美術記事の3段階

雑誌ではインタビュー、対談、座談会などの形で発言内容を記事にすることがあります。そうした記事には大きく3つの段階があります。

第1段階は発言内容を忠実に文字にするものです。これはだれが記事をまとめても大差ありません。新人でもできるし、将来的にはAIでも可能でしょう。そして私が見るに多くの雑誌(ウェブメディアを含む)の記事は第1段階にとどまっています。

第2段階は発言者が言おうとして言葉にできなかった事柄を的確に言葉にするものです。これはベテランの編集者や、よほど発言者と懇意か信頼関係を気づいた編集者がなせる技です。

第3段階は本人も気づいていなかったことを言葉にするものです。言葉にされて初めて、確かに自分が言いたかったのはそういうことだと発言者が発見します。これは編集者というより、ほとんど独立した執筆者といっていいレベルの人ができることでしょう。

当然ながら私が記事を書くときには、最後者になるように努めています。いわば取材対象になりかわってステートメントを書いているようなものです。これからも続けていきたいと思います。

2020年7月22日

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