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【美術ブックリスト】『原田マハ、アートの達人に会いにいく』原田マハ著

「芸術新潮」の連載をまとめたもの。
美術館館長、文学者、建築家、映画監督、詩人、ピアニスト、漫画家、コレクターなどが登場する。
対談のなかでは、アートに関心をもったきっかけや初めて買った作品など、アートへの入り口から現在の活動までを聞いていく。
ここまでが概要。

ここからが感想。
画家、美術家が登場しないのには何か理由があるのだろうか?
それはともかく対談というよりは、原田が聴き手になったインタビュー集になっている。原田は自身が小説家だが、本書のなかでは素人に近い立場を貫いている。
台湾の大コレクターであるピエール・チェンに「もし泥棒だったらどの美術館のどの作品を盗むでしょう?」と原田が効いたところ、「それは私の人生では起きません。・・・正規の手続きを経て買います」と答えたのが面白かった。一般人は美術品を、歴史に登場するもの、したがって公的機関が扱うものであって、自分らのような一個人にとってそれは入館料を払って見に行くものであり、それを所有することはせいぜい空想の世界でしかできないと考えるけども、この方は欲しければ現実に購入してきたので、問い自体が間違っていたのだ。ドナルド・キーンの項の冒頭など、そうした微妙に話がかみ合わないところに、対話者どうしの温度差が見えて面白かった。
あと美輪明宏の博学と見識はさすが。戦前の文化を知る人だからこそ、戦後や現代の文化にも冷静な姿勢がとれている。

360ページ 四六判変型 1700円+税 ‎ 新潮社

福原義春
小池一子
石内都
馬渕明子
エマニュエル・プラット
ピエール・チェン
大原謙一郎
竹宮惠子
美輪明宏
鹿島茂
槇文彦
ドナルド・キーン
蓑豊
池田理代子
冷泉貴実子
伊勢彦信
リシャール・コラス
佐々木丞平
鈴木郷史
藤森照信
福武總一郎
山田洋次
小田豊
フジコ・ヘミング
高階秀爾
大野和士
伊勢英子/いせひでこ
谷川俊太郎
青木淳
森佳子
安藤忠雄
原俊夫
圀府寺司

あとがき

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