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【書評】水納島再訪(橋本 倫史 著 講談社)

11代伝蔵書評100本勝負 19本目
 娘が沖縄在住なので年4回は、沖縄に行きます。だから?デジタル版の「沖縄タイムス」を購読して沖縄の情報に目を光らせています(笑)。
 本書は沖縄タイムスの書評欄で知りました。まず読み方が分からない。「みんなじま」と読むそうです。素敵なネーミングですが、島の形から別名「クロワッサンアイランド」とも呼ばれる沖縄本島北部の離島です。著者曰く「真っ白な砂浜とエメラルドグリーンをした美しい海。珊瑚礁に囲まれたわすが0.47平方キロメートルの島は、1時間もあれば歩いて一周できる」そうです。年間7万人の観光客が訪れるそうなので、それなりに?知られた離島なのでしょう。本書「はじめに」の後の略図を見ると東に瀬底島、北に伊江島をのぞみます。伊江島や瀬底島へは何度か行ったことがあるのに不覚にも水納島のことは知りませんでした。渡久地港から船で15分の由。次回は行ってみなければならんなと思いながら読み始め、一気に読了しました。

「みんな」という名称にも関わらず定住している島民は19名で、小中学校は2年前に休校になりました。著者が定宿にしている民宿の主人から「このままでは無人島になってしまう」という言葉を聞いて本書を書く決意をしました。そしてこの小さな小さな島は沖縄の縮図でもあり、歴史に翻弄された場所であることを知りました。本書は著者のこの島のそして沖縄に対する優しい視線に貫かれています。それは表面的な言葉に留まらず「まずはこの島を、沖縄を知ろう」という著者の強い意志を感じました。だから著者の守備範囲は思いの外広く、時には学術的な専門紙にも目を通します。この誠実さがナイチャーが陥りがな単純な同情心や好奇心から本書を救っています。
 実際本書から知ったことは少なくありません。例えば1944年(昭和19)の十・十空襲。1400機近い米軍機が那覇を中心に空爆し、那覇市街地の9割が焼失したのは初めて知りました。またずっと新しくなりますが本土復帰後の沖縄海洋博巡り島民もまた他の沖縄人と同様に翻弄されたことも知りました。そして海洋博のシンボルだったアクアポリスについての記述があったので自分で調べてみました(と言ってもググっただけですが)。色々と計画があったにも関わらずアクアポリスは海洋博閉会後再利用がうまく行かず、15年後に閉館。その後何とスクラップとして米国企業に売却されていました。まぁまぁの沖縄通を自認していましたが、こんなことも知らないなんて自惚も甚だしいと猛省しました。
何事もそうかもしれませんが「まずはきちんと知ること」の大切さを本書は気が付かせてくれました。感謝の印に?来月中旬今年3度目の沖縄なので水納島へは必ず行ってきます。

 

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