welcome to フライハイベルト「welcome to village」

  森の中に転移で戻ってきた。他の奇跡達とも別れた。今、私は、自由だ。

「麗眞、お疲れ様でした。良く頑張りましたね。」ケツァルがそう言いながら麗眞の手を握る。

「色々、大変で考え事たくさんしてて忘れてたんだけど、ケツァルのその姿、幼すぎない?」とても今更な事を麗眞は言った。

「それを言うならゾディアークも同じでしょう?あと、身体が小さい方がアリと闘った時のように不意を突けるでしょう?」心底不思議そうな顔でケツァルは淡々と説明する。

「いや、あの、なんというか、印象と違うかなぁって。私としてはこう、可憐な乙女って言うの?そう言うキレーなお姉さんを想像してたんだよね」流石にこれはケツァルの逆鱗に触れてしまわないか麗眞は探り探りに言葉を選んだ。

「なるほど。確かに、一理あります。ゾディアークは活発ですし、ああいう姿なのは想像にかたくないですね。」ケツァルはかなり納得している様子だった。

こ、これでいいのかケツァル。
そう思う麗眞であった。

「あ、麗眞。今すぐに私の後をついて来てください。」ケツァルは思い出したかのようにそう言った。あまりに唐突な提案だったため、麗眞は戸惑ってしまった。

「え、えと、どこに?まあ、どこでも今の私なら負ける気がしないけど。」麗眞は今の自分の強さに慢心している様子だった。

「この森の中心に位置する小さな村、リュウセンの村です。」翼を背中から生やしてケツァルは言った。

「これから行く村、それがケツァルが私と契約した理由(ワケ)なの?」答えは分かっていたが麗眞はあえて問いを投げる。

「ええ、護るべき弟達がいるので。」そう言う頃にはケツァルは既に空中にいた。

「随分と真剣な顔だねぇ。」魔法陣を展開し麗眞は転移の準備をしていた。

「では、また後で」瞬間、さらに高度を上げ、高速で空中を移動するケツァルを見ながら麗眞は魔法陣が放つ光に包まれ、その場からいなくなった。

「ここが、リュウセンの村。かなりボロボロ…」魔法陣から麗眞は出てきた。そしてそこから出る様子を村人に見られていたらしい。

「!!貴様!今どうやってそこから現れた!!何者だ!!」かなり村人は驚いたようで一瞬で魔法を放ったようだ。ようだ、と言うのはその魔法があまりにも強く、本当に魔法なのか信じられないからである。

「嘘でしょ!?軽く2、3メートルは吹っ飛んでるよ?今のは風魔法なのかな?」麗眞は左手を胸の前に出し、盾の形をした魔法陣を展開していた。

「まあ、ケツァルの家族がいる村なんだし、風魔法が上級でも不思議じゃない、ね……」口の中が血の味がする。吐血、だろうか。

装甲貫通?いや、衝撃波?何か違う…そもそも本当に一撃でここまで吹っ飛んだの?まずいな…風が強くなってきた…

「怪しきは罰せよ!挽肉になれッ!風魔法『千刃』!!」村人は右手で大きな弧を描く。それはまるでボールを投げるピッチャーのようであった。

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《分析完了》マジック『鎌鼬』を獲得。
      #魔法陣の展開の必要無し#
    Q.発動しますか?
€YES            €NO
 ↑

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刹那 大きな爆発音と共に辺りに砂埃が舞い上がる。村人は自身の魔法が命中したことを確信する。砂埃で遮られていた視界が少しずつ晴れていく。
村人は誰もそこに立っていないだろうと思っていた
   だが  そこには人影があった

「あっぶな…相殺できなかったら多分、腕の一本や二本は逝ってたかも。それにしてもケツァルはそんなに気性荒くなさそうなのに何であんたはすぐに攻撃して来るわけ?」円状の魔法陣手の甲に展開させ、両者睨み合っている。

「貴様こそ、この村に何の用だ?いや、愚問だったな。我らの姉の卵を奪いに来たのだろう?」

「卵?え?この村にそんな古龍の卵なんてあったの?」麗眞は驚いた。それも当然であろう。ケツァルからそんな話は聞いてもないし予測もしていなかった。

「違うのか?てっきり賊かと思っていたが…」誤解が解けかけたタイミングで羽ばたく音が聞こえ、二人は音がした方を見る。

「何をしてるんですか?麗眞。ゼバスもなぜここに?」天空からケツァルが現れた。

龍閃の村に到着した麗眞。突如として攻撃を仕掛けられた。絶対絶命かに思えたが、新たな魔法を獲得。事態は平行線に突入するかと思われたが天使の如くケツァルは現れるのだった。

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