見出し画像

JR釜石線存続のために必要なこと

JR釜石線沿線市町議会議員連盟

今日(10月4日)、JR釜石線沿線市町議会議員連盟企画運営委員会が遠野市で開催され、私は「企画運営委員会委員」として出席してきました。

この「JR釜石線沿線市町議会議員連盟」という組織は、近年のJR釜石線の利用者減少が進行している現状の中、沿線市町の将来設計のために、各市町議会が連携し、共同で釜石線の利用促進に向けて取り組むためにつくられた組織で、7月19日に設立総会が開かれ発足しました。

私は、産業建設常任委員会の委員長という立場で、前委員長から業務を引き継ぎ今回初めて出席しましたが、「JR釜石線の利用促進」をどのようにしていけばいいのか、深く考えさせられる会議でもありました。

「再構築協議会」と釜石線の現状

そもそもこの連盟が発足するきっかけは、2023年10月に施行された地域公共交通活性化再生法の改正です。
この改正法によれば、利用者の少ない赤字ローカル線を対象とした「再構築協議会」の設置が認められるようになりました。
「再構築協議会」とは、利用者の減少により鉄道の運営が難しくなった線区を対象に、事業者と沿線自治体、そして国が「持続可能な地域公共交通を再構築する」ために話し合う場のことです。協議会は、鉄道事業者または自治体が国に申し入れることで設置されます。

再構築協議会の対象線区について、国土交通省が公表した「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」では、以下のすべての条件を満たす必要があるとしています。

  1. 都道府県をまたぐ線区(一部例外あり)

  2. 輸送密度が4,000人/日未満(1,000人/日未満を優先)

  3. JRは特急列車や貨物列車が走行していない線区

JR東日本によれば、2022年度は県内6路線10区間が赤字とのことで、その中に釜石線の「花巻~遠野」区間、「遠野~釜石」区間も含まれています。
そして、2022年度は「花巻~遠野」区間で、輸送密度(1日1キロ当たりの利用者)は739人、年間収支は11億3900万円の赤字、「遠野~釜石」区間では、輸送密度399人、年間収支は12億3900万円の赤字だったとのことです。

こうやってみると「JR釜石線」は、基本方針に基づく「再構築協議会」の対象路線であり、これまで多くの「赤字ローカル線」が廃止されてきた現状に鑑み、沿線自治体や国がJRと協議するとはいえ、いつ廃止になってもおかしくないという危機感の延長線上に、この連盟の発足があるといって差し支えないと思います。

このことには、市町議会議員だけでなく、行政も危機感を抱いており、先月の27日には釜石線沿線の自治体の首長と関係者で会議が開かれました。

赤字が続くJR釜石線沿線(岩手県)の自治体のトップらによる会議が9月27日に開かれました。 新たに利用促進のための協議会を設立し旅行商品の開発に向けたモニターツアーなどを行うことになりました。
27日はJR釜石線沿線の4つの市と町のトップらが集まり意見交換をしました。 JR東日本では利用客が少ない地方路線の収支を公表していて、このうち釜石線では2022年度で23億7800万円の赤字となっています。 冒頭以外非公開で行われた27日の会議では関係団体との連携を強化するため自治体のほかにJR東日本と三陸鉄道を加えた利用促進協議会が設立されました。 その協議会では2024年度、地域住民参加型のシンポジウムを開催するほか旅行商品の開発に向けたモニターツアーや利用者の意識調査などを行うことにしています。
釜石市 小野共市長 「地元と地元ではない人たちにどのように乗ってもらうのかが2本の柱」 今後協議会ではモニターツアーの具体的な内容などについて検討を進めることにしています。

(ヤフーニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/025b2b21a80415a148fb2b4e61f9468d07559bb9より引用)

上記記事を整理、そして補足しますが、
沿線4市町、JR盛岡支社、三陸鉄道で構成する「JR釜石線利用促進協議会」では、令和6年度の事業として

①釜石線の魅力を発信するテレビ番組制作(IBC岩手放送)
②遠野市民センターでシンポジウム開催(11月17日)
③釜石線利用モニターツアーの実施
④利用客・沿線住民らの対象のアンケート実施
⑤交流サイト(SNS)などの広報

を行っていくということです。

JR釜石線の利用促進を図るには

今後沿線自治体の人口減少が進んでいく中、JR釜石線の利用促進を図らないことには、利用者の減少、赤字の拡大は避けられません。
このままいくと、早晩「再構築協議会」が設置され、今後の釜石線の存続が議論されることとなるでしょう。

本日開かれた「JR釜石線沿線市町議会議員連盟企画運営委員会」では、利用促進のための様々な意見が出されましたが、結論にはいたらず、整理して再度協議することとなりました。

しかしながら、こうやって沿線市町村の首長そして議員が話し合う機会ができたことは、一歩前進と言えるのではないでしょうか。
将来の課題を先送りすることなく、JR釜石線の利用促進を図るために何ができるのか、「再構築協議会」ができる前に市民を巻き込んだ話し合いの機会をつくっていくことが、何よりも重要なことと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?