Twitter詩 2021.1
妖艶
交わる
記憶の片鱗で
絡まる手
白い肌
細いうなじ
言葉無くとも
罠に落ちた
まるで蜘蛛の巣の蝶
逃れられない
視線の先には
いつも
後ろ姿の貴女
残り香を
纏う布
(20210108)
たまゆら
綺麗ねってほめられる白い手から落ちた
鮮やかだったはずの花
(20210123)
わたしへ
強く生きていたい
優しくありたいと
星に願えなくても
わたしなら大丈夫
冷え切った両手を
ポケットに入れて
誰も振り返らない
小雨が降る夜道を
ひとり歩き続ける
もう傘は要らない
明日の天気予報は
きっと晴れだから
(20210124)
涙とグラス
置かれたグラスに
注がれた烏龍茶
どこまでも透き通って
溶けた氷に屈折する
揺れる日差しはあたたかく
包み込む優しい時間
そこには
考えても仕方がない空虚感
底には溜まった水滴のあと
(20210129)
水滴の溜まったあと
溶けた氷のなか
なにもみつからない
必然に
気づく気配
薄まったウーロン茶は
知らずにいたかった
悲しい味
(20210129)
満月
何処に隠れていたんだい?
ゆっくりと滲む空
君も同じ月を見ているだろうか?
なんて
ロマンティックなことは言わないよ
こんな寒い夜には
ドビュッシーなど聴きながら
あたたかくして
僕が迎えに行くのを
待っていて
(20210129)
誰もわたしの名前を知らない。誰もわたしを呼ばない。誰の目にもわたしは映らない。遠くから聞こえる声に惑わされて、進んでしまいそうになる。誰もいない場所への入り口へと。
だからわたしは目を瞑る。これ以上踏み込まないように。
(20210130)