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未来を覗き見る「未来のかけら」展

8月末、はじめて六本木へ行きました。
東京ミッドタウン方面へ。美術館がいくつも集まっているなんて、気分で美術館選びができちゃう羨ましい環境です。

21_21 DESIGN SIGHTの企画展「未来のかけら」にて、未来を覗き見してきました。

GALLERY 1&2

東京ミッドタウンを抜けて、橋を渡った先にある建築物が『21_21 DESIGN SIGHT』。遠くから目を引く美術館を設計した建築家は安藤忠雄。公園の広場に、直線的なデザインとコンクリートの無機質さがパッと現れて、目立ちます。

地上1階、地下1階の建築物。外から見るとコンパクト。受付やショップが地上1階にあり、チケットを購入して下る地下1階がギャラリーになっています。縦に大きなガラスから光が入り、想像していたよりも広く明るい空間が存在していました。


基本写真OKだったので、印象に残った未来のかけらを記録します。
『撮る』ことが可能な展示会は増えてきていますが、ここでは『触る』『体験できる』展示も多かったです。体を動かすことで想像力が広がりそう。または、動かないと思っていたモノが動いて、勝手に驚くなどしました。

まずは"関節する"の展示から。
生き物が持つ"骨"は、すべてが異なる形状であり、組み合わされて様々な動きを作り出す。
本物の骨と、触れられるレプリカが展示されていました。手で触り、骨の動きを想像してみます。特に、フタユビナマケモノの前肢が印象的でした。大きな二本の指を持つ前肢。解体したり、組み立てたりしてみると、不思議な形の骨と骨がすっぽり合致する。生き物の構造って改めて不思議……

フタユビナマケモノの前肢

次は既に現実となった"お掃除ロボット"。
今では当たり前だけど、ホウキや掃除機が当たり前の頃を思うと、確かに「未来」な掃除機。人間がいなくても掃除してくれるって、すごいこと。
デザインの基となったスケッチも一緒に展示されていて、人間に付いていくお掃除ロボットが描かれていました。実際は人間が追ってしまうことの方が多そう。

製品化に向けたプロトタイプ

また、現代では一般的な言葉となった"プロジェクションマッピング"。まだその言葉が広がっていなかった2008年に開発されたナビゲーションシステムがこちら。
説明が書かれた紙を動かすと、その製品の映像を投影してくれます。また、図面に合わせて、その製品の映像が回るなどしているので、ナビゲーションされるどころか、しばらく見とれてしまいました。
プロジェクションマッピングという言葉が一般的になっても、今は、建物など広い面積に映像を映し出すイメージ。今後はナビゲーション・インフォメーションなどの役割が中心に、身近なものに活用されていくんだろうな。

"ON THE FLY"

これは"場の彫刻"。シミュレーターを使って、自分の"場の彫刻"が作れます。

場の彫刻 #4

シミュレーターの指示に沿って、手を動かすと……

場の彫刻シミュレーター

かっこいい場の彫刻を作ろうとしたけれど、謎の形に。針金巻きついた人になりました。難しい。

高温の蒸気で布を縮めることで計算した模様を作る"Steam Stretch"。
会場ではこの技術によって、1枚の布から作られた服が展示されていました。収縮する素材を使うことで凹凸ができるらしいけれど、その布がどうなっているんだ……
実際の映像では、アイロンのような機器を使って蒸気をあてていました。
針も糸も使わずに服が出来上がる未来。まだ想像できないけれど、お掃除ロボットのように、当たり前になるのかもしれない。

Steam Stretch

映画「自在」では、人間がロボットやAIと一体化した未来が描かれていて、身体拡張の可能性を示しているそう。その映画で使用された"三つ目メガネ"などのロボットも展示されていました。

私が気になったのは"第6の指"。人間の指は通常5本だけれど、そこに6本目の指があったら?
腕の筋肉における電気信号によって動くよう設計されていて、研究の結果、装着者は、6本目の指を⾃分の⾝体の⼀部のように感じることが明らかになったそう。現在は、装着者の脳にどのような影響を与えるのか研究されているそうです。(参考:https://www.jizai-film.com/jizai

実際に6本目の指が登場したら……
6本目の指、なんて今までの人生で想像したこともない。1本指が増える。小さいようで、大きな変化。
最初はマグカップをうまくひっかけられず、こぼしてしまいそう。だけど、自然と慣れていくのかな。開けにくいジャム瓶をしっかり掴めるようになり、開きやすくなる、とか?
ふと「金色のガッシュ!」に出てくる"キャンチョメ"だったら、なにごともなく使いこなせるのかな~なんて想像した。

"自在肢"と呼ばれる装置は、腕が4本増えます。サイボーグの概念。腕が2本じゃ足りないよ~ってときはありますが……
腕の取り換えが可能になる未来。映像で見ると、とてもしなやかな動きは、自然な腕に近いように見えました。
これから少子化していくと、人手不足になり、腕を増やすしかない時代になるのかもしれない。

自在肢

他にも義足や昆虫の羽の模型、3Dプリンターによる生き物などが展示されていました。また、結束バンドを組み合わせて、歪みを触る体験コーナーなど。同じ材料なのに、ねじり方ひとつで印象が変わります。
自分がいかに既成概念に囚われてしまっているのか実感しました。

枠に嵌る想像しか出来なくなっていたことに気が付かされました。
指が6本、腕が6本。技術とデザインが組み合わされば、ありえない、なんてないことを実感しました。
どんな未来になるか分からないからこそ、いろんなものに触れながら、自由に想像していきたい。

【未来のかけら:科学とデザインの実験室】
会期:2024.03.29~09.08
会場:21_21 DESIGN SIGHT GALLERY
料金:一般1,400円