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【美術ブックリスト】『星野画廊50年史 明治・大正・昭和 発掘された画家と作品』星野画廊編

京都の星野画廊といえば、無名作家や歴史に埋もれた作家に光を当てることで知られる異色の画廊。
知名度に関わりなく、埋もれた作家を発掘し、石を磨くように作品の真価を見極めて紹介してきた。秦テルヲ、甲斐荘楠音、不染鉄といった画家が世に知られるようになったのは、星野さんの力が大きい。創業以来の160回に上る展覧会の記録を収録。会場の展示風景、案内状、雑誌や新聞の掲載記事など圧倒的な数の図版と解説文で50年を振り返る。

「発掘された珠玉の名品 少女たち —夢と希望・そのはざまで 星野画廊コレクションより」が、2023年7月15日〜9月10日・京都文化博物館のほか、福島、新潟、高知、東京へ巡回予定。
ここまでが概要。

ここからが感想。
掲載された資料の量だけでなく、質の高さには唸らされる。
新聞記事も案内状もきちんと保管されていたと見えて、非常にクリアに掲載されている。新聞記事もボロボロのモノクロコピーではなく、しっかりとしたカラー紙面だったりする。

発掘することが目的ではなく、美術に命をかけた作家たちを見直し、彼らが残した作品との共感を取り戻すことを使命とした画廊である。画廊やコレクターだけでなく、美術館関係者からも注目されるその活動の歴史がまとまっていて、資料性も高い。また日本の美術の定点観測ともなっている。

ここのところ歴史を振り返る本が多数刊行されているけども、その中でも熱量と積み重なった労力がひときわ厚いと感じさせる。

248ページ B5変 3600円+税 青幻舎


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