【N◎VA】パーソナリティーズを“それっぽく見せる”テクニック
■パーソナリティーズのあつかい
基本ルールブックのP64から掲載されている、トーキョーN◎VAの住人たち。「パーソナリティーズ」という項目でまとめられています。「THE AXLERATION」(最新版)から登場したキャラクターもいれば、1993年に発売された1stエディションから登場しているキャラクターもいます。
どのキャラクターも魅力的であり、ただの依頼人や情報源としてではなく、シナリオの中心人物として活躍させたくなるような人たちばかりです。
ですが、トーキョーN◎VA初心者GMにとって、パーソナリティーズはときに重しになります。
「このキャラクターはどういう人物なんだろう」
「こういう話し方、演出で、プレイヤーは満足してくれるかな」
「このキャラクターは過去があるらしいけど、何があったかわからない。どうしよう」
こういう悩みをかかえることもあるでしょう。
今回は、パーソナリティーズを上手くあつかう方法について書いていきたいと思います。
■パーソナリティーズの基本
はじめに頭に置いておくべきことは、「パーソナリティーズで描かれているキャラクターは、GMが好きなように使っていい駒」だということです。
依頼人として使ってもいい、敵にしてもいい、シナリオの中心人物にしてもいい。GMが好きなように使えるリソース(資産)だと思ってください。
■パーソナリティーズの情報を得る
パーソナリティーズを理解するうえで注目すべき点はいくつかあります。
▼別名
暴走課長、真夜中の太陽、ゴミ漁りの、昏き星、など、別名を持つキャラクターがいます。そう呼ばれるだけの「何か」がそのキャラクターにはあるはずなので、まず別名をチェックするとよいでしょう。
▼スタイル
たとえば、稲垣光平にはクロマクが入っているので、あくどい奴だと想像できるでしょう。無(ウー)はペルソナもキーもクグツなので、心の底から会社に忠誠を誓っていることがうかがえます。
スタイルはその人物を表現するための手法のひとつなので、ここに注目してイメージをかためましょう。
▼コネ技能
そのキャラクターが誰とどんな〈コネ〉を持っているか見ることで、キャラクターが見えてくることがあります。
▼台詞
各人物には、そのキャラクターを象徴する台詞が必ずついています。そこから読み取れることがあります。
“暴走課長”レイなら、台詞の内容から「自分のことを“オレ”と呼び、現場に出たがるが、課長なので出られなくてやきもきしている人物」だと想像できます。
“真夜中の太陽”河渡白夜なら、「会長の顔を立てつつ、裏で何かをやっていそうな雰囲気が感じられる人物」に見えるでしょう。
▼本文
そのキャラクターの生い立ちや履歴、性格、現在の状況などが書かれています。
もし、そのキャラクターをメインにシナリオを作りたい場合、ここはしっかり読みこむ必要があります。また、ここだけではなく、世界設定の項目で追加説明のあるキャラクターもいます(千早雅之率いる千早グループや、藤咲竜二・河渡白夜率いる河渡連合など)。
▼掌編
基本ルールブックには、各項目の最初に、掌編……短い小説が載っています。これもキャラクターを理解するうえで助けになります。
基本ルールなら、ストレイジ、稲垣光平、河渡白夜、レイとメモリ、カーロスを主役にした掌編が載っています。これを読むだけでも、そのキャラクターへの理解度がかなり高くなります。サプリメントにも載っていますので、手もとにあるなら、一読することをおすすめします。
■どれだけ理解しても、パーソナリティーズの個性は“揺らぐ”
パーソナリティーズの個性をつかむうえで役に立つものを述べてきましたが、それでも、GMによってパーソナリティーズの個性は“揺らぎます”。前述した情報だけではそのキャラクターの個性を完全につかむことは困難だからです。必ず、GMの想像が加わります。
特に「最初期から登場しているキャラクター」にかんしては、昔のサプリメントを取り寄せないと過去がわからないことが多いので、正確に知ることはほぼ不可能と言ってよいでしょう。
そのキャラクターの個性だけではなく、他のキャラクターとの関係性にもわからないところはあります。
たとえば“暴走課長”レイと、ドン・クーゲルには接点がありますが、今の関係はわかりません(過去のリプレイを読めばだいたい想像はつきますが)。同じく、レイと加賀美亨ではどちらが上か(階級や役職とは無関係に)はっきりとしません。
組織についても、日本軍の黄泉千五百軍(よもついくさ)と対霊部隊“大雷(おおみかづち)”では、どちらが上かわかりません。
このように、どれだけ読みこんでも「想像の域を出ないこと」はたくさんあります。
ではどうするかというと……これはN◎VAを作った鈴吹太郎デザイナーも言っていたことですが……、「依頼人としてパーソナリティーズを使う場合と、シナリオの中心人物として使う場合をわける」と上手くいきます。
■パーソナリティーズを依頼人として使う場合
たとえば“暴走課長”レイがPCに命令をくだすとき、
「この件について捜査をお願いできないかしら。上には私の方から説明しておくから」
とていねいな言葉で言われたら、レイを知っているプレイヤーは「こいつ偽物なんじゃないか」と思うことでしょう。
基本ルールでわかる範囲では、レイは「一人称がオレ」で「現場主義的なところがある」ことがわかっています。そこだけは押さえて、ロールプレイをするとよいでしょう。
先の例なら
「この件について捜査を頼む。上にはオレから話しておく」
ぐらいの言い方でいいと思います。
なお、プレイヤーから「そのレイは変だよ」と言われなければ、最初のもの言いでも問題ありません。
「おかしい」という意見が出た場合、それがオープニングフェイズで依頼をする場面なら、プレイヤーの意に沿うようにロールプレイを変えましょう。
なぜかというと、依頼人は多くの場合、オープニングとエンディングにしか出てきません。なので、せめて依頼人ぐらい、プレイヤーが思うキャラクターとして演じてあげましょうというわけです。その方が、プレイヤーの満足度もあがります(鈴吹デザイナーもそう言っていました)。
このとき、パーソナリティーズに書かれている台詞を盛りこむと、キャラクターの解像度があがります。千早雅之の「仕事ですから」という台詞を入れれば、プレイヤーも満足してくれることでしょう。
■パーソナリティーズをシナリオの中心にする場合
稲垣光平にしろ千早雅之にしろ、パーソナリティーズのキャラクターをシナリオの中心にする場合、GMは想像できる範囲でそのキャラクターを演じるようにしましょう。
このとき、プレイヤーの想像している人物像とちがっても構いません(これは公式見解ではなく私の意見です)。稲垣光平が思ったよりいい奴だったり、河渡白夜が藤咲竜二に心酔していたり、千早雅之が外道だったりしてもいいと思います。
ただ、パーソナリティーズの記述や掌編などから性格や行動原理がわかるなら、そこはある程度沿う必要があると思います。
たとえば千早雅之を外道として描く場合、「彼は会社のためなら何でもするから、汚いことにも手を染める」という理由づけは必要でしょう。
■どうしてもパーソナリティーズが使いにくいなら
それでも、どうしてもパーソナリティーズのキャラクターが使いにくいなら、依頼人や上司としてのみ登場させ、セッション本編は自作のNPCで進めるようにすればいいでしょう。そうすれば、パーソナリティーズのキャラクターは、オープニングとエンディングだけで使うにとどめることができます。
実は「依頼人や上司として使う」というのは重要な点で、「パーソナリティーズに載っているキャラクターからの依頼ならだまされることはないだろう」という安心感をプレイヤーに与えることができます。逆に稲垣光平のような怪しい奴からの依頼なら「裏があるな」と思わせることもできます。
■結局のところ、使い方はGMの自由
色々と書いてきましたが、先に述べたように、パーソナリティーズで描かれているキャラクターたちはGMの「駒」であり「リソース(資産)」なので、好きなように動かすのがベストでしょう。
実際、そのキャラクターのことを本当に理解している人など、誰もいないのですから(たとえ古くから「トーキョーN◎VA」を遊んでいる人でも)。
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