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春の詩

春一番
まだ肌寒い
露に濡れた梅が
眠る朝
ひとり歩くこの道に
夢や希望という言葉は似合わない
くぐもる空気は意識を朦朧とさせ
視界さえ曇らせる
誰とも目を合わさずに
アスファルトが途切れるまで
下を向く
顔を上げれば
今日が春一番
もっと強く
強く吹いて
吹き飛ばしてほしかった
答案用紙
終わらせて
はじまるまで
春は来ない
けれど
鼻にツンとくる
春の香り