【第35回】スリッパ置きにツッコミまくった僕は己の無知を知った。
夜行バスで朝早く目的地に到着した場合、君はどうするだろうか?
カフェやファミレスで時間を潰す?ネカフェで休む?はたまた銭湯の朝風呂でゆったりする?
ふむふむ。それも一つの対処方法かもしれない。
けれども今回は全く別の提案をしたいと思う。
それはカプセルホテルのデイユースプラン(お昼寝プラン)を活用することだ。
最近では普通の宿泊だけではなく日中に仮眠をすることができるようなカプセルホテルも増えてきている。
普段は宿泊することができないような高額かつ最新の設備でアメニティやサービスが充実しているカプセルホテルでも安く利用ができたりする。言わば高級焼肉屋さんのランチメニューのようなものだ。
たとえ夜行バスで乗車中はよく眠れずに寝不足になってしまっても、カプセルの中に置かれた布団で少し仮眠を取るだけで、その後のパフォーマンスが大きく変わってくる。
実はまた機会があってつい先日、また東京に行ったのだけれども、デイユースプランを活用したことで快適に過ごすことができた。
さて、こういったカプサルホテルでは館内だけで履く専用のスリッパが用意されていることが多い。館内にいる間は靴下からも解放されるのでよっぽど寒くない場合を除いて家にいるかのような開放感をもって休憩することができる。
しかしこのスリッパが厄介であったりもする。例えば身だしなみを整えたり疲れを癒そうと併設される大浴場を利用しようとしたとする。その時に入り口でだいたいはスリッパを脱ぐということになるのだけれども、事を済ませて出てきた時に自分が履いてたスリッパがわからなくなってしまうことが多いのではないだろうか。
僕は別に人が使ったスリッパを履くとかいうことに関しては別に気にしない性分なのだけれども決して衛生的であるとは言えないわけで。気にする人は気にするよな〜と、そういった施設を利用するたびに思っていた。
しかし、今回利用したカプセルホテルは、そういったことに対してかなり配慮が行き届いているカプセルホテルだった。
紫外線での殺菌機能がついたスリッパ用のマガジンラックのようなものが設置されていたのだ。しかも各ラックは仕切られており番号が割り振られているので番号を覚えておけば確実に自分が履いていたスリッパを履くことができる。それに加えて粋だなと思ったことは各ラック番号に覚えやすいよう語呂合わせが書いてあることだ。ありがたい。
いや、ちょっと待ってくれ。
この語呂合わせなんか変だぞ?
「幸せ“1”番」
うん。覚えらればいいのでこれは全然いい。違和感はない。
「“2”番に福あり」
ん?なんで2番が福なんだ?幸せが1に対して福が2なのがいまいちピンと来ない。 逆でもいいじゃん。
「幸せ“3”トリプル」
おいおいおい!ちょっと待ってくれ。既に1番で「幸せ」という単語を使ってるのになんでここにも登場するんだ!しかもどういう意味かさっぱりわからない。トリプルが幸せってどういうことなんだ。サーティワンのアイスがトリプルだったら嬉しいけど、仮にそうだったとしたら突然すぎる。
次は4。
あれ?無いぞ。
もしかするとホテルとかで「4」は「死」を連想させるから縁起が悪いといって4階を無くすなと同じかもしれない。これまでもなんとなく縁起がいい言葉だし。
「前進“5”GO」
なんか急にやっつけで雑になった。まあ、これは覚えやすいので良しとしよう。
「“6”月の花嫁」
なんだよ!6月の花嫁って!!だったら7月の花嫁でも8月の花嫁でもいいじゃねえか!!どうしてここの従業員はこんな語呂合わせをチョイスしたんだ。
「ラッキー“7”」
うんうん。まあこれはいい。覚えやすいし縁起もいい。
「末広がり“8”」
これも縁起のいい言葉なので良いと思う。僕と同年代くらいの人間はあんまり知らないかもしれないけれども知っていれさえいればわかる。
「福“9”くる」
また「福」かよ!!!覚えてもらうためにこういった語呂合わせをしているのなら同じニュアンスの言葉をかぶせないほうがいいのに。それに「9」という数字は「苦」という意味を連想させるので4と同様に嫌われる数字なのだから縁起の良い言葉で固めているこの棚で使わないほうがいいんじゃないの?と思ったわけで。
さて次はなんだろうなと期待しながら思いながら隣の棚に書かれた数字を見てみると無機質に「19」と「20」と書かれているだけだった。
あ〜〜〜〜、もうっ!!!!!
なんでだよ!!!どうして数字がいきなり19に飛ぶんだよ。ここまで来て諦めんなよ、諦めんなよお前!どうしてそこでやめるんだそこで!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメダメ諦めたら。周りの事思えよ、応援してくれる人達の事思ってみろって。あともうちょっとのところなんだから。俺だって眠い目こすって今後の予定に備えるために、少ないお金と時間をドゥルルって削って頑張ってんだよ!ずっとやってみろ!必ずやり遂げられる!だからこそNever give up!!
ハァハァ…。
ハァ…。
…。
ちなみにこのエッセイを書いている途中にわかったことなのだけれども、どうやら「6月の花嫁」という言葉は実在するらしい。英語で言うとジューンブライド(June bride)。6月に結婚する花嫁は幸せになれるという古くから伝わるヨーロッパの言い伝えから来ているそうだ。
どうやら無知を晒してしまったようでござるな。
分が悪くなったようなので、これにて拙者は失礼する。ドロン。