もしもしお父さん?私乳がんになっちゃったみたい。
セルフチェックで胸にしこりを見つけ、病院で検査したところ、乳がんだと告知され、呆然としつつも、親に電話で伝える事にしました。
トゥルルトゥルル…ガチャ
「もしもし?」
いつもの父の声が電話越しから聞こえる。
父の声を聞いて少し安心した気持ちと、乳がんになった事を伝えなければならない緊張感が、同時に押し寄せてきた。
一瞬言葉が詰まる。
「もしもしお父さん?私乳がんになっちゃったみたい。」
突然だった。
いつもは、「もしもし?今時間大丈夫??」や、「今家にいるの?」と聞くが、この時は余裕がなかったからか、思わず第一声で言ってしまった。
「…………」
父は黙っていた。
「でも大丈夫!
お医者さんステージⅠか0(ゼロ)の超初期段階って言ってたし、手術とかこれからの事全部自分でするから!
絶対迷惑かけないようにするから!」
と、心配をかけたくないという気持ちが先行し、父の返事を待たずに、間髪入れずに言ってしまった
「おう…」
やっと父の声が聞こえた。
父は、娘の私の事が大好きで、「結婚式では絶対に泣くね!」と、母に言われるくらい本当に大切に育ててくれた。
だからこそ、ショックで言葉も出なかったのだと思う。
そんな父の気持ちがわかるからこそ、涙が出そうだった。
それは父も同じだったと思う。
だからこそ父が絞り出した答えは、
「とりあえず、お母さんと話し合って、また連絡するね。」
だった。声が震えていた。
父の悲しそうな背中が目に浮かんでくる。
瞼の裏がより一層熱くなった。
だが、泣いたらさらに心配させてしまうと思い、明るい声で、
「わかった!連絡待ってるね!」と答えた。
精一杯の強がりだった。
電話を切った後、大粒の涙が一粒出た。そして後から後からどんどん涙が押し寄せてくる。
外だという事を忘れ、思わずうずくまって泣いてしまった。
「お父さん本当にごめんなさい。」
「こんなに大切に育ててくれたのに、自分の体を大切にできなくてごめんなさい。」
と、父への申し訳なさが、心の中に湯水の如くとめどなく、湧き上がり続けた。
次は「すでに甲状腺癌の祖父に乳がんの事を伝える」編です。
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