「Sirturday」の 今井さん インタビュー
24Mでは、” 粋な人 ” をテーマに、東東京のおすすめのお店と素敵な人をご紹介いたします。
今回は、文京区湯島にある北欧のヴィンテージの洋服が揃うお店 「Sirturday」のオーナーの今井さんを取材いたしました。
今井さんがファッションに興味を持った理由や洋服屋さんを始めたきっかけなど、普段では伺うことができないお話をインタビューいたしました。 皆様、ぜひご覧ください。
(本文)
ー今井さん、お久しぶりです。 今日は、今井さんがお店を始められたきっかけなど、色々とお話をお伺いさせて頂こうと考えています。 早速ですが、子供の時からファッションには興味はあったのですか?ー
今井さん「もちろん興味ありましたが、小学校から高校まで野球をしっかりやってました。 ファッション好きというより野球少年でしたね。」
ーそうだったんですね。 意外です!ー
今井さん「ただ、ファッションにはもともと興味があったのと、父がアメリカの音楽やファッションが好きだったこともあって、その影響でアメ横に中学生の時にはアメカジの洋服を買いに行ってました。 あと、僕は文京区の生まれなんですけど、当時「ウルフズヘッド」の幹田さんが作られた「ダウンタウンロッカーズマート」という古着屋が千駄木にあって、家の近くということもあり、けっこう見に行ってました。」
ーおお、それは! すごいです! 中学生で幹田さんのお店通いとは、かなり通ですね。 「コム デ ギャルソン」が 二回にわたり「ウルフズヘッド」とコラボレーションしたりと、ファッション界隈では有名ですよね。ー
今井さん「家が近かったこともあって、当時の自分には刺激的でした。 ただ、やはり、学生時代は野球に専念してました。 」
ーでは、どのような経緯でファッションの世界へと進むようになったのですか?ー
今井さん 「日本の大学を出てから、アメリカの短大に行って、5年くらいボストンに住んでいました。 その時は、写真も好きで、学校の写真のクラスをとって、暗室に入って現像をしたり、ファッション以外のことも楽しんでました。 ただ、暮らしていたボストンには、世界的にも有名なヴィンテージの洋服屋さんがありまして。」
ーそうなんですね。 なんという洋服屋さんなんですか?ー
今井さん「 名前は、”Bobby From Boston” です。 世界中からお客さんが来ることは、もちろんなんですが、かなり古いヴィンテージものからIVYもの、戦前のスーツなど、本当に素晴らしいアイテムが揃うお店で、映画などにも衣装提供していました。 そこで、自分はなんとか働きたいと思って、『お金はもらえなくてもよいから、ここで働かせてほしい』とお願いして、雇っていただくことになりました。」
ーなんか、すごいガッツがあっていい話ですね! なるほど、そこからファッションの道に進むわけなんですね。ー
今井さん 「自分が働き始めてから間も無くして、オーナーのBobby さんが持病により車イスで生活するようになりました。 なかなか一人で洋服の買付に行くことも困難だったので、一緒にアシスタントとして付き添うようになりました。」
ーおお、それは非常にすごい経験ですね。 世界的に有名なヴィンテージ店のオーナーと一緒に買付をするとは、なかなかないですよね。ー
今井さん 「それは、本当に貴重な経験でした。 Bobby さんのバイイングに対しての考え方を学んだのも良かったですが。 Bobby さんは、人格者で懐が深く、おおらかな方でした。 ホームレスの方がお金に困っていると、仕事を与えたりなど、誰に対しても丁寧に接する姿勢などは尊敬しましたし、仕事以外のことでも多く学びました」
ーそれは、本当に素晴らしい師匠に出会いましたね。 どれくらい、そのお店では、働かれていたのですか?ー
今井さん 「おおよそ3年半くらいです。 その後、日本に戻ってきてから、少しアンティーク家具屋さんなどで働いてから、この「Sirturday」をはじめました。」
ーあの、お店は、どうしてこの場所に作られたのですか? そこまで繁華街とかではないですよね?ー
今井さん「この辺りが地元であるということもありますが、以前に住んでいたボストンとも似ていまして。 ボストンは学園都市になっていて、ハーバードやMIT、バークリー音楽大学などありまして。 うちのお店の周りにも東京大学や東京芸術大学や近隣に私大もあったりで、自分の今までの環境と重なって、親近感あがるんですよね。」
ーそう言われると確かに似ていますね! ところで「Sirturday」さんのセレクトが北欧のアイテムが多いのは、何か理由があるのですか?ー
今井さん「それは、今までの自分の生き方にも関係するのですが、人と違ったものに興味を持つことが多々ありまして。 日本ですとアメリカの古着が主流ですよね。 あと、 ヨーロッパ古着だとイギリス、フランスが主流になると思いますが、あまり日本で馴染みがない北欧のヴィンテージアイテムや古着に自分は惹かれたんですよね。」
ーなるほど。 ヨーロッパ古着とかって、イギリス、フランスのイメージが日本では確かにありますよね。 あの、買付には、どのあたりに行かれるのですか?ー
今井さん「フィンランドが基本的に多いです。 スウェーデン、ノルウェー、デンマークなど。 もちろん、他のヨーロッパにも行ったりします。」
ー北欧中心のセレクトって、すごい個性的で素敵ですよね!ー
今井さん「そう言って頂けると嬉しいです! 僕はあまり日本のお店を見ることが少なくて。 海外のお店を見ることが多いんですよね。 そいう意味でも、日本のお店のセレクトっぽくなくて、独特かもしれないです。 」
ー確かに、それは感じます!ー
今井さん「実は、うちのお店ではヴィンテージのマリメッコを多く取り扱いしてまして。 マリメッコというと、日本では可愛らしいイメージが強いと思うのですが、実際にはもっと洗練された大人な雰囲気のアイテム多くありまして、そういうリアルな北欧スタイルを提案していきたいと思っています。」
ーやっぱり「Sirturday」さんは、洗練された本当に雰囲気がありますよね。ー
今井さん「北欧は、グラフィックなども独特なもの多いので、それが使用されたTシャツ、北欧のアウトドアブランド、ヨーロッパの大学アイテム、アメカジでいうところのカレッジ系のアイテムなどもあるので、かなり面白いんですよね。」
ーなんか、お話を聞いているとどんどん購買意欲が増してきて、キケンですね!(笑)ー
今井さん「はっはっ、それは、すいません。(笑)」
ー現在、こんなに素晴らしいお店を今井さんは作られていますが、今後、仕事や私生活も含めて何かやりたいことなどはありますか?ー
今井さん「そうですね。私生活では、今は3歳の子供と一緒に上野公園、不忍の池で遊んでいるのが、すごい楽しくて。 あとは、自分が生まれたこの町を少しづつ変えていけたらと思っています。 素敵なお店ってなかなか増えていかないので、自分が理想とするお店をこの周辺で増やしていけたら、街の景色が変わっていくので面白いかなと思っています。 今後は、そういうことにチャレンジしていきたいですね。」
ー今井さん、僕も自分の住んでいる町の景色を変えたいです! お互いに頑張っていきたいですね! この度は、誠にありがとうございました。ー
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
(文 荒岡 敬)