祈り
「わたしは知らない」
ひとり疎開した
祖母の恐怖を
わたしは知らない
無口になった
祖父の傷を
わたしは知らない
もう知ることができない
それでも祈る
平和を
知るものとして
大地で育まれる
草木が美しいと
涙する人のとなりで
#平和
#原爆の日
・・・
「花火」
はしゃぐ子ども
冷えたスイカ
線香の香り
空を見上げる
花火の音
鎮魂の祈り
少し寂しい
蝉の声も
止んだ
・・・
「祈り」
あの日
ラジオから聞こえる声
終わったのはなんだったのか
鎮魂と平和の
モニュメントは
世界中にある
空が、泣いている
今も
・・・
「期限」
悲しみに期限がありますか
憎しみに期限がありますか
もがけばもがくほど絡まって
忘れようとするほど
色濃く記憶に刻まれる
癒される間もなく傷はつくばかり
喜びはなんて儚いのでしょう
幸せはどこにあるのでしょう
どうか忘れてください
私は泣きながらも生きていますから
・・・
「気配」
立ちゆく白い煙となる
あなたを見送った
あの日のぬくもりと重なり
優しく微笑む姿が
まぶたの裏に浮かんで
コツンと落ちた涙と
バラバラにあるあなただったものを
すくい上げて天を仰ぐ
あなたは今どこにいますか?
行く先は高く遠くうろこ雲に滲んだ
・・・
笑ってと言った君が泣く朝もここに在る
#一行詩