【美術・アート系のブックリスト】窪島誠一郎 著『美術館随想』 (窪島誠一郎コレクシオンIII)
村山槐多など夭折の画家が残したデッサンを集めた信濃デッサン館と戦没画学生の遺作を集めた無言館の創設者。その著述を集めた全５シリーズの３巻目「信濃デッサン館日記」。
画家のこと、展覧会での出来事など38年間の日々が淡々とつづられていく。新設された長野県立信濃美術館に収蔵品が移管されたいま、著者は残照館と名前を変えて残された作品とともに余生を過ごしている。コレクターが美術館を作ることは多いし、没後行政が引き取る例もある。しかしこの人はそれを死ぬ前に自ら結末をつけた。尊敬すべきだと思う。
2020年12月3日