思わず手を合わせたくなる仕事
最近、朝4時半に起き、ウオーキングをしています。夜明け前の静かな町を1時間ほど歩くと、季節の移り替わりを感じることや、帰り道に綺麗な朝焼けに出会うこともあり、心身ともに癒されるいい時間を過ごしています。
その中で街の人たちと挨拶をすることも楽しみのひとつですが、時々、素晴らしいなと思う人に出会えるのも楽しみです。
その中の一人が、公共施設の管理人の方です。お名前は聞いていないので、ここではAさんとお呼びしますが、シニアの方で掃除や管理の仕事を任され、その施設に派遣されている方だと思います。
朝4時半、私が歩き出してすぐに、その施設の前を通るのですが、Aさんはもう施設前の通りの清掃をしておられます。感動するのは、その時間もさることながら、掃除の見事な出来ばえ。通常のゴミに加え、落ち葉で大変な季節ですが、Aさんはただ掃除をするというのではなく、タイルの隅の土ぼこりまで丁寧に丁寧に掃除をされるのです。その人の掃除が終わった場所だけが輝いているような感じがします。
Aさんの宿直ではない日は「普通」のレベルの掃除なので、たぶん、誰からもそこまでしろと言われていないはず。しかし、きっとこういう掃除でなければ、自分自身が納得しないのでしょう。掃除の奥にあるAさんの仕事の目線の高さに感動してしまいます。「思わず手を合わせたくなる」という言葉がありますが、まさに、そんな気持ちになります。
自分に与えられた仕事はどんな仕事でも手を抜かない。やるからには完璧を目指すのが当たり前。きっと、Aさんは前職でそんな風に仕事をされていたのでしょう。昭和の頑固職人のイメージです。
お客様の評価、上司の評価、仕事はいつも他人の評価にさらされていくものですが、やはり最後は自分が納得できるかどうか。自分がどう評価するかが大事なのではないか。最近は「仕事をサクッと終わらせよう」というような風潮もありますが、こんな人に出会うと、自分の目線や視座を高め続け、自分の納得するまで追求していく仕事の大切さを改めて感じます。