花巻市議会12月定例会を振り返って(前編)
花巻市議会12月定例会が12月14日閉会しました。
会期は短かったものの、なかなかに濃い定例会だったような気がします。
今回は12月定例会をポイントごとに振り返ってみたいと思います。
学校給食費の無償化を求める意見書の提出
定例会開会日の12月1日、学校給食費の無償化を求める意見書案が提出されました。
これまで花巻市議会の一般質問、予算・決算審議の場においても何度も議論されてきている案件で、私も賛成者として名を連ねました。
市町村単位で独自に給食費の無償化に着手している自治体もありますが、この問題は全国的に取り組まなければならない課題です。
岸田首相は「異次元の少子化対策」を謳い、こども未来戦略方針に基づき、「児童手当の拡充(支給年齢の延長、多子世帯への増額)」や「大学などの授業料無償化(3人以上の多子世帯)」などに取り組む予定ですが、学校給食費については調査の上、方針を出すこととなっています。
財源の問題は多分にあると思いますが、経済協力開発機構(OECD)の中でも、国内総生産(GDP)に占める教育への公的支出の割合(2019年時点)は、日本は2・8%とデータのある加盟37か国中36位という低水準であることから、教育にもっと公的資金を導入すべきと考えます。
この意見書案は、文教福祉常任委員会で質疑され、全会一致で採択。
本会議でも全会一致で採択されたことから、花巻市議会議長名で衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣等あて意見書を提出することとなりました。
一般質問(12月6日)
私の一般質問は、12月6日(水)午後に行われました。
今回は、
①第2次花巻市まちづくり総合計画
②リノベーションまちづくり
の2点について質問しました。
1点目の第2次花巻市まちづくり総合計画については、公表された長期ビジョンの素案に対する各審議会等委員の意見内容を伺う質問と長期ビジョン策定後の周知及び市民や企業の参画に関する質問を行いました。
特に策定後の市民や企業の参画については、私はかなり重要なことと考えていて「総合計画は行政だけが行うのではなくて、市民とともに『目指すべき姿』という同じ目標に向かってまちづくりをしていく」ために、市民や企業も積極的に関与するような仕組みをつくってはどうか?と考えています。
現在の長期ビジョン(素案)においては、『みんなで取り組みたいこと』という記述があって、例えば、【しごと】分野では、市民は「市内商業施設の積極的な利用や商店街な どが実施するイベントへの参加」、企業は「観光施設等による滞在型観光や観光資源 のPR、特産品を活かした観光資源の創出」などが期待されています。
この「期待する」という表現も行政目線の感じでイヤなのですが、それはさておき、こういった『みんなで取り組みたいこと』がどれくらい実施されたのか、数値を追っかけて行ってもいいのではないか。そうしないと、市民も企業も一緒になって取り組むという感覚が生まれないのではないか、と質問しました。
市当局からは、市民や企業が実施することを行政のマネジメントサイクルで評価するのは馴染まない、というにべもない答弁でしたが、別に行政評価をせよ、と言っているのではなく、市民や企業の『みんなで取り組みたいこと』、すなわち総合計画における市民や企業の参画の取り組みも「見える化」したほうがいいのではないか、という提案なのです。
一般社団法人花巻青年会議所も2028年までの「まちの中期ビジョン」を策定し、まちづくりに取り組もうとしています。
行政だけで実行するのではなく、こういった市民の活動を尊重して、まちづくりをすべきと切に思います。
2点目のリノベーションまちづくりについてですが、令和3年3月に「花巻リノベーションまちづくり構想」が策定されて以来、花巻市における「リノベ―ショーンまちづくり」はなぜかトーンダウンしたように感じていました。それは、市のスタンスにも表れていて、令和3年度以降、リノベーションまちづくりに関する市の事業は「公共空間の活用」にフォーカスしています。
もちろん「公共空間の活用」を通じて賑わいを起こし、エリアの魅力が増し、イベントに関わるステークホルダーが増え、エリアで店を構える事業者が増加し、市場価値が上がる・・・こういうストーリーを通じリノベーションまちづくりが行われていくのが理想です。
一方で、リノベーションまちづくりに関しては、遊休不動産の活用であったり、エリアのマネジメントであったり、ソフト面だけでなくハード面の整備といった部分も必要で、そこは行政も大きく関与すべき部分であると思います。
そういった観点から、リノベーションまちづくりに関するこれまでの市の取り組みの評価とこれからの展望に関する質問を行いました。
市当局の答弁では、リノベーションまちづくりの一環として、「公共空間の活用」をまずやっていると。その中で「今年度は社会実験をやった」と。で、今後その検証を経て、次の展開を考えたいとのことでした。
今回行われた「社会実験」。
これは私はこの「社会実験」に関して一定の評価をするものの、課題も見つかったと思います。一つには、地元商店街関係者と、出店者・民間事業者の「社会実験の捉え方」によるギャップ。
地元商店街関係者などは、「公共空間の活用」=「社会実験」を「リノベーションまちづくり」とは見ておらず、「どでびっくり市」のような「賑わいイベント」と捉えているようです。
「賑わいイベント」であれば、客層も多世代であり、自分のお店に合う客層に訴求することができ、黙っていても何らかの利益はあると思われます。
一方、「公共空間の活用」=「社会実験」では、客層も限定的であり、ユーザーに向け自分たちが能動的に関わらないと自分のお店に何か利益がもたらされるわけではない。
なので、オーナー、地元商店街関係者にすれば、今回の社会実験が「若者たちが道路などで勝手に騒いで、自分たちで楽しくやってるだけ」と見えるのかもしれません。
今後は、このギャップを埋めながら、公共空間の活用を図るとともに、先に話したリノベーションまちづくりに対する行政の関わり方も考えていかなければなりません。
基本的に、「行政」「民間事業者」それに「研究機関」などの関係者が連携しながら、同じ方向に向かって「協働」を図ることがリノベーションまちづくりの本来の在り方と思うのです。
一般質問では、こういったことを全般的に質問し、市当局の考えを質しましたが、どうも市では「リノベーションまちづくりは本来、民間事業者主体でやるべきもので、市はそれをサポートする立場である。予算のあるうちは市でも関与するが将来的には民間事業者でやるべき」と考えているフシがあるように感じました。
これは現在の市当局の姿勢によくみられることで、
「市でやること」と「民間でやること」を明確に色分けしがち
なのではないでしょうか?
今回のリノベーションまちづくりに限らず、行政と市民・企業との役割を明確化し、「協働」することで、いろいろな相乗効果がみられるはずです。
今後とも、この問題は追いかけていきたいと考えています。
長くなりましたので、次回は「後編」として、7日の議案審議、最終日の新図書館建設にかかる補正予算審議などについて報告したいと思います