映画記録「おいしい給食 Road to イカメシ」
「卒業」から2年。
北の地へ赴任した甘利田先生の給食道・劇場版3作目です。
ポスターから躍動感がある。
甘利田先生が北の地へ降り立った真の目的「イカメシ」に、とうとう会えるのだろうか。
今回、冒頭から容赦なかった。
お決まりのこのナレーションから物語が始まる。
名探偵コナン冒頭の「俺は高校生探偵・工藤新一……」のように、安心安定のナレーション。
そこに登場する給食道の好敵手・粒来ケン。
ホッピングで登場する。
もう笑いそうだった。
まだ校門のシーンなのに。
粒来ケン、自由すぎる。
『おいしい給食の』魅力といえば、"ダイナミック給食"でしょう。
劇場版のダイナミックさが堪らんです。
ドラマではちゃんと?座っている甘利田先生ですが、劇場版ではそれを凌駕してきます。
教員机前のストーブ周りの空間は、甘利田先生のパフォーマンスエリアだった……。椅子でピーン、机でドーンでした。
あの勢いは言語化できない。さすが甘利田先生、というべきか。
甘利田先生の妄想劇場もレベルが上がっています。
前作は純喫茶が登場していましたが、今作は妄想で下町な鉄板屋が登場。
あと、今回は給食以外にもダイナミックなシーンが!
演説中に担がれる粒来ケン。
演劇の見本を見せるため唾が出るほど熱演する甘利田先生。
そして。
甘利田先生の酩酊ダンス。
それも校門前でふらふらと……
今作の最もハラハラするシーンです。
美しくすら感じる。芸術。
ドラマ3話分(3食分)のコミカルさに加えて、劇場版要素って感じ。
劇場版要素として、2つの物語が交差します。
ひとつめは文化祭での劇「ホワイトマン」。
『おいしい給食season3』において甘利田先生のクラスで練習していた演劇「ホワイトマン」が本番を迎える。
練習に文句を言う生徒へ放ったセリフが印象的でした。
ドラマだと席替えや歯磨き教室において強引なくらい話が『給食』につながりますが、ここは甘利田先生の教員としての信念を感じました。
ホワイトマンの正体にも、温かい気持ちになった。
ふたつめは「レトロ給食」との戦い。
予告編では鉄の塊、白い悪魔と表現されるメニュー。
そして、中学校給食に政治が絡んできます。豊かさとは何か? 豊かになるのは悪いことなのか?
劇場版3作目ですが、今回が1番好きです。
悲しい思いをしなくていいから。
基本的にずっとニコニコ。時々ダイナミックさにハラハラ。
今までの劇場版は「給食の廃止」や「給食の改悪」などで教育委員会の鏑木とバトルし、異動エンド。ハッピーエンドとは言えなかった。
今回は圧倒的にハッピーエンドでした。
また、それぞれの成長を感じた。泣いている登場人物が多い。甘利田先生も泣いている。
給食が苦手だった峰岸くんや、他のクラスメイトも成長。
大人になってから、中学生時代は多感で成長があったんだな、と気付く。
また、甘利田先生は好敵手を友と認め、駄菓子屋さんとは初めて共感する。
そして何より、比留川先生の成長。
season3の第1話では、校門前の挨拶で、体育教師からハイタッチの指導をされていました。映画では序盤から生徒と楽しくハイタッチしています。
気弱そうな頼りない先生が、自分の意見をはっきり言う、たくましくかっこいい先生へ成長していました。
あと、season2の「卒業」から作中で2年しか経っていないけど同窓会が行われます。
視聴者は甘利田先生の給食愛シーンしか見ていないですが、2年で集まろう! となるくらい仲がいいクラスを作り上げている教師なんですね。同窓会にも呼ばれていたので、信頼・好かれる教員であることは、劇中にある演劇指導のシーンを観て納得した。
何事にも真剣な人は、信頼できます。
今作も劇場で鑑賞しました。
ほぼ満席状態なので、浮かぶ疑問。
「おいしい給食」のファンってどこに潜んでるんですか?
劇場にはこんなに人が集まるのに、身近な人はほとんど知らない。
ファン層が謎に包まれた愛され作品。
そして、イカメシタベタイ。
▽映画記録「おいしい給食 卒業」
▼映画記録