに何でこんなに高いお金を設定するのか」という保護者もいらっしゃいました。

また、行政やボランティア団体が、無料に近い価格で同じような体験事業を開催していることもあり、保護者の中には「なぜ有料でやっているのか」と思われたところがあるのかもしれません。

いずれ魅力あるプログラムをするにはそれ相応のお金がかかりますし、逆に私たちのような自然があふれるところ(田舎)で暮らしていれば、そこにお金をかけてまで子どもを預ける意味がない。そう思われても不思議はありません。

最大の課題はスタッフ不足

そして最大の課題はスタッフ不足ということでした。

「体験プログラム」のような事業をするためには、ある程度のスタッフが必要です。
それも、遠足やアクティビティなどの事業は、ベテランのスタッフよりは機動力のある若いスタッフが必要でした。
(ここでいう若いという意味は、年齢のことではなく体力的、意欲的に若いという意味です。念のため)

ただ、平日の日中に事業において、若いスタッフの確保は相当難しい。
私は、大学生や専業主婦の方などに手伝ってもらっていましたが、みなさん様々な都合があってフルでスタッフとして活動することが難しく、結果、自分や家族だけで事業を行った日もありました。

今回、ボランティアで参加させていただいた事業でも、運転手などのスタッフ確保には苦労しているようでした。

働き方は多様化しているとは言うけれど・・・

近年、短時間労働やフレックスなど働き方が多様化しているとはいいますが、いまだに地方では「フルタイム」「年功序列」「終身雇用」といった従来の働き方に変化が見られない職場が多いです。

そういった働き方から自由になろうとして、フリーランスになったり、独立しようとすると結局は低賃金にあえぐことになり、「やりたいことはできるが暮らしていくのは大変」という若者が増えていくことになります。

私の苦い思い出の事業のみならず、例えば中学校の部活動の地域移行に伴う民間の指導者や、スポーツ少年団の指導者などは、有給休暇の取得が容易な自治体職員や、時間的な拘束が少ない自営業、農業などの方が多い。

これからの時代、自分の時間を確保するとともに自由な働き方をしながらある程度の賃金を確保して暮らしていくためには「自分のやりたいことを試しながらやってみて、ダメとなったら違うことをやってみる」「時間に拘束されず仕事をやってみる」「ダブルワーク、トリプルワークなど一つの職種にはとらわれないマルチな働き方をして稼ぐ」などの戦術が求められると思います。

「自由な働き方」をしながら地方における「担い手の確保」が期待できる?特定地域づくり事業協同組合制度


それらの戦術を後押しするかもしれない制度があります。

この制度は、マルチワークのような「自由な働き方」をしながら地方における「担い手の確保」につなげる制度であり、全国で100以上の導入事例があるといいます。

次回は、この「特定地域づくり事業協同組合制度」について、解説してみたいと思います。


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