Twitter詩 2020.3/2020.4
恒常
明るいものと聞いて
はじめに頭に浮かんだのが
太陽で
次に思い浮かんだのが
きみだった
なぜだかわからないけど
きみの笑った顔だった
ホメオスタシス
僕の必要な構成要素
きみの屈託のない笑顔が
僕を生かしている
(20200306)
春の合図
生まれる春の合図
風の匂い鈍い光
雪解待つ冷え切った世界の
片隅で膨らむ蕾
忘れないでください
いずれ花開くことを
誰のもとにも
浄める水は流れ
暖かな日差しが届くことを
(20200308)
あなたには言えないわたしの心を
小さな花に語りかける
あなたは答えてはくれないけれど
舞う一片が
わたしの肩にそっとおりた
(20200308)
蕾に滲む霙
滴る灰桜
春がぼやける
(20200314)
咳き込んで俯き歩く春嵐
檸檬爆弾は静かに香る
(20200324)
青空に映る春
言葉が漏れる前に
溜息
手はのばさない
美しいって
手にするものとは
違うから
(20200327)
満月
アポロ11号の月面着陸
人類の夢と希望に満ちた
見上げる静かの海には
何も見えず
兎の顔が見え隠れする
両親に手を握られ
餅つきをする兎を探した
あの月となにも変わらない
ただ
今はベランダでひとり
散った桜と月見酒
(20200410)
(無題)
人間嫌いと言ったあの人は
よく笑いよく喋った
独りでいたいと言ったあの人は
人をよく気遣った
すぐ怒るあの人は
人を心配していた
彼らは他人に居場所を求めない
いい人が
好かれる人とは限らない
あの人は遠くを見つめそう言った
わたしは俯いたまま
孤独を愛したかった
(20200412)
愛していると伝えてください
夕暮れ時
かすかに聞こえる歌につられて
見渡せば
青のライトアップ
窓辺の拍手
こだまする願い
人々は感謝を胸に
それでも
サイレンは
鳴り響く
声なき声を拾い
生きる者は叫ぶ
愛する者に
愛している
と伝えてください
日常の定義など
曖昧なものだから
(20200418)