【N◎VA】夫婦“未満”喧嘩(10月例会レポート)
2022年10月16日に開催された、「TRPG circle F.I.N.(エフ・アイ・エヌ)」10月例会で、「トーキョーN◎VA THE AXLERATION(ジ・アクセラレーション)」のルーラー(ゲームマスターのこと。以下RL)をしました。
■成立卓
・ラストレクイエム
・トーキョーN◎VA THE AXLERATION
■参加人数
・総数 8名
■ちょっとだけ宣伝その1
私・Aketaは、YouTubeにチャンネルを作っています。
TRPG初心者向け動画、ゲームマスター向け動画などを配信しています。
「期待値なんてない!-TRPGについて語るチャンネル-」
■ちょっとだけ宣伝その2
Aketaが所属する「TRPG circle F.I.N.(エフ・アイ・エヌ)」は、大阪で活動するTRPGサークルです。
月一回、TRPGのフリープレイ例会を開催しています。
新規参加者は常に募集中。TRPG初心者も大歓迎です。
参加方法については下記のページをご覧ください。
■夫婦“未満”喧嘩、それはただの戦争である。
今回は自作シナリオ「五千人分の許嫁」をプレイしました。参加キャラクターは下記のとおり。
▼大神狼司(おおかみ・ろうじ)
アヤカシ◎●カタナ、カブトの100歳をこえる人狼。
古い狼男の血脈を自称する大男。アヤカシによるギャング組織「羅生門」の一員で、いつからいるのかを正確に知る者は少ない。
頭領である酒呑童子とは仲がよく様々な命令を受けるが、単独で外部の依頼を受けて動くこともある。
新十郎のことは「アヤカシにも変なのいるし、こういうのがいてもいいよね」と思っている。
実は「狼」ではなく「犬」だということは、秘密である。
▼械崎新十郎(かいざき・しんじゅうろう)
フェイト◎ミストレス●ニューロの安楽椅子探偵。
その正体は、ブレインシェルという箱におさまった「脳みそ」である。マニピュレーターによって動いたり、栄養を摂取したりする。
その形状ゆえか、極力動こうとはせず、ウェブ経由で調査する。どうしても出ていかなければならないときは、バイクに自分を載せて移動する。
見た目からは判別がつかないが、22歳の男性らしい。
アキラのことは「仕事上のつきあい」と思っている。
▼神無月アキラ
イヌ◎●カブト、カブトワリの31歳男性。
3年前に大きな事故で植物状態となったが、AIの人格がインストールされたことで蘇る。だが、自分が自分なのかAIなのかわからず苦悩し、自殺をはかるまで自らを追い込んでしまう。
ケルビム捜査官メモリに助けられ、彼女の生き方に感銘を受ける。そして昨年、メモリの古巣であるブラックハウンドに入隊した。
非常に真面目で、警察官然とした人物である。
玄次のことは「興味の対象」ととらえている。
▼渡辺玄次(わたなべ・くろつぐ)
シキガミ◎チャクラ●カタナの30代男性。狩衣姿で行動することが多く、一見すると平安時代の陰陽師にしか見えない。
伝説の鬼斬り「渡辺綱(わたなべのつな)」を先祖に持つ、鬼狩りの一族であり、先祖伝来の太刀「髭切り」(式神装備)を持つ。現在は真教聖母殿に所属し、退魔師として活動している。
なお、これらは「自称」であり、真実は定かではない、らしい。
〈絶刀〉2発による「二撃必殺」を得意とし、その技から逃れられた鬼はいないと言われている。
狼司のことは「脅威の対象であり警戒が必要」と思っている。
今回のシナリオは、「羅生門をうとましく思う者と頭領の許嫁にまつわる物語」。
羅生門頭領・酒呑童子と、その許嫁・朱(あかね)。彼らをめぐる争いに一行は巻きこまれていきます。
◆ ◆ ◆
鬼の一族「朱(あかね)」は、許嫁である酒呑童子の捜索を、新十郎に依頼します。
新十郎「ペットボトルのお茶をそのまま出す。保存がきくので便利。で、自分も箱に挿して飲む」
RL(メカ沢……?)
『魁! クロマティ高校』なんて誰がおぼえているのか。
◆
狼司「実は犬なんで」
アキラ「私もイヌです」
玄次「いぬ同士か」
◆
行方をくらませた酒呑童子は、牧野さなえが大家を務める「日向荘」で見つかりました。
RL「『まずい! まずい! まずい!』(『鬼滅の刃』風に)と言いながら、酒呑童子が飯をほうばっています」
狼司「じゃあ食べるのやめましょうよ頭領……」
RL「腹が減って行き倒れていたので仕方なし。酒呑童子は『ふっ、味はともかく、腹は膨れたぞ。感謝する』と言います。
すると、『まあ、お世辞の上手なこと』と、大家の牧野さなえさんが笑顔で、自分で漬けたという梅干しを持ってきてくれます。紫という非常に毒々しい色をしていることを除いては、まったく普通です。狼司にも『おひとつどうぞ』と言います」
狼司「う……いただきます」
RL「じゃあ生命の制御判定をしてください」
狼司「ぎゃー! し、失敗!」
RL「では気絶してください」
狼司「け、〈血脈:獣の一族〉でダメージ軽減を……」
新十郎「これ、ダメージじゃないから無理なのでは」
アヤカシの防御能力まで貫通するとんでもない梅干し。
なお、牧野さなえさんのメシマズ設定は(程度はともかく)公式です。
◆
狼司はアキラに、羅生門の情報を流す代わりに、協力と、「あること」を求めます。
狼司「猟犬のバッジをはずしてくれ」
アキラ「そんなことできるわけがないだろう」
狼司「羅生門の情報を、ハウンド上層部に流されると困る。だから、情報は俺たちのあいだだけにしておきたい、という意味だ。そういう意味でバッジをはずしてほしい」
アキラ「……そういうことなら」
バッジをはずすことをしぶりつつも、納得すればはずすあたりが、真面目なアキラらしい。
◆
〈社会:アストラル〉に〈コネ:アルドラ〉を持つ新十郎は、羅生門について、アルドラ本人にたずねに行きます。
RL「アルドラは『アヤカシよりアヤカシみたいな人間ね、あなた』と言います」
これでスケルトンな箱だったら、完全にSAN値直葬でした。
なお、サロン・ドルファンの情報をまったくもっていない玄次は、自力(判定で21)でサロン・ドルファンに到達したのでした。何という執念。
◆ ◆ ◆
実は今回、セッション半ばで大きな問題が発生しました。
「酒呑童子の居場所を知っている狼司」と「酒呑童子の居場所を知りたい新十郎」。
この二人のあいだで、情報がうまく交換できなかったのです。
これはRLのマスタリングやシナリオの構造から起きた問題です。
(1)新十郎は朱の様子を不審に思いつつも、それが普段の彼女であり(初対面ゆえその性格しか知らない)、洗脳されているという事実にまでは思い至らなかった(あくまでPCが、ですが)。
(2)RLが「酒呑童子と朱を会わせると大喧嘩になる」「朱は酒呑童子の首を取ろうとしている」と脅しすぎたため、酒呑童子を守りたい狼司は情報を与えたくなかった。
(3)2の情報に対し、まっとうな理由をRLから与えてしまった。
シナリオ上で想定していた展開としては、
「狼司が酒呑童子から『朱の様子がおかしい』という情報を得て、そこに『朱が洗脳されている』という情報を持った新十郎が合流し、朱をもとに戻す」
というものでした。
セッションをその流れにうまく乗せることができなかったのが失敗の原因と思われます。
結局、どうしたかというと、
・狼司が「新十郎、君は一度アキラに守られている。そのぶんだけでいい、手を貸してくれ」というロールプレイを行い協力を仰いだ(この前に、新十郎が朱に斬られる一幕があり、アキラが《難攻不落》でそれを防いだ)。
・表向き、協力する理由を得た新十郎がラスボスの前に現れたので、ラスボスに朱を洗脳していることを白状させた。
マスタリングとしては非常に野暮なものでしたが、新十郎は《真実》を使って洗脳を解き、朱を救うことに成功したのでした。
おもわぬところでPC間の対立……というよりは、価値観や考え方の相違が出てしまい、非常にあせりました。
いつもならこちらから落としどころを提案するのですが、プレイヤーもPCも納得できるものをなかなか提案できませんでした。
ただ、プレイヤーもどうすればいいか考えてくれたこともあり、なんとかセッションを進められました。
やはりTRPGはGMだけでは動かず、PCだけでも動かない。
双方が「どうすればセッションは進むのか」考えてこそ進むのだと痛感させられました。
今回の一件は久々の大きな失敗(挽回はできたけど)だったので、次回以降の課題にしたいと思います。