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開かれた公共空間とは…その①水辺空間のリノベーション


≪河川空間に背を向けた建物たち≫
(2017年7月筆者撮影)


こんな風景をみたことがありますか?

かつては、舟運といったインフラの役割などがあり、水辺との距離が近かった日本の河川空間。しかし、いつのまにか、ただの「空き地」と捉え、写真のように、川に対して建物が背を向けたり、埋め立てたり、汚水を垂れ流していました。水質汚染など健康被害も出始め、水辺と人との距離は、遠くなっていきました。

当時は、高度成長期で急速な経済発展のために都市整備が急務でした。その河川は、それで価値を見出していたのかもしれません。しかし、ハード整備が一段落し、人口が減少しつつある現代においての河川空間の価値は、変化していると私は考えます。

今回ご紹介する本は、
「RePUBLIC公共空間のリノベーション」
(著者:馬場正尊+Open A、発行所:学芸出版社)

この本では、
公園、水辺、学校、図書館など様々な公共空間がある中で

現代の「公共空間」が本当に「公共」として機能しているのか、

問いかけています。

今回は、水辺に焦点を当ててご紹介。

■京都・鴨川の川床の復活

≪鴨川の様子≫
(京の風物詩 京都鴨川納涼床への誘いHPより)

江戸時代に始まった鴨川の納涼床(川床)は、1934年の室戸台風や集中豪雨や、第二次世界大戦下の1942年には、灯火管制などで一度は、姿が消えていました。
紆余曲折がありながらも、市民の強い希望により、戦後、復興とともに復活し、
1952年に納涼床許可基準が策定され、現在は、毎年5月から9月にかけて営業しています。『伝統的な水辺の使い方』と『市民・行政と自然との付き合い方』に、水辺利用のヒントが詰まっている事例です。(P89抜粋)

■河川法改正と社会実験が可能にした大阪・北浜テラス

≪北浜テラスからみた水辺の様子≫
(2017年9月筆者撮影)

2005年河川敷地占用許可準則の改正により、河川局長が指定した区域において、河川敷地の占用が「社会実験」という名目で可能となりました。北浜テラスでは、店舗オーナー、ビルオーナー、NPO法人らで組織された「北浜テラス実行委員会」と大阪府ら行政サイドが進めていた「水都大阪」の間で協力体制が組まれ、2008年と2009年に社会実験を経て、2009年常設化されました。民間サイドと行政サイドのベクトルを合わせるプロセスと組織の作り方が学べる事例です。(P106.107抜粋)

※現在は、2011年河川敷地占用許可準則の改正で、全国において実施可能になりました。

【まとめと感想】
ここまでが公共の土地と線引きする必要がある場所もあるだろうし、
公共の土地を民間が使用することに反対の方もいると思います。
しかし、私有地と公共空間が連続して、まちの一風景を形成しているといいなと私は思います。水辺空間を大切にし、価値を創出することができれば、まちの魅力にもつながるのではないでしょうか。

今回は、水辺に焦点を当てましたが、「開かれた公共空間とは…その②」として、他のものもご紹介できたらいいなあ…(果たしてできるのか。。)

https://www.amazon.co.jp/RePUBLIC-公共空間のリノベーション-馬場-正尊/dp/4761513322

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※写真の挿入に手こずり更新時間より遅れてしまいました…。次回こそ時間通りに!!

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