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アニメ「のんのんびより のんすとっぷ」(3期)7話感想〜夏海づくしの秋だった。〜

冬生まれの夏海ちゃんは秋に輝く

 越谷夏海は全員生年がひとつ違いな越谷雪子の末子である。そのためどうしても冬生まれにならざるをえないのである(おそらくそのことにあっと先生は後から気づかれたのだろう)。
 そもそも名前の由来が「髪型がパイナップルみたいだから」というかなり適当なものなのがいけないのだが、なるほど「夏海感」はある。夏みかんかじってそうだし。
 しかしそんな彼女の活躍する回は秋に多いような気がする。これは何故か。ここでは逆になぜ春夏冬がそう見えないのか、ということから逆算して考えよう。
(原作沖縄編は別に夏海大活躍ということもない)

まず春。春はすべてのはじまり。共通ルートである。この共通ルートのうちに特定のキャラの出番を増やすわけにはゆくまい。

次は夏。夏はイベントもりだくさん。イベントがあればみんなで騒げる。よって夏海ちゃんはそこまで目立たない。

最後は冬。冬は常にイベントモードである。なんせ雪が積もっているから。雪が積もるという特殊イベントに際して各キャラの反応を楽しむことができる。あの雪かき回や「蛍が楽しんだ」あたりがその代表例だろう。

そう、秋!秋こそイベント発生能力持ちガール(トラブルメーカーとも言う)の夏海ちゃん大活躍だよ!
秋はこれといってイベントが発生しにくいのだ。これを逆手に「せんちめんたるな秋」を求めた小鞠を描く1期8話(「学校でごはんを炊いた」)もあったりするのだが、秋には夏海が発端となって話がはじまることが多い。
かの有名な「文化祭」や月見団子の回なんかがそうだし、ヒカリモノ親方回だって池が寂しい…というイベント不在に応えられるのが夏海しかいなかったからこそはじまったのだ。
卑近な例だと授業参観だって夏海以外じゃ「おはなし」にはならないし、あの時あかねちゃんを追っかけたのも夏海なのだ。
これはあっと先生も夏海とひかげに話を動かす力を期待してしまうわけだ。
それなのにキミたちはなんだ、どうして夏海を人気投票5位にしてしまうんだ……とすら思ってしまう。

Aパート 見られちゃおしまいな温室

初っ端からのんのんびよりでは珍しいレイプ目。個人的には小鞠のボディラインの作画に違和感を覚えた。今回は小鞠の作画がよくない気がするのだが気のせいだろうか?

そして今回は、「テーマ」ではないものの、母親系キャラが全登場する(さすがにあおいママはしらん)珍しい回である。駄菓子屋とねぇねぇは母親みたいなものだし、この回でしおりちゃんママが女の子を妊娠中であることが明かされる。この子を新キャラとして投入することで兄貴卒業後も話を「2年目」(4周目ではなく)で続けることのエクスキューズとするつもりだったのか?と期待したのだが、そんなこともなかったらしい。

こうやって見ると髪の生え方以外じゃ兄貴が一番母親似なんだなと思う。

Bパート 深淵なる真円

今回は夏海の「あたまのわるさ/よさ」が共通キーワードで、前者の方が「頭が良い」けどなんだかんだ後者を慕っているれんちょんと夏海の関係性がテーマなせいか、とにかくれんちょんのかわいいアングルが多い。あざとくないのにあざといんな〜〜

今回はしおりちゃんもかわいい。このしおりちゃんというキャラがれんげを「お姉ちゃん」たらしめる重要なキャラで、「3周目」でついに堂々と姿を現した彼女は「日常」のもつ「何も変わらないようで実は不可避的な変化をしている」という側面を象徴しているのだ。
れんげはこれまで全キャラに対して(等しく)「年下キャラ」であり、かつ「年下でありながら誰よりも『優秀』かつトリッキー」という特殊な目線(特殊なツッコミ役でもある)とコミュニケーションにおける積極性を両輪として、全キャラに平等に接することにより「(超然とした)主人公」として在り続けていた。(*2)
それがしおりちゃんという「年下の女の子」の登場により、時の流れの中で(人と人との関係性も含めて)変化しうる「いち個人」へと脱皮しはじめたのである。
この時点でのんのんびよりという作品は「変わらない日常」を描くからこそ、関係性の変化と向き合いつつ「おはなし」を続けるか、「閉じ込められた一年」という殻を破り連載を終えるかのどちらかの選択肢を自ら設けたのだが、結果的に選ばれたのは後者だった。

基本的には3期4話と同じようなネタ(れんちょんより年上の人がれんちょんのお姉さん化を促すためあえて自分はしおりちゃんを助けないというような)なのだが、今回は夏海が年少2人の真円トークにまったく付いていけないという情報を示すことで、「れんげとしおりには互いにしか理解できない世界(関係性)」があることが視聴者(読者)に示されたのだ。

これは結構大事なことで、外でお遊びする駄菓子屋→ひかげ→夏海→れんげ→しおり の系譜(宮内姉妹の用水路虫取り回とかで「秘密の虫取り場」の継承により示される)があるので、れんちょんを介してしおりちゃんが夏海やひかねぇと会うという展開はある(あった)のだけど、しおりちゃんが蛍や小鞠と会う展開はなかった(未読の最終回にはあるのかもしれない)のだ。
基本的に登場人物全員知り合いなのんのんびよりではかなり珍しいことだ。

この点において、登場人物のうち大人組やひかげ以外のほぼ全員と絡むあかねちゃんとは違った役割をしおりちゃんは担っていると言えるのだ。
こうした「限られた関係性」の中で(駄菓子屋とそうであるように)れんちょんもまたお姉ちゃんになっていくのだ。
のんのんびより も実は「継承」の物語である。鬼滅も確かそうだったはず。



「1点からの距離が等しい点の集まり(1点からの距離が変わらないように動いてできた線)」

ちなみに円の定義はコレらしい。

かわいい。れんげと違い誰でもツッコミができる間違いを連発するしおりちゃんはこれかられんちょんと学びの時を過ごすのだろう。県下一の進学校に進み姉妹のごとく過ごす2人の姿をめっちゃ見てみたくない???

Cパート 

まずこの引きのアングルと間延びしたあの遠い人に呼びかけるような発声がよい。さすがはのんのんびより。2期12話(「一年がたった」)の越谷家のシーンに連なるよさがある。

いただき!けんけんぱー!
早速あかねちんから習った遊びをやるとはエラいぞ!れんちょん!!(評価ダダ甘)

しっかしこの池デカすぎないか?
農家ではないらしい越谷家(サラリーマン一家らしい)の財力がイマイチつかめない。

そして夏海ちゃんの大復権(まさに「変なことは覚えている」なのだ)回がここに。のんのんびよりは原作数話ぶん通してテーマを定めて編集して流すのにふさわしい作品である。あの総天然色の草薙の美術といい声優の演技といいあの自然音といいこれほどアニメ化すべき作品というのも実はあまりないのだろう。

結局ハラハラするわけでもない秋だった。実は夏海ちゃん大好きでもある私は大満足した。記事を書くことで満足できた。盲いたる我が目を開くのは自分自身なのだ。
強いて足りなかった点を挙げるなら、しおり・れんげ・夏海の三者が登場するリフティング回が今回放送されなかったことだろうか?まぁ尺ってのもあるし言っても詮ないことなのだが。

最後にやっと変わった今回はここまでメンツ。
ジャンプする夏海がとにかくかわいいし小鞠よりこの場ではかわいかったことを認めざるをえない。でも小鞠に面と向かってこんな顔されたら恋に落ちそうだ。

しかしこの「今回はここまで」は個人的に毎回コンビ編成を変えるべきだと思うんだよな。今回なら夏海とれんちょんとかさ。

*1…家の数からして実はこの村、そこそこ人多い?

*2…麦わらの一味の中でのルフィの立場や船員への接し方、アーロンパークでの「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」というセリフなどを思い出していただくか、今から履修していただけるとそういった平等な態度が長期作品の主人公がもつとよい性質のひとつ(もたなくてもいいんだけどね)であることがわかるだろう。
少なくともサンジやゾロじゃあの一味のキャプテンは務まらないのである。

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