welcome to フライハイヴェルト「welcome to my body」

灼熱、肌がジリジリと灼かれていくのが分かる。

「どうしたよ?我れっちの魔力がそんなに熱いか?えェ?」煽ってくるレッドヴェルベッド。まさか、モーション無しでここまで出来るとは考えもしなかった。

「いやいや、無駄に暑いな〜って思っただけ」軽口叩きながらも思考はやめるな。彼女は勝つ方法を検討した。レッドの隙を着くにはどうすればいいかひたすらに考えた。

「いいのかァ?木が傷付いちまうぞォ?」その顔はとても意地悪で腹立たしい物だった。さっきまで着けていた鎧と仮面も消えている。何か意味でもある?

「魔力を視認…構造をインプット…魔法の使い方を熟知。エルフマナを獲得」彼女の知らない言葉がどんどん口から溢れ出す。分析をしていた。そして何かを獲得していく。

「(私はこれを知ってる…さっきから無意識に使ってた物だ。だんだんこの世界を理解していく。私が契約を知っていたのはこれのおかげだ。今ならいけるかも)」彼女は勝利を感じた。初見殺しでもいい、まずは一勝することが重要だった。

「オラァァ!!舐めてくれた仕返しだァ!!喰らいやがれッ!!」レッドは一気にこちらに接近し、拳を振り上げた。この一瞬は他の者たちも理解出来ていなかった。神速、高速、亜音速、そんなもの以上だった。まずい、衝撃波が発生する。彼女は瞬時にそれを理解した。

「マジック『クッション』!!!!」彼女は大きい声でそう叫んだ。なぜかは分からない。だが、叫ぶことが今の自分を手助けすると直感で理解した。

「貰ッたァァァァ!!!!」レッドの拳は確かに彼女の腹部に到達したはずだった。しかし、衝撃波どころか彼女には一切のダメージが無かった。レッドの拳にはヒトとはまた違う別の柔らかさを感じていた。

「クッション、その衝撃とダメージ全てを吸収した。けど、それら全ては消えることは無く還元される!『仕返し』(リターン)」刹那レッドは吹き飛んだ。しかも、上半身が、だ。誰がどう見ても即死だ。自分が耐えられないような攻撃を放てることに驚きつつも、自分がこれに直撃していたら…なんて考えたくもないことが一瞬脳裏をよぎる。

「おいおいおいおい、テメェ!ふざけんなよッ!!!何しやがッた!!!」なんと、レッドの上半身は完全に元通りだった。さっき吹き飛んだのが嘘のようだ。

「え…生きてる?なんで?え?」混乱に陥る。恐怖が脳を支配するだろう。

「そりャァな。我っちは《不死の奇跡》を持ッた魔人だからなァ」レッドはそう説明した。レッドの言い方からするに奇跡と魔力は別物なのだろう。

「ひぇっヒェッひぇ…ド派手にやられたなヴェルベッド。儂と契約しとるのになんとマヌケな殺られ方じゃ。」どこからか急に声がした。どうやら、声の主はレッドの中にいるようだ。

「うるせェくそジジイ。炎古龍ごときが我っちを蔑むな。」不機嫌そうにレッドは言った。どうやらレッドは炎古龍と契約しているらしい。

「あなたがまさか魔法1つでレッドヴェルベッドを倒すとは思いませんでした。意外でした。」ケツァルコアトルは彼女に向けて評価らしき言葉を放った。

「まだ、相手は残ってる。それを全員倒すから、見てて。」彼女は強気に言う。初戦でかなり自信が付いたようだ。だが、そんな彼女のやる気を遮るようにケツァルコアトルは口を開いた。

「いえ、契約しましょう。そして、あなたに魔法の使い方を伝授しましょう。そうすればあなたは私の願いを叶えてくれる。」まさかの一言だった。彼女は本当にその他を殲滅しようとしていたのでそれも相まって更に驚愕した。

「いいの?」目を見開いたまま彼女は言った。まだ、信じられないと言う様子だった。

「ええ、彼らの中で最も早く、最も痛い攻撃をあなたは一切のダメージ無しで衝撃波による周りの被害もなく相手を撃退しました。何より私の知らない魔法を使ったのが大きいですね。」淡々と相手は説明を続ける。要約すると「伸びしろがありながらも現状でも十分強い」と言うことだった。

「では、契約をしましょう。」瞬間、待ったがかかった。

「ボクもその子と戦いたいな。ケツァルコアトル、だめ?」と相手にそう聞いた。どうやら彼女は戦ってみたいと言う好奇心に勝てなかったらしい。

「明里、それは許しません。契約するのが先です。彼女と私を契約させるのが目的だったんでしょう?」相手はそう言った。まるで彼女の思惑を阻止するような言い方だった。

「まあ、まずは…契約が先でいいですよね?」彼女は明里に言った。

「しょうがないなぁ…いいよ。」了承を得られた。これで契約ができる。契約が完了したら、彼女はきっと、自由になれるだろう。

「レマ、契約を始めましょうか。契りを」その一言で魔法陣が出現した。彼女の周りが緑色の光に包まれた。

「今、この場で互いの契りを交わさん。我が名は嵐古龍ケツァルコアトル。」手本として先に相手は言ってくれた。

「今、この場で互いの契りを交わさん。我が名はエルフ、裁苦谷 麗眞」彼女がそう言うと鐘の音が聞こえた。一瞬強い風が吹いたと思ったら目の前から相手は消えていた。

「契約完了ですね。」男が浮遊してこちらに近づいてきた。どうやら契約は終わったらしい。

「案外あっさりと終わるんですね。それで、私は私自身とあなた達の素性をよく知りません。それに、知らないことも実に多い。色々教えてもらいますよ。」彼女は男にそう言った。

ひとまず、第一の目的を完了した。彼女はこれで彼らと対等な立場になった。これで絶対に成功する情報収集ができる。力が湧き出るような感じがした。

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