【第56回】早く直せ。
ある日急にお湯が出なくなった。
なんでだろう。ガス料金を払い忘れたわけでもない。
ガスメーターを確認すると何らか異常を検知してガスを止めたというサインが出ていた。なーんだ。これならメーターの復旧ボタンを長押しすれば直る。経験から僕は知っているのだ。
ところが、直らなかった。蛇口をひねれども水しか出ない。
調べてみると考えられるのは給湯器の故障らしい。ここまでくると僕一人ではどうしようもないのでガス会社に電話することにした。
「わかりました。今からそちらに伺いますね。30分ほどで到着しますので」
「あ、はい。よろしくお願いします」
どうやら今すぐに来てくれるらしい。ありがたい。
「◯×ガスのKです。お湯が出ないとのことで伺いました」
玄関を開けると短髪の好青年。いかにも営業マンという方が立っていた。さっそく原因を調べてもらうと、予想通り給湯器の故障だということがわかった。
すると彼は携帯を取り出しどこかへ電話をかけ、それが終わると僕の方に声をかけた。
「ここからは給湯器の会社にお願いするのでよろしくお願いしますね」
そう言って好青年は帰って行った
なるほど。何だかややこしいなと思いながら給湯器の会社の人を待つ。
1時間と経たず彼は来た。日焼けし髭を生やした、いかにも職人という風貌のおじさんだ。さっそくお願いして作業をしてもらう。
数十分間の作業を終えると彼は僕に話かけてきた。
「どうもどこからかお湯が漏れてるみたいですね」
え?と思うのが当然かもしれない。ただ僕には彼の言葉に心当たりがあった。半年前から水道の蛇口が閉まらずチョロチョロと流れ続けていたのだ。
そのことを伝えると彼は現場を見てくれた。「んー、これは閉めたほうがいいですね。そうしないとまた給湯器使えなくなるかもしれないです」
なるほど。彼に促されるまま新たに水道修理業者の人がてくれた。少しふくよかな中年の男性である。
「はい、直りましたんで失礼しまーす」
あっという間に水道修理業者は帰って行った。
これで僕の家の不具合な一気に治ったことになる。
結局今回の一件は水道の蛇口の漏れをすぐに直しておけば起きなかったことだ。
初期治療って大事だなと痛感した瞬間だった。
自転車のボロボロになったサドルと劣化したiPhoneのバッテリー、そして充電ドックをさっさと直そ。