わたしはまだわたしになりきれていない 自分という存在は 周りの誰かの目を気にした 親の期待を背負わされた自分だ わたしのなりたいわたしは 自分の個性を存分に出しきった姿であって 周りの目を気にして 平凡で淡々と生きているわたしは 偽者。 個性が押し潰される世の中で わたしはいつになったらわたしに なれるのかな
これはある少女のお話 いつもは駅の改札を抜けたら 右に進むのに 今日はなぜか無性に左に進みたくなった なにかに引き寄せられるように 左へ進む 左端にはボロボロのほとんど使われていない エレベーターがポツンと置いてあり その横には長い階段とエスカレーターがある 暗くて狭くてどこか不気味に感じるエレベーター 見ないふりして 通りすぎようとした瞬間 「パキっ」っと不気味な音がして 振り向かざるを得なかった エレベーターだ 特に変わった様子はないが 不気味な音の発信源
静まり返った街の ひっそりとたたずむ小さい家に 彼女は住んでいた . . . 部屋の静寂が鼓膜をキンキンと突っついて うるさい 真っ暗な部屋に浮かぶのは ケータイの灯りと月明かりだけ 私にとっては不便のない明るさだった 部屋の隅は闇に飲まれて黒々としていた 私もあそこへ 引きずりこまれるのでは ...と こっそり布団に足を隠した 小さく丸まりながら かれこれ3時間 その場で石に なってしまうのではないのか と言うくらい動かず じっとしていた ただ頭の中だけが