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【明るく、楽しく、怖がろう!】

 4月13日のソンクラーン(タイ正月)初日。

 ある旅サイト向け原稿の取材でチェンマイ市街地をバイクで走ってみた。

 旧市街を囲むお堀の周囲もターペー門も驚くほどに閑散、有名寺院も閉鎖、有名カオソーイ店や珈琲店も持ち帰りのみの営業・・・という沈みがちな正月風景の中で、チャーンプアック門外左手にあるワット・ロークモーリーだけに人だかりがしている。

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 距離を取って様子を窺うと、経済的打撃を受けている人たちのための昼食配布らしい。

 慈悲心と思いやりに富んだチェンマイ人たちは、すでに早い時期から各所で救済活動を行っている。

 このタイでは別に珍しい光景ではないのだが、境内に石灰で描かれた無数の円の中に片方のサンダルやペットボトルがぽつねんと置かれているのには、思わず笑ってしまった。

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 これは何かと言うに、40℃に近い炎暑を避けるための場所取りなのである。

 円と円の距離は約1.5メートル。

 半径を入れると2メートル弱にはなるだろう。

 昼食受け渡し場所の手前には透明なビニールボックスが立ち、脇に置かれたポリ缶から細いコードが伸びている。

 いわゆる、クリーンルームだ。

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 支給が始まると、いつの間にか白丸内に収まっていた人々が順番に進んで手指消毒を受け、さらに消毒室内でくるりと回って若い僧侶が押し出す噴霧を全身に浴びる(冒頭写真)。

 その様子には、そこはなかとないユーモアが漂う。

 むろん全員がマスクをしているのだけれど、のぞく両目は楽しそうに笑っている。

 中にはおどけた仕草をする人もいる。

「ま、コロナ被害は深刻だが、この助け合い精神がある限り、我が町チェンマイはマイペンライ(大丈夫)だあ!」

 広い境内にそんな明るい声が満ち渡ってゆくような、心温まる正月風景であった。

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クンター吉田@チェンマイ在住物書き
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