第56回気象予報士試験一般
問1
気圧の平均的な高度分布は,地上(高度0m)で1000hPa,高度約5kmで500hPa,約10kmで250hPa, 約15km で125hPaというように,ほぼ一定の高度間隔ごとに一定の比率で減少している。このとき大気全体の質量の99.9%が含まれる地上からの平均的な高度として最も適切なものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。
① 約 24km
② 約 32km
③ 約 48km
④ 約 64km
⑤ 約 96km
まず、大気構造は気象庁HPから、、
この問題はこの図を覚えておくだけで出来る。
1000hPaの99.9%というと1hPaより下である。
1hPaというと図から約50kmというのがわかるので、
答は⓷の48km。
他の大気構造
気象庁より
第56回問5
地球大気の温室効果の原理について述べた次の文章の下線部(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし,以下の条件が満たされているものと仮定する。
地球に大気がないときの,地表面が受け取る太陽放射量と放射平衡状態にある地表面温度を絶対温度 T0 とする。図のように大気がある時には,大気上端の放射収支から,大気の上向の長波放射量は
(a)地表面が吸収する太陽放射量と等しい。
一方,地表面の放射収支から,太陽放射量と大気の下向き長波放射量の和は地表面からの黒体放射量と等しい。また,黒体放射量は絶対温度の
(b)4乗に比例する。
これらより,大気の温度は
(c)21/4 T0
となり,地表面温度は
(d) T0
となる。
という問題です。
これを解くには、、、
まず、基本知識として気象庁HPから探します。
そして、
ステファン・ボルツマンの法則
⇨放射強度は黒体の絶対温度の4乗に比例するという法則のこと。
I:放射強度
σ(シグマ):ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-8W/m2•K4)
T:絶対温度(K)
つまり、この問題では地表面絶対温度がT0
の時
太陽放射はσT0⁴
図を簡単に
太陽放射σT₀⁴をA
地表面からの黒体放射σTg⁴をB
大気の長波放射σTa⁴をC
として
問題の条件を見ると
大気上端の放射収支は
A=C
ゆえに
σT₀⁴= σTa⁴
地表面の熱収支は
A+C=B
σT₀⁴ + σTa⁴= σTg⁴
問題に戻ると、、
大気の上向の長波放射量は
(a)地表面が吸収する太陽放射量と等しいはずなので
(a)は正
また、ステファン・ボルツマンの法則より、黒体放射量は絶対温度の4乗に比例する ので
(b)も正
Ta (大気の温度)を T₀ で表すと、「Ta = T₀ 」になります。
だから
(c)は誤
また、Tg (地表面の温度)をT₀であらわすと
地表面の熱収支は
A+C=Bで
A=Cなので
B=2A
σTg⁴=2σT₀⁴
まずσを消す
Tg⁴=2T₀⁴
この式の4乗を消して式をわかりやすくする
まず、2という数字を4乗して2になる数字というのは
2=4√2と表す
√2というのは √2×√2=2なのですから
そして
Tg⁴はTg
T₀⁴はT₀
となる
で、地表面温度のTgは
Tg=4√2T₀
となる。
だから
(d) の「T₀」は
誤り。
つぎ、
第56回問10
成層圏のオゾンについて
成層圏のオゾンについて述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)高度 20km~ 60km における気温の経度平均が夏極に近いほど高温であるのは,オゾンの紫外線吸収に伴う加熱量がより多くなるからである。(b)オゾンは主として高緯度の成層圏で生成され,蓄積される。
(c)北半球の中高緯度のオゾン全量は,冬から春にかけた時期が他の時期よりも多い。
(d)南極では,極渦が弱い年ほど成層圏が低温になりやすく,オゾンホールが発達する傾向がある。
気象庁の基礎的な知識、「オゾンの世界分布と季節変化」から引用しました。
この基礎知識を読んで、もう一度「成層圏」の問題をみると。
(a)
高度 20km~ 60km における気温の経度平均が夏極に近いほど高温であるのは,オゾンの紫外線吸収に伴う加熱量がより多くなるからである。
(b)
オゾンは主として高緯度の成層圏で生成され,蓄積される。
(c)
北半球の中高緯度のオゾン全量は,冬から春にかけた時期が他の時期よりも多い。
(d)
南極では,極渦が弱い年ほど成層圏が低温になりやすく,オゾンホールが発達する傾向がある。
答え
(a)の問題
オゾンは紫外線を吸収による加熱なので紫外線の強い低緯度の方が加熱量が大きくなるので
正
(b)は、
オゾンは酸素分子と紫外線で生成されるので
誤
(c)は、
オゾンは低緯度で生成され、成層圏下部の大気の流れで高緯度へ運ばれる。また成層圏大気のブリュワードーブソン循環で夏極から冬極へ集まる。ゆえに冬から春にかけた時期が多い。
正
(d)の問題、オゾンホール発生の仕組みは
南極は南半球に大陸など少なく極渦ができやすい。
⇨極渦ができると極渦の中は非常に低温になる。
⇨低温になると、低温になったことで、通常なら雲が発生しない成層圏に「極域成層圏雲」が発生する。
⇨雲粒子の表面で化学反応が起き、塩素ガスが蓄積される。
⇨春、太陽光により塩素ガスから活性塩素原子に変化し、オゾン層の破壊が進行。
このようにオゾンホールは発生しやすいが、それは極渦がい年ですから
(d)は誤
気象の試験ですから当然大気の問題が多い。
計算問題はまだまだ苦手です。
気象庁 | 天気分布予報・地域時系列予報 (jma.go.jp)
気象庁 | ナウキャスト(雨雲の動き・雷・竜巻) (jma.go.jp)
おはようございます。
いかがですか?
ゆっくり眠れましたか?
またサッカーの試合が近づくと大変になってきますから体調に気をつけて下さい。
こちらはもうすぐ雨が降るようでのです。
今日もいい日にしましょう。
good time!