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【第60回】調子に乗った僕はザリガニに足をすくわれた。

小学生のとき以来にザリガニと触れ合った。

幼い頃には、よく近所の駄菓子屋でスルメを買って、ザリガニ釣りで遊んだりしたものである。それから、かなりの月日が流れたのだけれども、ちゃんと釣り上げることができて安心した。

実は1泊2日で友達と静岡旅行に行った際にエスパルスドリームプラザという場所で特定生物&外来生物展というイベントが開催されていて、その展示の1つとしてアメリカザリガニ釣りを体験するブースが存在したのだ。

プラスチックの容器の中でうごめくザリガニ達。子どもたちに混ざりながら、あっという間にザリガニを釣り上げた。ママさんたちが「見て見て、すごいよ」と子どもたちに話しかけている。へへん、どうだ、すごいだろう。と、決して声には出さないけれども心の中でつぶやく。

あんまり見せびらかしてもカッコ悪いのでクールに会場を後にしようと思ったのだけれども、一緒に遊びに行った友達がザリガニが釣れずにムキになっていたので、ザリガニと触れ合えるタッチプールのような場所で遊んで時間をつぶすことにしたのだ。

ザリガニはハサミがあって挟まれると危ない。それを防ぐためには背後から背中をギュッと掴み持ち上げてしまおう。これで簡単に捕まえることができる。ザリガニは海老と同じで水の中では素早いので、迷わずさっと持ち上げてしまうのがコツだ。

あれからかなりの月日が流れたけれども、あの頃と同じように簡単に捕まえることができた。ザリガニが怖くて泣いている子ども達もいたので、僕はここでも少し優越感を感じてしまった。

周りの子供達にさり気なくアピールしようと、なんども持ち上げてザリガニと戯れていると、ひっくり返って足をばたつかせている可哀想な個体を発見した。

ちょっといじめてやろうと足からヒョイっと持ち上げる。

ギュッ。

痛い。イタいイタい。いたいいたいいたいたい!!!!!!!!

ハサミで指を挟まれた。しまった。せっかく警戒したのに油断した。

ヤバい。痛すぎる。指先の色が変わってきた。挟む力が強くて過去の挟まれた思い出よりも何倍も痛い。

すまない。俺が悪かった。いじめようとしてごめん。本当にごめん。だからハサミを離して。

振り返ってみると確かザリガニのお尻の部分を水中の地面につけるとハサミを開くという習性があったような気がするけれども、このときはすっかり忘れていた。

本当は赤ちゃんのように叫んで暴れたかったのだけれども、幼い子どもたちとママさんたちが「痛そう…」と呟きながら僕のことをチラチラと見ている手前、そんなみっともない真似はできない。

無理やり引っ剥がすと、挟まれた部分からダラダラ出血していた。

うわ、カッコ悪。物心もついたか怪しい子どもたちに対してマウントを取っていい気になってた僕がこの仕打ちだ。

ごめんね、ザリガニ。調子に乗ってた僕がザリガニに完全に足をすくわれてしまった。

せっかくなので絵を書いた。ヘタクソ。

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まるこす
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