Best Movies 2017
〈概要〉
・日本で2017年に劇場公開、販売(ビデオスルー)、配信された映画が対象
・リバイバル上映などは基本的に対象外
・順位なし
・タイトルを押すと予告編に飛びます。
・一応①~⑩をBEST10のつもりで選んではいます。
・観たのが、かなり前になるので感想は短めです。
①『グッド・タイム』(ジョシュ&ベニー・サフディ)
ジャンル:クライム,ドラマ,スリラー
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
ニューヨークの最下層で生きるコニーと弟ニック。2人は銀行強盗をしようとするが、途中で弟が捕まり投獄されてしまう。弟は獄中でいじめられ、暴れて病院へ送られることに。それを聞いたコニーは、なんとか弟を取り返そうとする。
〈説明・感想〉
第70回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門出品。
どうして、こんなにも魅入ってしまうのだろうか。車が移動するだけのシーンだけでも撮り方が他と違う気がする。
サフディ兄弟こだわりのサウンドとカメラワークに、一秒も休息を許さない、スリリングなストーリーに目が離せない。
この作品が気にったら、サフディ兄弟の前作『神様なんかくそくらえ』を是非観てみてください。私はこの映画でサフディ兄弟にハマったので。
〈作品データ〉
脚本:ロナルド・ブロンスタイン ジョシュア・サフディ
出演:ロバート・パティンソン ベニー・サフディ バディ・デュレス
ジェニファー・ジェイソン・リー
音楽:ワシオートリックス・ポイント・ネバー
撮影:ショーン・プライス・ウィリアムズ
原題:Good Time
時間:101分
②『お嬢さん』(パク・チャヌク)
ジャンル:ドラマ,ミステリー,ロマンス
製作国:韓国
〈あらすじ〉
1980年代日本統治下の韓国。スラム街で詐欺グループに育てられた孤児の少女・スッキは、伯爵と呼ばれている詐欺師にスカウトされ、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・ヒデコのメイドとして働くことに。ヒデコは辺ぴな土地に建つ屋敷で、支配的なおじとひっそりと暮らしていた。
〈説明・感想〉
第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
サラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原案に、物語の舞台を日本統治下の韓国に置きかえて描いた。
さすがパク・チャヌク。私の大好きな映画監督の一人です。
とにかく建物の内装や衣装、小道具などの美術・芸術的な部分がとても綺麗で素晴らしい。本編中のどこのシーンを観ても満たされるものがある。
毎度のことながら素晴らしいカメラワークに、見事なストーリーと脚本。
キム・ミニとキム・テリの美しさに目を奪われた。パク・チャヌクの美的センスは最高。
〈作品データ〉
脚本:チョン・ソギョン パク・チャヌク
出演:キム・ミニ キム・テリ ハ・ジョンウ チョ・ジヌン
音楽:チョ・ヨンウク
撮影:チョン・ジョンフン
原題:아가씨(英題:The Handmaiden)
時間:145分
③『哭声 コクソン』(ナ・ホンジン)
ジャンル:スリラー,ホラー,ミステリー,ファンタジー,ドラマ
製作国:韓国,アメリカ
〈あらすじ〉
田舎の村に、よそ者がやってきた。この男が来てから村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。 事件を担当する村の警官ジョングは、よそ者を追い詰めようとするが。
〈説明・感想〉
國村隼がよそ者の男を演じ、韓国の映画賞・第37回青龍映画賞で外国人俳優として初受賞となる男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞。『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン最新作。
これぞエンターテインメントの至高。
こんなにも恐ろしくて先が読めなくて楽しい映画はそうそうない。
多くのジャンルを混ぜた作品で、多少やり過ぎな部分も否めないが、絶妙にバランスが取れているのがなんとも不思議。國村準や祈祷師などに加え、轟音の音楽も抜群のアクセントとなっている。
また、子役のキム・ファニの演技が素晴らしく、どこの国を探してもこのレベルの子役は簡単には見つからない。
〈作品データ〉
脚本:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン ファン・ジョンミン 國村隼
チョン・ウヒ キム・ファニ
音楽:チョン・ヨンギュ タル・パラン
撮影:ホン・ギョンピョ
原題:곡성(英題:The Wailing)
時間:156分
④『メッセージ』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
ジャンル:SF,ドラマ,ミステリー
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズは、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。
〈説明・感想〉
カナダのドゥニ・ヴィルヌーヴが、米作家テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を映画化。
間違いなく2017年最高峰のSF映画。
本作はSF要素だけで魅せようとしているわけではない。 音、音楽、撮影、編集、細かな演出など非常に水準の高い映画。どれも演出が王道ではなく、かつ奇をてらい過ぎてもいない。とても丁寧。
どんどん映画に引き込まれていく。ストーリー、脚本ともに完璧。
音楽は三度目のタッグとなるヨハン・ヨハンソン。
あとエイミー・アダムスがとても好き。
〈作品データ〉
脚本:エリック・ハイセラー
出演:エイミー・アダムス ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー
音楽:ヨハン・ヨハンソン
撮影:ブラッドフォード・ヤング
原題:Arrival
時間:116分
⑤『ウィッチ』(ロバート・エガース)
ジャンル:ホラー,ミステリー
製作国:アメリカ,イギリス,カナダ,ブラジル
〈あらすじ〉
1630年、ニューイングランド。父ウィリアムと母キャサリンは、5人の子供たちと共に敬虔なキリスト教生活をおくる為、森の近くの荒れ地にやって来た。しかし、赤子のサムが何者かに連れ去られ、行方不明に。連れ去ったのは森の魔女か、それとも狼か。
〈説明・感想〉
ロバート・エガース初監督作品。
急に大きな音を出したりして、視聴者を驚かせる"ジャンプスケア"という手法がホラーでは定番となっているが、本作は全く使用していない。そもそも、ジャンプスケアは驚かせるだけで、怖がらせる訳ではない。心臓に悪い非常に悪質な手法だと思っている。
本作はひたすらに不気味な雰囲気が漂い、常に居心地が悪い。陰鬱で忌まわしく、とても静かだ。
映像からは、ほとんど色を抜かれ灰色と化している。
私はホラーが苦手だったが、受け身の姿勢でただ耳に入って来るホラー映画は所詮、扇情的でエンタメに富んでおり、本作のような演出とはかけ離れている。そんな作品ばかり観てきたからこそ、苦手だった。
本作はそれを変えてくれた。本作を観ようか迷っていたとき、とある観賞者が「そんな怖くないよ」と言っていた。私は「そんなの嘘だ、ホラーが得意な人は大抵そう言う」と流していた。
しかし、それでも本作への興味が無くなることはなく決心し、いざ観てみた。そして気付かされた、これこそが真のホラー映画だと。
元々スリラー映画は好きだった。本作はその延長線だと捉えてもらっていいし、ホラー演出のないホラー映画とも思ってもらっていい。
本作が新たな扉を開くきっかけになると嬉しい。
〈作品データ〉
脚本:ロバート・エガース
出演:アニヤ・テイラー=ジョイ ラルフ・アイネソン
ケイト・ディッキー ハーヴェイ・スクリムショウ
音楽:マーク・コーベン
撮影:ジェイリン・ブラシケ
原題:The VVitch : A New-England Folktale
時間:92分
⑥『わたしたち』(ユ・ガウン)
ジャンル:ドラマ
製作国:韓国
〈あらすじ〉
学校でいつもひとりぼっちだった11歳の小学生の少女ソンは、転校生のジアと親しくなり、友情を築いていくが、新学期になると2人の関係に変化が訪れる。
〈説明・感想〉
新鋭ユン・ガウン監督が、自身の経験をもとに描く。
DVDにて観賞。リリースされるまでに、3年を要するとは。
Googleで本作を調べると、子供向けと出てくるが、子供向けとしてはあまりにもヘビー過ぎる。大人になってもかなりしんどい。これを子供が見て、どこまで理解し受け止め、成長していくれるかは、想像つかないが、良い方向に育っていってくれると嬉しい。
主人公のソンは、とても優しくて、思いやりがあって、強くて、良い子ではあるのだけれど、それがたまに厚かましく、煩わしくもある。ソン自身が、自分がどういう人で、どういう位置にいるのかを理解出来ていないが、他の子たちは、ちょっと理解出来てそうな感じはする(客観的に見れてるから)。ソンたちは、小学四年生という、これから高学年になるという「ちょっと大人びたい」微妙な年頃で、大人に頼っていいのに、それを憚る。優しい映像と共に、決して無視できない苛烈な内容に、揺れ動かされた。
きっと、ボラとソンはかつて悪さをしたときに、「ソンは大人しくて、良い子だからそんな事をしない」と大人の誰かが言ったのだろう。ソンも素直に謝って、普段通りに戻ればいいのに、気を使う子だから、変に距離を置いてしまったのかもしれない。描写されていない、奥のシーンを考えてばかりいた。傑作。
〈作品データ〉
脚本:ユン・ガウン
出演:チェ・イスン ソン・ヘイン イ・ソヨン
カン・ミンジュン チャン・へジン
音楽:ヨン・リモク
撮影:ミン・ジュンウォン キム・ジヒョン
原題:우리들 (英題:The World of Us)
時間:94分
⑦『ハーフネルソン』(ライアン・フレック)
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
教師のダン・デューン。生徒たちからの信望はあるが、一方で自身はドラッグに溺れている。ある日学校のトイレの個室でドラッグを吸っている現場を、女子生徒ドレイに見つかってしまった。
〈説明・感想〉
アメリカでは2006年に公開。11年遅れて日本に初上陸。79回アカデミー賞主演男優賞にノミネート。
「いつの映画を紹介してるんだ」って話だけど、日本公開ベースだから仕方がない。"彩プロ"には感謝。
雰囲気がめちゃくちゃ好みだった。この言葉で伝えれるかは分からないけど"DVD画質が映える映画"。Blu-rayの高画質で観たいとは全く思わない。
字幕もいいけど、吹き替えもいいんだコレが。 雰囲気がすごい良い。
凄く良い映画なのかはいまいち分からない。ここまで好みにドンピシャだったら、一言も文句ない。ただその好みを文章化するのは複雑過ぎて不可能。自分自身でも悩ましい。
〈作品データ〉
脚本:ライアン・フレック アンナ・ボーデン
出演:ライアン・ゴズリング
シャリーカ・エップス アンソニー・マッキー
音楽:ブロークン・ソシアル・シーン
撮影:アンドリー・パレーク
原題:Half Nelson
時間:106分
⑧『ノクターナル・アニマルズ』(トム・フォード)
ジャンル:クライム,ドラマ,スリラー,ロマンス
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワードから、彼が書いた小説が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。
〈説明・感想〉
ファッションデザイナーのトム・フォードの映画監督第2作。オースティン・ライトが1993年に発表した小説「ミステリ原稿」を映画化。
たぶんこの年で一番オープニングが狂ってる。あのオープニングだけで観るのを止める人もいるかもしれないし、逆に引き込まれる人もいるかもしれない。私は映像から目を離さないでおこうと思った。
本作の主演は『メッセージ』と同じエイミー・アダムス。しかし、化粧が変だ。やりすぎだ。理由はもちろんあるけれど。
ちょっと触れにくい映画です。作風といい、脚本といい。
〈作品データ〉
脚本:トム・フォード
出演:エイミー・アダムス ジェイク・ジレンホール
アーミー・ハマー マイケル・シャノン
アーロン・テイラー=ジョンソン
音楽:アベル・コジェニオウスキ
撮影:シーマス・マッガーベイ
原題:Nocturnal Animals
時間:116分
⑨『トレジャーハンター・クミコ』(デヴィッド・ゼルナー)
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
東京で暮らす29歳のOLクミコは、親しい友人も恋人もおらず孤独な毎日を過ごしていた。映画『ファーゴ』冒頭の「本作は実話に基づく」というテロップを信じ込み、スティーブ・ブシェミ演じる登場人物が大金を埋める場面を繰り返し見てはその場所を想像するのだった。ある日、会社のクレジットカードを預かったクミコは、そのカードを使って旅費を支払い、映画の舞台となった都市ファーゴへと向かう。
〈説明・感想〉
2001年、ノースダコタ州の日本人女性にまつわる都市伝説「タカコ・コニシ事件」を、映画化。
映像、カメラワーク、衣装などが特に素晴らしい。よくもここまで近しいものを美しく、希有な様を持たせて撮ったものだ。ファーゴに行ってからも雪化粧と衣装が光る。
この映画の存在そのものに笑える。説明をしようとすると、ややこしくなる。あまり内容については書かない方がいいかも。
〈作品データ〉
脚本:デヴィッド・ゼルナー ネイサン・ゼルナー
出演:菊池凛子
音楽:ジ・オクトパス・プロジェクト
撮影:ショーン・ポーター
原題:Kumiko,The Treasure Hunter
時間:105分
⑩『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス)
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校では“オカマ”とからかわれ、いじめっ子たちから標的にされる日々。その言葉の意味すらわからないシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だ った。
〈説明・感想〉
第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門受賞。バリー・ジェンキンス長編2作目。
青を基調とした映像が美しく、神秘的だった。キャストたちの表情が忘れられず、ニコラス・ブリテルの素晴らしい音楽と共に、脳裏に焼きつく。
キャラクターのガラスの心に触れるような繊細な描写に心を打たれた。
〈作品データ〉
脚本:バリー・ジェンキンス
出演:トレバンテ・ローズ アンドレ・ホランド ジャネール・モネイ
マハーシャラ・アリ ナオミ・ハリス
音楽:ニコラス・ブリテル
撮影:ジェームズ・ラクストン
原題:Moonlight
時間:111分
『ラ・ラ・ランド』(デミアン・チャゼル)
ジャンル:ミュージカル,ドラマ,ロマンス
製作国:アメリカ
⑪『スウィート17モンスター』(ケリー・フレモン・クレイグ)
ジャンル:ドラマ,コメディ
製作国:アメリカ,中国
〈あらすじ〉
ネイディーンは17歳の高校生。キスさえ未経験の、イケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空まわりして、教師のブルーナーや情緒不安定な母親を困らせてばかり。たった一人の親友クリスタだけが自分のすべてだと思っていたのに、人気者の兄ダリアンとクリスタが恋に落ちてしまう。疎外感から世界にたった一人取り残されたような気持ちになったネイディーン。
〈説明・感想〉
ヘイリー・スタインフェルドが 第74回ゴールデングローブ賞、主演女優賞ノミネート。
どの年でも多くの人が楽しめる映画だと思う。男女問わず。なかなかこの映画をつまらないと言う人は少ない気がする。
尺は2時間をきっているし、非常にオススメしやすい1本。
〈作品データ〉
脚本:ケリー・フレモン・クレイグ
出演:ヘイリー・スタインフェルド ウディ・ハレルソン
キーラ・セジウィック ブレイク・ジェナー
ヘイリー・ルー・リチャードソン
音楽:アトリ・オーバーソン
撮影:ダグ・エメット
原題:The Edge of Seventeen
時間:104分
⑫『LOGAN』(ジェームズ・マンゴールド)
ジャンル:アクション,ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
ミュータントがほぼ絶滅し荒廃した近未来。ローガンは治癒能力を失いつつあった。そんなローガンに年老いたチャールズ・エグゼビアが託した最後の依頼は、絶滅の危機にあるミュータントの希望となるローラという少女を守ること。
〈説明・感想〉
本作を観るに当たって、2000年公開の『X-MEN』は観てください。主人公のローガンがどういった人物なのかを理解しておく必要があります。
しかし、本作はシリーズ物ではありません。アメコミのキャラクターを借りた1本の映画です。ですが、より楽しむためには、過去のX-MEN映画を観賞しておいた方が良いのは間違いないです。
アメコミ映画でR-18(日本ではR-15)。ローガンはそもそも過激なキャラクターだが、子供も観るアメコミ映画で過激な描写は出来なかった。しかし、本作ではそれを可能とした。これこそがローガンだ。
ダフネ・キーンの目つきには引き込まれる。
〈作品データ〉
脚本:スコット・フランク ジェームズ・マンゴールド
マイケル・グリーン
出演:ヒュー・ジャックマン パトリック・スチュワート
ボイド・ホルブルック ダフネ・キーン
スティーブ・マーチャント リチャード・E・グラント
音楽:マルコ・ベルトラミ
撮影:ジョン・マンソン
原題:Logan
時間:137分
⑬『沈黙』(マーティン・スコセッシ)
ジャンル:ドラマ,歴史
製作国:アメリカ,メキシコ,台湾,日本,イギリス,イタリア
〈あらすじ〉
江戸初期。激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕えられ棄教したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。
〈説明・感想〉
遠藤周作の小説「沈黙」をマーティン・スコセッシが映画化。
まぁ、辛い映画です。とてもじゃないが2回目観たいとは思わない。長いし。正直、スコセッシの映画でめちゃくちゃ好きなのあるかって言われると、特にない。本作も好きじゃない。しかし、忘れられないでいるのも事実。
音楽はほとんどなく、自然音のみが響き、何とも寂しく、悲しく、辛い。
〈作品データ〉
脚本:ジェイ・コックス マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド アダム・ドライバー 浅野忠信
イッセー尾形 窪塚洋介 塚本晋也 リーアム・ニーソン
音楽:キム・アレン・クルーゲ キャスリン・クルーゲ
撮影:ロドリゴ・プリエト
原題:Silence
時間:161分
⑭『我は神なり』(ヨン・サンホ)
ジャンル:アニメーション,クライム,ドラマ,スリラー
製作国:韓国
〈あらすじ〉
ダムの建設によって水没することが決まった田舎の村に、粗暴なミンチョルが帰ってきた。ところがミンチョルの妻子を含む村人たちは皆、彼の不在中に建てられた教会に通い、牧師ソンを崇めていた。しかし、それが詐欺師の陰謀だと察知したミンチョルは、村人たちのなけなしの財産を狙う詐欺師の悪行を阻止しようと奮闘する。
〈説明・監督〉
第34回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭アニメーション部門で最優秀作品賞を受賞した。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』を監督した、ヨン・サンホの過去作。 『新感染 ファイナル・エクスプレス』がヒットしたためか、過去撮ったアニメ映画が二本同じ時期に日本に上陸。しかし、もう一本は結構残念な出来。それと彼の過去作の『豚の王』が観たいけど、残念ながら日本未配給。
いやぁ、傑作。本作を傑作と呼ぶのはいささか趣味が悪い気もするが。
紹介する中では、唯一のアニメ映画。韓国語の音の聞きなれ無さが、アニメだとより増す。
おそらく、紹介する中で一番観続けるのがしんどい映画だと思う。目を逸らしたくなるだろうけど、目をそむけず観て欲しい。凄い映画だ。
〈作品データ〉
脚本:ヨン・サンホ
出演:ヤン・イクチュン
クォン・ヘヒョ オ・ジョンセ パク・ヒボン
音楽:チャン・ヨンギュ
原題:사이비(英題:The Fake)
時間:101分
⑮『マッドバウンド 哀しき友情』(ディー・リース)
ジャンル:ドラマ,歴史,戦争
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
第二次世界大戦中のミシシッピ・デルタの綿花農場で働く白人のマッカラン一家と、小作人の黒人のジャクソン一家。 それぞれの家族から戦争へ従軍した空軍パイロットのジェイミーと、陸軍戦車大隊のロンゼルが、受勲した戦争の英雄としてデルタへ帰郷。戦場で苦難を共にした2人の若き退役軍人は、白人と黒人の人種隔離政策が社会に根深く染み付いた南部の田舎街で、予想外の友情を育んでいくことに。
〈説明・感想〉
ヒラリー・ジョーダンが2008年に発表した小説『Mudbound』を原作としている。NETFLIXオリジナル作品。第90回アカデミー賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞ノミネート。
めちゃくちゃいい映画です。本気でBEST10に入れたかった。しかしあまりにも暗く、悲しく、辛い。2回観るのには相当な勇気が必要。
〈作品データ〉
脚本:バージル・ウィリアムズ ディー・リース
出演:キャリー・マリガン ジェイソン・クラーク
ジェイソンミッチェル メアリー・J・ブライジ ロブ・モーガン
ジョナサン・バンクス ギャレット・ヘドランド
音楽:テイマー・カリ
撮影:レイチェル・モリソン
原題:Mudbound
時間:134分
『勝手にふるえてろ』(大九明子)
ジャンル:ロマンス,コメディ,ドラマ
製作国:日本
⑯『はじまりへの旅』(マット・ロス)
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
ベン・キャッシュと6人の子供たちは、現代社会に触れることなくアメリカ北西部の森深くに暮らしていた。父仕込みの訓練と教育で子供たちの体力はアスリート並み。みな6ヶ国語を操り、18歳の長男は名立たる大学すべてに合格。しかしある日入院していた母・レスリーが亡くなり、一家は葬儀のため、そして母の最後のある“願い”を叶えるため旅に出る。
〈説明・感想〉
第89回アカデミー賞、主演男優賞ノミネート。第69回カンヌ国際映画祭、ある視点部門、監督賞受賞。
とても綺麗な映画。ワンカット、ワンカットが美しく撮られている。自然音も音楽も映像が素晴らしく、ずっと心地いい。
太陽の光りと赤毛の美しさがたまらない。
〈作品データ〉
脚本:マット・ロス
出演:ヴィゴ・モーテンセン フランク・ランジェラ ジョージ・マッケイ
サマンサ・アイラー アナリース・バッソ ニコラス・ハミルトン
音楽:アレックス・ソマーズ
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
原題:Captain Fantastic
時間:118分
⑰『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン)
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
ボストン郊外で便利屋として生計を立てている主人公が、兄の死をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーへと戻り、16歳の甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく―。
〈説明・感想〉
第89回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。主演男優賞、脚本賞を受賞。
こうやって見ると、2017年は辛い映画が多かったのかと思う。
対象年齢が非常に高い映画。身内の不幸や結婚、家族とのトラブル、仕事等色々なことを経験してからのが深みが増す映画だと思う。
私は、まだまだ人生経験が浅い。この映画の良さを理解しきれていない。
若い内に一度観ておくことも大切だし、歳を取ってからの観賞は想像を越えるものがありそう。
〈作品データ〉
脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック ミシェル・ウィリアムズ
カイル・チャンドラー ルーカス・ヘッジズ
音楽:レスリー・バーバー
撮影:ジョディ・リー・ライプス
原題:Manchester by the Sea
時間:137分
⑱『この世に私の居場所なんてない』(メイゴン・ブレア)
ジャンル:コメディ,クライム,ドラマ
製作国:アメリカ
〈あらすじ〉
看護助手として働くルースは、不運続きの冴えない人生にうんざりしていた。ある日、彼女がひとりで暮らす一軒家に空き巣が入り、ノートパソコンや祖母の形見である銀食器が盗まれてしまう。すぐに警察に通報したものの、刑事は戸締まりを怠ったルースの不注意を指摘するばかりで、まともに捜査してくれない。業を煮やしたルースは、近所に住むマーシャルアーツオタクの青年トニーに協力してもらい、自ら犯人探しに乗り出す。
〈説明・感想〉
第33回サンダンス映画祭で審査員グランプリを受賞。
NETFLIXオリジナル作品。
最高に程良い映画。映画からちょっと距離を置いて、菓子でもつまみながら観るのが最適な映画。
尺も短めで、ドラマの要素もコメディの要素も本当に程良い映画。気を抜いて観れる映画って大切だと思う。
〈作品データ〉
脚本:メイゴン・ブレア
出演:メラニー・リンスキー イライジャ・ウッド
デビッド・ヨウ ジェーン・レビ デボン・グレイ
クリステン・ウッズ ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ
音楽:ブルック・ブレア ウィル・ブレア
撮影:ラーキン・サイプル
原題:I Don't Feel at Home in This World Anymore.
時間:93分
⑲『Okja』(ポン・ジュノ)
ジャンル:ドラマ,SF,アクション
製作国:アメリカ,韓国
〈あらすじ〉
韓国の山間の家で暮らす少女ミジャは、大きな動物オクジャの面倒を見ながら平穏な毎日を送っていた。ところが、ミランド社がオクジャをニューヨークに連れ去ってしまう。
〈説明・感想〉
NETFLIXオリジナル映画。カンヌ国際映画祭のコンペに出品され、物議を醸した。
ポン・ジュノは色々なジャンルを混ぜる。スリラーやサスペンス的な要素もあるけど、コメディも存在する。
「子供に見せてもいいかな」と思いつつも、途中で「やっぱり止めた方がいいか」ともなる。しかし、最後まで観ると「観せるべきか」という考えも生まれる。良い映画だと思う。
〈作品データ〉
脚本:ポン・ジュノ ジョン・ロンスン
出演:アン・ソヒョン ティルダ・スウィントン ポール・ダノ
スティーブン・ユァン ジャンカルロ・エスポジート
ジェイク・ジレンホール
音楽:チョン・ジェイル
撮影:ダリウス・コンジ
原題:Okja
時間:120分
⑳『ディストピア パンドラの少女』(コーム・マッカーシー)
ジャンル:ドラマ,スリラー,ホラー
製作国:イギリス,アメリカ
〈あらすじ〉
真菌に感染した人間は思考能力をなくし、生きた肉を食すハングリーズと化した近未来。イングランドにある基地ではウィルスと共生する"二番目の子供たち"の研究が行われていた。その子供たちは感染しているが、思考能力を持ち、見た目は人間の子供そのものだった。彼らから、ワクチンを作り出そうと模索する中、子供たちの中に高い知能をもった奇跡の少女メラニーが現れる。
〈説明・感想〉
M・R・ケアリーの小説「パンドラの少女」を著者自身による脚本で実写映画化。
"掴み"が素晴らしい。閉鎖感のある映像と不気味な音楽で掴まれた。
ストーリーが凄く面白い訳ではないんだけど、演出力は高いからずっと近い距離で観ていられる。
ゾンビに襲われて、ゾンビ化して、人を襲うという一連の流れをワンカットで撮る異常さ。序盤のアクションシーンは見事。
〈作品データ〉
脚本:マイク・ケアリーコンシダイン
グレン・クローズ フィサヨ・アキナデ
出演:セニア・ナニュア ジェマ・アータートン
パディ・コンシダイン グレン・クローズ
音楽:クリストバル・タピア・デ・ビール
撮影:サイモン・デニス
原題:The Girl with ALL the Gifts
時間:111分
㉑『幼な子われらに生まれ』(三島有紀子)
ジャンル:ドラマ
製作国:日本
〈あらすじ〉
バツイチ子持ちで再婚した中年サラリーマンの信。二人目の妻・奈苗とその連れ子の二人の娘と共に、平凡ながらも幸せを感じて生活していた。しかし、奈苗の妊娠が発覚し、それを契機に長女が「ほんとうのパパ」に会いたいと言いはじめる。
〈説明・感想〉
とても上手い映画です。2017年の邦画では一番でしょう。監督の演技指導が見事で、役者全員が素晴らしいが、特に子役や若手女優の輝きは目を見張るものがある。
個人的に思っていることですが、男性監督より女性監督の方が演技指導が上手い気がします。北野武は基本的に演技指導すらしませんね、まぁ彼は少し特殊ですが。男性だと是枝裕和の演技指導は素晴らしい。でもお弟子さんの西川美和の演技指導は師匠を越えていると思う。
凄くリアルなシーンもあり、子役も含めどうやって撮ったんだろう。
予告編は、かなり酷い出来なので観ないでください。
〈作品データ〉
脚本:荒井晴彦
出演:浅野忠信 田中麗奈 南沙良 鎌田らい樹
新井美羽 宮藤官九郎 寺島しのぶ
音楽:田中拓人
撮影:大塚亮
原題:幼な子われらに生まれ(英題:Dear Etranger)
時間:127分
〈まとめ〉
自分で作っといて何だけど、何だこのBEST。凄く納得がいかない。自分で作っといて。
①~⑩をBEST10として選んだけど、手放しで褒められるのがパク・チャヌクの『お嬢さん』だけな気がしてくる。なんでやろ、全然分からん。全部良い映画の筈なのに。①~⑥は激推しできるかな。他は興味があったらどうぞ。
『ゲット・アウト』(ジョーダン・ピール)
ジャンル:ホラー,コメディ,スリラー
製作国:アメリカ