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蕎麦でも食わないか?って言われたかった
初めて中島みゆきさん(みゆきさん)の曲を聴いたのは1989年、中2のときだった(即年齢バレるやつ)。同級生がカセットテープ(時代だなあ)貸してくれて、最初に聴いたのは『ひとり上手』。それから33年()、なんかひとり上手みたいな人生送っちゃってる気がするんだが(やめれ
ここ1~2年、またみゆきさんの曲が聴きたくなって、それも10代20代の頃聴いてた曲が特に聴きたくなって、でもみゆきさんの曲はサブスク解禁してないから(厳密にはシングル曲の一部はAmazonミュージックで聴けるらしい)、今のところSpotifyで音楽聴くことが殆どの私は、検索かけてみゆきさんの曲のカバーを探してプレイリストに追加しては、運転しながら聴いて歌っていたりする。
みゆきさんの曲をいちばんよく聴いていたのは中学から高校、大学あたりで、その頃の自分は自信もなく自己肯定感も低く(今も高いわけではないが)、理不尽に嫌がらせされたり攻撃されたりがしょっちゅうで、周りの人や世の中というか、もう世界全部敵くらいに不信感と悔しさと怒りを腹の中に抱えていた。それをなんとか見せないようにして、なんかよくしゃべる明るいのかなんなのか分からないキャラを装って、なんとかやり過ごしていた。
そんな、ある意味拗らせまくって無駄に尖ってたような13歳の私に、みゆきさんの曲は驚くほどすんなり入ってきた。それから、おこづかい貯めてCDを買ったり、レンタルしたり、誕生日プレゼントとして両親に買ってもらったりして、少しずつみゆきさんのCDを集めて、カセットテープやMD(懐かしいわな)にダビング(これ若い子通じるかしら←)して、しょっちゅう聴いていた。当時はバントブームでもあったから、周りの同級生たちはJUN SKY WALKER(S)やユニコーンやREBECCAやTHE BLUE HEARTSやBOØWY(ヤンキーの定番がBOØWYとかブルーハーツでしたねぇ)やらを聴いていたというのに(私もPRINCESS PRINCESSや爆風スランプは聴いてたし、あと渡辺美里とか好きだったけどね。高校ではそれにB'zと福山雅治などが加わります←)。
『蕎麦屋』という曲を最初に聴いたのは多分中2で、中3にかけてかなり聴いていた。
世界中の人全員が偉いやつに思えてきてきつい夜に、あのう、蕎麦でも食わないか?って主人公に電話がくる。居留守使うのもと誘いにのり、二人で蕎麦屋へ。電話をかけてきた人は恐らく男性で、主人公は女性かと思う。でも付き合ってるわけではなく、多分友達どうし。その二人の、蕎麦屋でのやりとりを歌っている(と私は思っているが)。
突然男性が言ったひとことが、とてもさりげなく優しくて、主人公はたぬきうどんを食べながら悔し泣きをするんだが、このシーンが私はとても好きで、それで泣いてしまうんだけど。
『蕎麦屋』を聴くたびに思うんだが、当時私は、本当は誰かに
あのう、蕎麦でも食わないか?
って、言われたかったんだと思う。
でも、どう考えても、自分は蕎麦でも食わないか?って言われるより、自分から、蕎麦でも食べるかい?みたく言ってしまうほうだと思うのだ。
なんかさ、おいしいものとか好きなもの食べて、お腹が満たされたら気持ちも少し元気になるだろうし、大丈夫なんとなるよ多分、って、言ったりするんだろうな、と。
だけど中学生の私は、蕎麦でも食わないか?って誰かに言われたかったのだ。ちょっとだけ励ましてもらいたかったのだ。中学生だしそんなことはもちろんなかったけれど。言ってくれる人もいなかったけれど。高校生になっても大学生になっても、大学院に行っても就職しても…まあこれ以上はいいや(おい
最近、なんだか無性に『蕎麦屋』が聴きたくなり、それが収録されてるCDは持ってなくて、カバー曲を探した。そしたら斉藤和義さん(せっちゃん)がカバーした『蕎麦屋』が、Spotifyで聴けることが分かり、プレイリストに追加した。今日仕事帰りに聴くことができたのだが(Spotifyはシャッフル再生だし、私は無料プランなのでちょっと制限かかるので、一発で聴ける可能性は高くない←)、せっちゃんが歌う『蕎麦屋』もとても優しくて温かくて、運転しながらやっぱりあのくだりで泣いたのだった。
蕎麦でも食わないか?とは言われなそうだけど、誰かに、蕎麦でも食わないか?って言える人でいたいなあ、そういう優しさをもちたいかも。
なんて、思ったりして。